すふぉるつぁんど

主に魔法少女育成計画について書き残していくブログです。基本的に生き残り魔法少女は全員熱烈に応援しています。平気でネタバレをやります。

シャドウゲール(魚山護)と崩壊する世界

 

さてrestart護についてです。

いまのところ庚江と護についてしか記事を書いていない。こんなはずじゃなかった。

しかし自分の中のプフゲルを整理するという点でも結構重要な事なのでやります。

 

魔法少女育成計画restart(後)』の表紙で憂い顔を見せる魅惑の黒ナースことシャトウゲール、人間体は魚山護。

 

恐らくは自走できるだろうプフレの車椅子を押してやったり、人間体では常に行動を共にしたり、プフレの手をハンカチで拭いてやったりと魔法少女時であろうが人間時であろうがプフレ/人小路庚江の従者として働きます。

 

「お嬢様をお守りできるように」護という名前がつけられた、という冷静に考えれば常軌を逸しているような思考の両親。および人間性がねじ曲がったお嬢様と、かなり劣悪な人間環境のもとで育ったにしては、純粋でまっとうな子。それゆえに苦労人です。

 

 

restartでのシャドウゲールの特徴は、まずは「ほぼプフレとしか関わっていない」ということ。

同じチームを組んだマスクド・ワンダーとはそこそこ会話をしている様子が見られましたが、第二回ログインの際にワンダーは残念なことになってしまいました。そこからはプフレと二人チーム、もしくは単独行動でグレートドラゴンループという感じで、ほとんど他の魔法少女とは関わっていません。

 

その存在感のなさは、恐らくはゲームに参加した魔法少女たちのなかで最も他人に気を配り、注意していただろう魔法少女・のっこちゃんが、一度会ったことがあるシャドウゲールの名前を思い出せないほど。

これは別段シャドウゲールがコミュ障だったり人づきあいが嫌いだったりすること(ありうる)に起因するわけではなく、ゲームの立ち回り上プフレがシャドウゲールをそういうポジションに配置した、ということが主な理由と思われます。

 

できる限りシャドウゲールの存在を周囲に認知させず、攻撃の標的にならないように遠ざける。その辺りを意識していたのではないかなと考えています。

シャドウゲールの魔法が「機械の改造」だと知られないようにしたこともその一環です。作中でも言われていましたが、そんな能力持ってたら間違いなく疑われます。

プフレがチェルナーとの戦闘を試みたのは、シャドウゲールの魔法が「戦車の作成」だという嘘情報を捲くため……も、目的の一つにあったかもしれませんね。シャドウゲールとくっついていたかったから車椅子壊した説よりは強めに押したい。

 

 

さてそんな存在感のないシャドウゲールですが、視点を持つ回数が多いだけにキャラクターとしての掘り下げはかなり深いです。

前編、と後編の中盤程度までの彼女の性格をさらうと、

 

  • 庚江の性格に呆れ果てつつも、生まれついた家柄上仕方なく従者をやっている
  • 自分をシニカル(笑)に見ることでそこまでひねくれることもなく育った
  • 巨大チェルナーを見て涙目になり腰が砕ける
  • プフレがアカネに攻撃された際はかっ飛んで救出する
  • 割合序盤から気持ちが参りかけ、「殺し合いが始まっているのに皆冷静なのはおかしい。全員で私を騙そうとしている」という主張をプフレにぶちまける
  • 庚江が怒っていることに気付く・身内を大切にするという認識がある
  • グレートドラゴン君に感情移入して感傷的になる
  • グレートドラゴン戦におけるプフレの思惑をある程度把握している
  • のっこちゃん/ディティック・ベル/ラズリーヌ/プフレの混成パーティが上手くいっていないのではないかと危惧している
  • 精神の安定をプフレに置きがちである(プフレが落ち着いている限り、シャドウゲールがなにやらかす(ママ)ということもないだろう、とまでベルに思われている)

 

という具合です。なんだこのかわいい生物は。

まとめると、

そこまで気も強くなく冷静でもない、シニカル要素は一切ない/プフレ・庚江の思考をある程度ならトレースできる/内心はともかくとして従者としての態度はしっかりしている

そんなシャドウゲールちゃんです。

 

 

さてそこから、ディティック・ベルの犠牲を経て記憶回復です。

護の嘔吐です。ゲームが一時終了し、現実世界に戻り、庚江の顔を見て、嘔吐!

これを皮切りとして始まる、畳みかけるようなrestart終盤どんでん返しが大好きです。

 

蘇ったのは自分がシャドウゲールになった契機、クラムベリーの試験。

100人試験の話は本当に大好きなのでさらに別記事に移動するとして。

シャドウゲールは、「自分も殺されるのではないか」という気持ちをプフレに抱き、その怯えを読み取ったプフレは動揺し、悲しみました。その記憶が枷となって、段々とシャドウゲールの思考は暗く淀んでいき、自分と行動の殆どを共にした魔法少女・プフレこそが魔王なのではないかという推測に誘導されていきます。

 

このあたりについては、順当だな、という印象です。

シャドウゲールは特にメンタルが強いという描写もなく(どちらかと言えば弱い)、プフレの意図を完璧に追える訳でもありません。

強力な思考誘導魔法に抗えるかと言えば無理でしょう。「シャドウゲールが怯えたことにプフレが悲しんだ」ことについては思考の中にはありません。

この辺はプフレが可哀想ですが、普段の行いによる補正がありそうです(自業自得)。プフレとシャドウゲールは基本的に会話でわかりあおうとしないから勝手にすれ違っていきます。はやく会話してくれ。

 

 

そういう思考の流れを経ての最終決戦手前。「のっこちゃんが死んでいた」と報告したのはシャドウゲールで、プフレは「本当に?」と確認したきり、以後それについては何も言いませんでした。

ここ、プフレ視点だとのっこちゃんを殺せるのがシャドウゲールしかいなくて、のっこちゃんの魔法に誘導されつつあるプフレにとってみれば護魔王説のかなり黒い裏付けになってます。

護について「魔王ならプレイヤーを殺すのに協力してやるさ」とまで言い切ったプフレが、シャドウゲールと魔王城で過ごした最後の時間はどういう思考のもとにあったのでしょうか。魔法の支配下でなくなっていつも通りに会話できていたら、それはそれで切ない。

 

さして間をおかず、最終決戦。プフレ撲殺未遂事件です。

シャドウゲールというキャラクターに拘るようになったきっかけがこの事件でした。

「クランテイルは魔王ではない」という事実(実際事実)をその姿から理解したシャドウゲールは、では消去法でプフレこそが魔王なのではないか、という疑念に支配されます。

(護を守るために行われたはずの)クラムベリーの試験での大殺戮を行ったプフレと、restartの電脳世界で犠牲者を厭わず立ち回り、今まさにクランテイルを犠牲に加えようとしているプフレの姿が重なり、そしてシャドウゲールはレンチ片手に地面を蹴ります。

シャドウゲールが一旦足を止めて冷静に考えれば、重ねてはならないものを同一に見ちゃっていることに気付くかもしれませんが、まあ冷静に考えることは魔王によって許されていません。

 

思考の一切が順当です。今まで描写されてきたシャドウゲールの性質ならそうするよなという感じ。「プフレを殴り、彼女の反応・出方によって魔王かそうでないかを見極める」という、プフレが今まで取ってきた人を見極める手段をシャドウゲールなりに下手に真似しているところは微笑ましくさえあります。

 

しかしプフレは起き上がらず、シャドウゲールは「自分がプフレを殺してしまったのではないか」という恐怖に駆られます。

「疑念が頭をもたげ、頭の働きも鈍る」ように働いている魔法を無視し、呆然自失、自分自身への恐怖、そして無気力という思考一色に染まっています。

この思考、のっこちゃんの誘導の結果ではなく、シャドウゲール本人の自発的なものなのではないかと考えています。のっこちゃんの魔法の効果として特徴的に描かれていた「黒い」感情はその瞬間のシャドウゲールには一切ありません。

 

そしてこの描写です。

シャドウゲールの中で、急速に全てが色褪せていく、もう、何がどうなろうが構わない。

 

前編から掘り下げられてきたシャドウゲール像に新概念が突き刺さる瞬間です。日常から逸脱し、殺し合いに巻き込まれてもまだ表層化しなかったシャドウゲール/護がプフレ/庚江においていた感情の具合、精神安定の度合いが現れた瞬間です。シャドウゲールにとって、プフレがなくては世界に色もないわけです。そこまでかと言われればそこまでではないと思います。

ちょっと言い過ぎ感はありますが、しかしこの際の思考こそがJOKERS護の「なにかあれば、私を殺してください」という怖すぎる、怖すぎる発言に繋がるのではないかと考えています。普段は表面に出てこない護の思考が漏れ出る瞬間です。大事にしていきたい。

 

そのあと、プフレさんの方での(これこそまさしく)表面に出ていなかった感情の発露「護さえいればなんだっていい」「魔王ならプレイヤーを殺すのに協力してやるさ」という大爆弾があってシャドウゲールの方の印象は薄れがちなんですが、このシーン、どちらも結局は似たような感情バレをしているわけです。言葉にしてないけど。

この二人の見事なひっくり返し具合が大好きです。restart護の魅力を伝えるにあたって強調したいのは序盤-中盤/終盤/最終盤での思考の流れです。そしてシリーズ全体を通してプフレとシャドウゲールというふたりを見た時、このrestartの二人の立ち位置が根本となっているということです。

 

二回のデスゲームを経て、プフレはどう変わったのか。シャドウゲールは何を決意したのか。その辺り、彼女たちが話し合いで解決したいようなそぶりを見せないのが非常に気にかかりますが、そこも含めて追いかけていきたい。

ちょっとぽんこつな護も、従者として外面はきちんとしている護も、お嬢とじゃれてる護も、深層でなんか怪しい思考してる気がする護も全部好きです。顔に落書きされて1週間気付かないのはなかなかすごい。本当にすごい。restart護に関しては以上です。