すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女42日目:プリンセス・テンペスト

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは52。プリンセス・テンペストでした。

 これでピュアエレメンツ(四人組)のうち三人について喋ったことになります。残ったのはデリュージ。うひい、クェイク・インフェルノテンペストって順番で喋っていったんですがこれは死亡順ですね。運命です。

 はいテンペスト。がんばります。

 

 

 プリンセス・テンペスト。登場話は「魔法少女育成計画JOKERS」。言わずと知れたピュアエレメンツが一人。

 所有する属性は「風」。ピュアエレメンツの中で唯一飛行を可能とします。そのためか、FANBOOKでも彼女だけ魔法のレア度が3となっています。他の三人はレア度1。

 

 テンペストは……かわいい。見た目が本当にかわいい魔法少女です。JOKERSを読む前の、キャララフ段階ではアンブレンと並んでイチオシ魔法少女でした。

 イチオシ魔法少女がまさか二人ともクビヲハネられるとは思ってもみませんでした。

 

 彼女の髪型は、ツインテール……と言うべきなんでしょうか、とにかく二つにまとめた髪には黄金の林檎が幾つも実り、月桂樹を背中や首や太腿に纏わせ。どこか神々しい雰囲気のあるコスチュームです。ピュアエレメンツの名に恥じず(?)高露出魔法少女です。ふんどし。

 

 武器はブーメラン。ぶんぶん振るっていろんな魔法少女を怯えさせていました。特に直撃した子は居ませんでしたが、当たったら相当ヤバそうです。すっぱり両断されそう。ブーメランのデザインもかなり好きです。神々しさがある。

 

 特に好きな点と言えば彼女がはだし魔法少女であるということ。

 裸足魔法少女は結構レアです。カワイイ!はだし……好きです。基本浮遊魔法少女にのみ許された特権っぽいですね裸足要素。ちなみにテンペストを除くはだし魔法少女と言えば確定だとピーキーエンジェルズと魔王パム程度のものです。

 

 

 とにかくかわいいテンペスト。溌剌とした外見に違わず、内面・人間体も溌剌としています。お名前は東恩納鳴。捏造苗字が多いことで知られるまほいく人間の中でも珍しく「実在する苗字」を持ってる子です。

 

 年齢は小学二年生。あっ。あああ……

 JOKERSにおける小学生魔法少女です。無印でのスイムスイム(小学一年生)、restartでののっこちゃん(小学四年生)の中間ちゃん。

 他の小学生魔法少女が「16人の魔法少女たち」の中での一番最後、トリの死を飾っていたことに対して、果たしてテンペストはどうなるのかと思っていました。まさか終盤でアッサリクビヲハネられて終わるとは……。

 

 しかし死亡フラグは丁寧に丁寧に積み上げられていたので、小学生魔法少女というメタ死亡要素を差っ引いても「ああ、死ぬな」と思わせる子でした。切ない。

 テンペストが天才的発想だと確信してた、魔法少女になって思い人に会いに行く作戦、それは2シリーズ前にペチカっていうかわいい魔法少女が平然とやってたことなんだよ……という読者の想いはテンペストには通じません。鳴は「魔法少女」に自分の恋心を託して、田中先生の待つ会議室に向かいます。

 

世の中、多くの魔法少女がいるなら不純な動機で魔法少女になる者もきっといるはずだ。魔法少女になってからの行いが正しいのならば、理由が何であっても正しい魔法少女に違いない。

 

 ぽろっとテンペストから「正しい魔法少女」論が聴けたのは嬉しい。魔法少女にはそれぞれ、本当にそれぞれの魔法少女観があるので、そういう彼女たちの考え方に触れるのは面白いです。

 ところでテンペストは結構魔法少女に詳しくて、キューティーヒーラーシリーズも追いかけてる子です。あの4人の中では一番「魔法少女」に対して思うところがあったのではないでしょうか。しかし本人の頭の中はそれより恋心でいっぱいです。

 

 

 そんなこんなでテンペストはデリュージと共にフリーランス三人組と接敵し、ラグジュアリーモードを開放して難なく撃退します。

 あのシーン、明確にカフリアが戦闘能力として格下であり、フィルルゥが純粋に強い魔法少女であり、ウッタカッタが中々に手ごわい魔法少女だなあということがよく伝わってきます。好きです。

 

 その日の夜。

 

寝る前にランドセルの中身をチェック、体操着が準備されているのをチェック、宿題がきちんと終わっているのをチェック、隠し撮りした翔の写真にキス、神様に祈り、仏様に祈り、ベッドの上に寝転んだ。

あまりにも幸せすぎる。こんなに幸せでいいのだろうか。妬まれたり嫉まれたりしないものだろうか。鳴は布団の中でまどろみながら、ぼんやりと微笑んだ。

 

 こういう再読時に心をえぐる描写……。

 鳴の「明日の準備」は二度と使われることはないし、人間の幸せを一切理解しない、当然妬みも嫉みもしたりはしない「魔法の国」の魔法少女たちによってテンペストはただの「実験体」として扱われ、殺されて行ってしまうわけです。

その辺を明らかに意図した上でのこの描写。神か悪魔か遠藤浅蜊先生様。

 

追記:コメントでご指摘頂きましたが、テンペスト/東恩納鳴が死亡したのは明らかに翌日の放課後以降のことなので「明日の準備」はちゃんと使われてますね。よかった! いやよかったのか……? 遠藤先生に対し理不尽な神か悪魔認定をしてしまって大変申し訳ありません。

 

 テンペストは……クェイクが命を張って助けようとしただけに、そして本人があどけない少女であるために、本当に死んだときには心に来ました。「涙を流して喚き、床に頭を何度もつけた」というグリムハート視点の描写のおぞましさ。

 何度も書きましたがピュアエレメンツはとにかく「むごい」。ACESのデリュージを含めて、むごい。皆、勝手な都合で魔法少女にされ、勝手な都合で放置され、勝手な都合で発見されて巻き込まれる。とことんその調子です。

 

 JOKERS前半の和気藹々としたピュアエレメンツと、凄惨で誰も救われない末路の落差、それが一巻の中に押し込められている、JOKERSはそんな恐ろしい本です。アレは本当に、単巻で完結したからこそ感じる「気分の悪さ」です。好きです……。好きなんですがさすがにつらい。

 

 

 好きなイラストについて。口絵ピュアエレメンツの華やかな笑顔が好きです。やっぱりデザインとして秀逸だ。緑の眼。ハイライトの大きいくりっとした眼。かわいい……。

 

 

 好きなセリフについて。ものすごく「そこ動くな馬鹿カラス!今度こそ足腰立たなくなるまでやっつけてやるから!」が好きです。テンペストと言えばこれって程度に好き。

 なんというか……まるで魔法少女みたいなセリフじゃないですか(?)。アニメに影響されてるのかな。かわいいなぁ。

 ピュアエレメンツは皆比較的新米魔法少女で、隔離培養されてて、世間の腐り切った魔法少女たちの風潮に毒されていないのでこう表現にすがすがしさというか、健やかさを感じます。

 

 

 以上。明日もがんばります。