すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女3日目:繰々姫

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは37、繰々姫でした。

 今のところ無印→ACES→limitedと被らない感じで魔法少女の巡りあわせがいいですね……。limited魔法少女のことを考えるのはまだ時々ビクビクします。がんばります。

 

 

 

 繰々姫。登場話は「魔法少女育成計画limited」。

 あまりにも外見が幼いがために「モンスター」という悍ましいあだ名を生徒たちから頂いてしまった悩める常勤講師こと姫野希先生……がトコによって魔法少女としての素質を見出され、強制的に魔法少女となった悩めるリボン使いです。

 大抵の魔法少女の人間体名は苗字だけにしろ名前だけにしろ何かしらは覚えてるんですが、びっくり「姫野希」さんはなかなか出てこずひっくり返りました。結局FANBOOKで確認しました。ひめののぞみってなかなかに凄い名前ですよね。きっともう忘れません。

 

 繰々姫、の前に、姫野希さんについて。彼女は母を亡くし、父親と二人暮らしをしていました。

 父と希のどこにでもあるようなこまごましたエピソードが悲しい。麦茶が好きな希と、それを知っていてずっと切れないように補充してくれていた父親。悲しい。希が(トコによって)繰々姫になったために(プキンによって)父親は殺されてしまったわけで、2つの勢力に振り回された繰々姫が最期まで執念の火を燃やし続けていたところはlimitedの大きな魅力であるように感じます。執念の物語ことlimited。

 

 

 繰々姫の魔法は「何本ものリボンを自由自在に操れるよ」

 216本で服を形作るリボンのうち1本、あるいは複数本、またはその全てを、魔法少女繰々姫が動くよりもずっと速く自在に動かすことができるという、とても映像映えしそうな魔法の持ち主です。衣服もかわいいので本当にぴょんぴょん動き回ってほしい。

 全力全開で魔法を展開すると全裸になってしまうわけですが、下着もリボンなんでしょうか。まさかそんな筈はないと信じたいですが。靴のリボンをほどいて裸足になった繰々姫がリボンを飛ばしてビルをジャンプするところがすごく見たい。はだしの魔法少女、好きです。

 

 

 繰々姫について、何がいちばん好きかと言えばそれはもうlimitedラストバトルの大活躍です。

 あのプキンの剣を幾度となく受け、流し、フェイントを見切る精神力。0.05ミリのリボンを体中に巡らせ、それを動かすことでプキンの動きに対応する(≒殺されずに捌き続ける)ことを可能にした限界に近い激闘。

 あの血みどろ加減と生き物のようにうごめくリボンの美しさがものすごく頭を幸福で満たします。あの戦闘がなんでここまで好きなのかさっぱりわからないんですが、恐らくはいい感じに血が出ていい感じにかわいいことが原因です。好きです。

 

 ファニートリックとの合わせ技である、眼を煙幕弾に変えて爆発させるというほぼ即死技により、繰々姫は怨敵たるプキンを沈めます。ですが……プキンは思ったよりも強かった。彼女が自分に剣を使って死を生と勘違いするという超魔法を発動させ復活したことにより、繰々姫は喉に致命傷を受け倒れます。

 

 ここ、ここなんですが、「プキンは思ったよりも強かった」ことについて。ちょっと繰々姫についてという話題からは逸れるんですが。

 プキンから見た繰々姫達は、自分に直接害を為したレイン・ポゥの仲間であり、ソニアの仇である捜査班の一員であるんですよね。「楽しくなってきた」と言ってはいますが、プキンにとってのあの一戦は返礼であり仇討ちの意味もあるわけです。

 想いの力がそのまま力となるのが魔法少女です。ソニアの死を経た上での妖精ドーピング込みプキンだからこそ、そう簡単には倒れない。

 あの戦闘は、持てるものを全て尽くしたがむしゃらな死闘であると同時に、愛するものの喪失に込めた想いの戦いなのではないかと思っています。

 

 

 閑話休題。繰々姫の話に戻ります。繰々姫とファニートリックの「執念」はプキンの一撃を即死範囲からずらし、死の淵ギリギリに立ってでも生にしがみつかせ、もう一度会心の協力攻撃を放つに至りました。

 するするとプキンを取り巻く50センチ太のリボンはとてもうつくしいです。リボンという武器の美しさも、魔法の噛み合い方も、繰々姫が腹の底で父を殺されたことへの煮えたマグマをずっと持ち続けて死をギリギリ遠ざけていたことも、あの一戦はすべてが好きです。

 

 そしてそれだけやり遂げてもプキンがまだ生きてる。ここで綺麗に終わらないのが残酷で、そこも好きですラストバトル……。

 プキンは音に聞く化物な上に各種ドーピングが乗り乗りなので、初心者魔法少女にとっては相手が悪すぎたとしか。というか初心者魔法少女であの健闘が実際驚異なんですよね本当に……。

 メイの到着により最終決戦は終局するんですが、その場に大して思い入れのないフレデリカさんが介入することで最終的に勝利をもぎ取るってところが本当に後味悪いです。後味悪いラストで有名なlimitedですがここもかなり後味悪いです。

 

 

 繰々姫はひとりの被害者であったけれど、なにもできないと思い続けていた自分を捨てて「戦う」と決めて、自分の想いを糧に出来ることはすべてやって。全身全霊で戦い抜いたのですが、結局は経験で智略で上回る者が利益や勝利を持って行ってしまう。

 それでもこと切れる瞬間の彼女は間違いなく復讐を果たしたと信じて、満足の息を吐き出して目を閉じたのだと思いたいです。一種の満足死勢なんだろうか。満足死勢であってほしい。

 どうしようもない実力差というものはあって、まほいく界では稀に時々よくそういう要素が出てくるんですが、それでも一矢報いた魔法少女は最期にペチカのごとく輝くものを掴んでいてほしい……と思ってしまいます。たとえそれが誰かしらの手のひらの上の復讐劇だったとしてもです。

 

 

 さて好きなイラストについて。繰々姫は結構挿絵に登場してて、その絵ごとに表情も感情も違う感じで結構迷ったんですが、ここは前編のウェディンを緊縛する後ろで頬を染めている繰々姫が一押しということで。いやらしいゲームに使える魔法ですね!

 教師教師している前編繰々姫のほのぼの感が好きです。希に一回戻って教科会議に出てからまた繰々姫に戻って集合場所のアパートに向かうあたり。兼業魔法少女の道はけわしい。

 

 最後は好きなセリフについて。脱出せずに戦うことを選んだ時の「私もやります。やらせてください」でしょうか。でもこのシーンについては地の文のほうが好きです。

 

 

 ああlimited魔法少女は重い。ちょいちょい脇道に逸れましたが以上です。