すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女16日目:キーク

 

本日のまいにち魔法少女です。本来は別の魔法少女だったのですが、予定を変更して今日のナンバーは33、キークとさせていただきます。17日目だった魔法少女は72日目までぶっ飛びました南無。

 
なぜ変わったかといえばいつもTwitterでなかよくさせていただいてるファボさん(twitterファボ (@mgrppp) | Twitter ブログ:七色郵便局 )とお話ししていた際に、えすえすのまいにち魔法少女キークの日と、ファボさんが自ブログにてキークちゃんについて語る日を同じにしてみようという案が出されたためです。
 
ファボさんはキークちゃんが大好きな方なので、きっと愛に溢れた記事を書いてらっしゃることと思われます。ぜひ一度読み比べてお楽しみください。ダダ被りもありえます。180度違うこと言ってるかもしれません。とても楽しみ。がんばります。
 
 

 

 
キーク。登場話は「魔法少女育成計画restart」。黒縁眼鏡にボサボサ短髪、数サイズ大きいダボついた白衣の下には水着一丁となかなかにあざと可愛らしい魔法少女です。名前の語源は恐らくコンピュータ系技術オタクを示す言葉「ギーク」から。
restartのゲーム空間の作成者であり、今回の殺し合いの首謀者であり、そしてピティ・フレデリカによる殺し合い試験によって魔法少女となった被害者でもあります。
 
 
キークは世界創造系のレア度♡5魔法持ちであり、その特権的パワーを駆使して魔法少女達を殺し合いデスゲームに引きずり込みます。
結果的には16人の魔法少女達全員がゲームの参加を断らなかったのですが、仮に断っていたとしても「拒否権なんてない」らしいので、なんだかんだ理由をつけてゲームに参加させていたことと思います。
 
プフレがゲームマスターことキークを評することには「抜け道を用意し、それに気付けず死んでいくものを嘲笑するタイプ」なんですが、実際のところ、そういうゲームの内容はキークがきちんと意図してやっていたであろう部分(グレートドラゴン戦、マジカルキャンディーの多寡による死者一名イベントなど)と、魔法少女育成計画FANBOOKで読むことができる短編魔法少女育成計画ができるまで」で登場するデスマーチ中キークちゃんが焦点の定まらない目で適当に配置した結果である部分(飛び道具完全反射のレッドスケルトンを初見殺し的に配置)の二通りがあります。
マジカルデイジーの死について「まあ不幸な事故」ですませてるのすごい。
 
魔法少女育成計画ができるまで」は、読むとキークへの好感度があがるいい短編です。ゲームの隠れ空腹度数値設定なんかに拘るからデスマーチになるわけです。しかし隠れ空腹度設定がなければペチカが輝けずリオネッタがメルヴィルを裏切らずrestartが詰んでいたかもしれないことを思うとお疲れ様です。
 
 
さてそんなゲームマスターことキークですが、彼女がそんなゲームの開催に至った理由といえば「魔法少女を選別するものとして正しくない存在・クラムベリーによってえらばれた子供たちをもう一度選別する」ことがあります。
しかしそれだけが彼女を殺し合いの首謀者にさせたわけではなく、似たようで異なる理由として「スノーホワイト二人で世界を変える」ことを目標としているのです。
一人で選定をやり直すより、スノーホワイトを神様の座に召し上げて二人で子供たちを裁きたいキークちゃんは寂しがりかわいいですね。ふたりぐみ魔法少女です。なんのこっちゃ。
 
キークはスノーホワイトを狂信しています。彼女こそが正しい魔法少女なのだ、自分はそんな魔法少女と相棒になって世界を変えるのだ、と(自分が今やっていることがスノーホワイトが憎み嫌うはずの悪事であることを棚にあげて)考えています。
 
キークは正義を執行しているつもりなので悪びれることはありません。
たとえラピス・ラズリーヌという無辜の魔法少女を誤って死なせてしまったとしても、「まあ準参加者ってことでいーんじゃない?なんか途中でバカスカ戦って死んじゃったから問題ないってことで」と平然と言い放ちます。
 
 
うーん。このナチュラルにあたまがおかしい感じは非常に好みです。万能感の塊であり、ナチュラルに偉そうで、実際偉い。心を読まれても弱味が一切無いために心を隠そうともしない(その気になればスノーさんに魔法を使わせないことさえもできる)。
 
スノーホワイト自体、実際キークの発言を厳密に追っていけば「存在しちゃいけない」タイプの魔法少女なんですが、不殺でクラムベリー試験を乗り切り、そしてクラムベリーとファヴの目論見を潰したという事もあってスノーホワイトを例外的に愛しています(語弊のある表現)。
 
 
スノーホワイトがデスゲーム出身魔法少女であることについては棚に上げていられるキークですが、自分もまたそうであることについては開き直れなかったようでスノーさんにピティ・フレデリカちゃんのデータを持ってこられた結果自我崩壊っぽい状況になります。
まあ自分のことを「神様とおなじ」とまで言っていたので、その自分自身の立場が揺らげば魔法少女は神様に選ばれた存在」だという自分の主張から崩壊するので大変です。神様が間違ってちゃしょうがない。
 
 
ところでキークちゃんがなぜ「正しい魔法少女」に拘り、正しくない魔法少女ことクラムベリーのこどもたちを罰しつつ追試にかけたかなんですが、潜在的に自分が正しくない魔法少女であることを自覚していて、それを認めたくないがゆえに正しさに拘泥していたのかもしれません。
クラムベリーのこどもたちが遠い記憶に試験の存在を意識していたように、キークもまた自分が誕生した殺し合いを経て無自覚に変容してしまったのではないかという話です。
 
もしもキークが無意識下で「自分は正しくない魔法少女である」という意識があったとするなら、スノーホワイトと組んで、正しくない魔法少女がいない世界を目指そうとするキークには自罰傾向が見られる気がします。自己否定が他者への攻撃に転換されるって超迷惑なんですが理解できます。
この辺はちょっと話半分でお願いします。
 
 
好きなイラストについて。キークちゃんについては立ち絵が非常に好きです。restart後編で初めて露わになるその姿。ぼんやりとした表情と首から提げたルービックキューブ。明らかな強キャラ臭!
16人の魔法少女たち、に追加された17人目。良デザインなこともあって、初読時、登場人物紹介ページの段階で非常にワクワクしたのを覚えています。
それはそれとしてキークちゃん挿絵の背後にひっそり展開に一切関係なくねむりんが居るのには遊び心を感じます。キークちゃんがねむりんを創造したら入れ子構造で世界が増え続けるんじゃないのか……。
 
 
セリフについて。これなんです。キークちゃんについては好きなセリフが多すぎて困るタイプの珍しい子です。いちいちセリフが可愛い。困る。いっぱい好きなセリフをあげたい。全能感に酔ってるセリフ回しが愛しい。
「あたしは自分の罪深さに恐れおののいて後戻りできない弱虫だと思われてるの?あんたの中のあたしはそんなにつまんない魔法少女でしかないの?」ってセリフがじみに好きです。
でもやっぱり「ようこそ、あたしの世界へ」がどうしようもなく強いのでした。好きだ……。
 
 
そんな感じで文字数。ファルとキークの関係性について語れず無念。人の好きなキャラについて喋るのはなかなか緊張します。楽しかったです。明日もがんばります。