すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女43日目:魔王パム

 

 さて本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは42。魔王パムでした。

 うわあ。魔王だ……。魔王。がんばります。

 

 

 魔王パム。登場話は「魔法少女育成計画limited」。魔法少女の頂点こと魔王です。

 彼女のコスチュームはすごいアレです。高露出魔法少女達の中でも一二を争う高露出っぷりなのではなかろうか。全体的に黒と赤で構成されたコスチュームです。

 

 赤い目、赤い爪、赤いリボン、鋭い牙。どこからどう見ても「戦う魔法少女です。このデザイン、ものすごく好きだ……。

 基本、角つきの魔法少女は好きです。羽根持ちの魔法少女、好きです。尻尾魔法少女、かなり好きです。はだし魔法少女、ものすごく好きです。というわけで魔王パムのコスチュームはドツボに近い。

 

 

 魔法は「四枚の黒くて大きな羽で戦うよ」。こんな魔法があっていいのかと言う程に「全能」「万能」な魔法の使い手です。名前から想像つかないですこんな異常な魔法。

制約は「四枚」という上限だけで、羽はもう何でもありな風に変形します。気体から音波から液体から果ては魔法少女に至るまで何でもありの極み。魔王の魔法について喋っているだけで魔王回が終わりそうです。

 

 魔王の技のネーミングセンスは。うーん。FANBOOKでは微妙な評価をされていますが、そこまで悪いとも思わないです。「森の音楽家」クラムベリーや「双子星」キューティーアルタイルちゃんなど、魔王の与えた二つ名はけっこう好みです。花売り少女……花売り少女は……

 技名に関しても、「吠え猛る風(ミーノース)」とか、「巨大な門衛(ハダーニエル)」とか。厨二チックながら格好いいんじゃないかな……。名前を結構頑張って考えてる魔王様はかわいい。

 

 

 魔法少女の頂点と呼ぶに差し支えのないその強さ。魔王パムは、外交部門の決戦兵器、「大量破壊が可能な魔法少女です。

 

「大量破壊が可能な」という枕詞は遠藤先生の前作「美少女を嫌いなこれだけの理由」に登場した「大量破壊が可能な美少女」を思わせます。思わせるんだと思います。

 自分はlimitedを読んでから「美少女」を読んだので、どちらかと言えば「大量破壊が可能な美少女」のほうに、逆に魔王パムを重ねていました。これはきっと「美少女」から追いかけていた遠藤先生ファンとしてはニヤリの展開だったのではなかろうか。

 

 

 そんな魔王様ですが、超武力存在であると同時に、戦闘サークル「魔王塾」の塾長でもあります。外交部門にガッツリ後ろ盾として構えられている、戦力の塊こと魔王塾。そこで魔王に認められれば即出世の実力社会です。

 実際のところ、現在の魔王塾は魔王の初期の志とは大きく方向を違えてしまったらしいです。少し悲しい。パムは当初、

戦士とは孤独な生き物だからこそ、仲間がいた方がいい。数多くの仲間達と切磋琢磨していけば、たった一人で高みを目指すよりもきっと楽しい。荒っぽい魔法少女達の精神修養、魔法少女戦闘技術の継承、そういった名目はあくまでも建前としてあればいい。そう考えた。

 (魔王塾主催地獄サバイバルからの引用)

 という気持ちの元に魔王塾を立ち上げています。今となっては権力やら何やらが絡まって複雑なことになっている様子。

 

 そして魔王塾にはさらなる打撃が。魔王塾卒業生・クラムベリーが起こした大スキャンダルは魔王塾のネームバリューを失墜させ、魔王塾の、魔王の立場は更に変わっていきます。今となっては「魔王を出すまでもない」と感じるようなB市殺し屋潜伏事件に魔王が登場したのも、そのスキャンダルが一因だったのかもしれない。

 外交部門の名前を、威信を誇示するために。魔王パムはB市に向かわされ、彼女の最得手でない市街地戦を強いられます。

 

 

 同輩とはやわらかい微笑みとともに敬語で接し。魔王塾内や敵、弱卒魔法少女には「魔王」然とした軍人感のある振る舞いで威厳を見せる。

 そんなお仕事モードのパムさんは見ていてすごく好感が持てました。内心色々と思っていようと、仕事は仕事。戦いに楽しさを見出しそうになってしまってもいけないいけないと自制をかけるパムは本当にかわいい。

 

 かわいいといえばポスタリィとレイン・ポゥにひたすらビンタかますパムがかわいい。ぶっ倒れてますがかなり加減されたビンタです。パムにとってすればレインポスは「巻き込まれた被害者」なので、どちらかと言えば保護の対象です。ちゃんと保護している。

 もしもレイン・ポゥが並の魔法少女だったなら、彼女がただの被害者ではないということに魔王は気付いたでしょうが……レイン・ポゥはレイン・ポゥで異常な子だったのでした。

 

 

 さて魔王パムの活躍続き。limitedトップクラスの戦う魔法少女こと「ソニア・ビーン」と一対一の決闘を申し出られ、いよいよ満面の笑みと共にそれを受けます。

 ここからの戦闘は良いなあ。詰将棋のような戦闘。「魔法少女戦」という雰囲気にはまったくそぐわないのですが、それとは別系統として楽しい戦いです。

 ソニアを屠り、同時に斬り込んできたトットポップ・フレデリカ・プキンの三者の攻撃を隠し羽でいなし。息を飲む暇もない戦闘に次ぐ戦闘に頭がくらくらします。プキンとの戦闘描写、すごく好きです。地の文は矢継ぎ早に短文の描写が続いて息もつかせない。

 

レイピアによる突きが来る。一撃目は後ろに跳び、そこからさらに伸びた二撃目は身を捻り、三撃目はしゃがんで回避する。同時に魔王パムは翼二枚を地面に這わせた。それを支えにして跳び、牽制の蹴りを繰り出す。四度目の突きに脛が触れる前に足を戻し、今度は軸足を伸ばした。剣士の右腕を蹴ろうと試みるが、肘で迎撃され、足の甲に痺れが走る。五撃目が来る。魔王パムは不自然な態勢でまともな回避は難しい、ように見えているはずだ。地面に這わせていた翼二枚で足元の巨大なコンクリ塊を持ち上げ、それを相手の攻撃に合わせて立てた。レイピアがコンクリ塊を突き刺し、魔王パムはその裏に回った。

 

 魔法少女の戦いは数秒の間に行われるスピーディで苛烈なもので、それに合わせて文体もハイテンポで詰まったものへと変わっていきます。それを必死で追いかけて、でも決着が知りたくて先を急いでしまって、そんなハラハラした気持ちが楽しめる戦闘シーンです。好きです。好き。

 

 

 そんな最高の戦いぶりを見せてくれたパムでしたが、ついに牙をむいたレイン・ポゥの奇襲により腹部を虹で貫通され。無敵無敗と謳われた外交部門のリーサルウェポン・魔王パムはついに地に崩れることとなったのでした。あのパムが血を吐いてる挿絵、前ページから透けて見えるんですよね、それで初読時にプキンVS魔王の最高の戦いを読み進めながら挿絵を透かし見てしまって(あっ)ってなったのはいい思い出です(遠い目)

 

 ううう。パム……。limitedのパムはこれにて退場となりますが、limited後に出された短編「魔王を討伐したいから」や「魔王塾主催地獄サバイバル」で、彼女の想いや戦いへの欲求、理念などは知ることが出来ます。惜しい人を亡くしましたが、メタ視点だとほぼ死亡確定のようなキャラクターでした。無念だ……。

 魔王が宇宙空間で大活躍してる短編出してくれないかな。駄目かな……

 

 

 さて好きなイラストについて。limited前編のカラオケルームでのおっとり微笑のパム様がとてもかわいい。パムは一応7753の視点によると外見年齢「女子中学生」系の魔法少女らしいんですが、それにしてはその胸が。胸が大きすぎはしませんか。

 

 

 好きなセリフについて。ソニアとの対決を始めるときの「ソニア・ビーンよ!受けて立とう!かかってこい!」が魔王然として格好良くて大好きです。

 ところでクラムベリーは基本「チャレンジャー」としての立ち位置を取っていますが、対して魔王は常に「チャンピオン」として君臨しています。格好いい。

 

 以上。明日もがんばります。