すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女57日目:メルヴィル

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは23。メルヴィルでした。

 わーいメルヴィル。好きです。がんばります。

 

 

 メルヴィル。登場話は「魔法少女育成計画restart」。

 ツインテールに紫の薔薇を纏わせている、露出度の高いコスチュームの魔法少女です。restartを読み返していてちょっと印象的だったのが、メルヴィルのあのよくわからない下半身部分のコスチューム、文章上では「スカート」なんですよね。完全にパンツスタイルな魔法少女だと思ってました。どうなんだろう。表記ゆれかな。

 耳がつんと尖がっていて、肌が白く、金髪で、薔薇。あーどこかで見た事のある魔法少女ですね! どこかで!

 

 メルヴィルは基本的には紫の薔薇が主体となってコスチュームを飾っているんですが、例外的に左胸(心臓)と左手薬指(結婚指輪部分)には赤い薔薇が飾られています。赤い薔薇の持ち主に命と忠誠を捧げていることがコスチュームからわかります。

 はーーめっちゃかわいい……このどうしようもなく狂信者なメルヴィルのコスチューム、かわいい。多分想い人に一切許可取らずに薬指に薔薇飾っちゃってる辺りが相当に頭おかしくてかわいい。

 

 

 無印から入った読者にとっては、登場人物欄の彼女を見た瞬間に前作の音楽家さんの記憶が蘇り(こいつやばい)と思ったことでしょうか。

 自分はちょっと記憶があいまいで、そのあたりの初読時の感想が思い出せないんです。察しが悪いので、遅まきながらにメルヴィルと音楽家の関連にはっきり気がついたのがシャドウゲールとマスクド・ワンダーがチェルナー・マウスに狩り妨害をされ、マスクド・ワンダーがチェルナーを吹っ飛ばし……の後の、メルヴィル初登場シーンでした。多分。記憶が正しければ。

 

シャドウゲールは眉を寄せた。その魔法少女を見て不安な気持ちに襲われた。訛りの強い言葉のせいだろうか。それとも妙に落ち着いた声のせいだろうか。なにもないと思っていた場所から不意に現れたせいだろうか。マスクド・ワンダーを見ると、彼女は恬然とし、全く動じることなく腕を組み、そのせいで胸の大きさが強調されている。

 

 ここですね。ここで初めてん?と思って、メルヴィルがクラムベリー感バリバリなことに気付いたような気がします。

 

  restart魔法少女達は、クラムベリーに関係する記憶を消された状態でデスゲームに参加しています。しかしながら読者は当然、クラムベリーの存在を憶えている状態でrestartを読むことになります。(restartから読んだ方は対象外です。 しかし一時期魔法少女育成計画無印は死ぬほど枯渇してたので、restartから読んだ人って一定数居るんではないかなという気がします。ちょっと感想を聞いてみたい

 クラムベリーの所業を知っているので、読者はメルヴィルを(魔王ではないかもしれないにせよ)黒だと思ってrestartを追っていくことになります。少なくとも自分は追っていきました。

 

 

 その疑いに違わず、メルヴィルの行動は真っ黒です。これで魔王でないのがニクい。

 マスクド・ワンダーを殺し、回収したレアアイテムのミラクルコインの表示を魔法で書きかえることで隠蔽。この時ゲットしたミラクルコインの恩恵は後編に登場した「力の護符」と「邪神の弓矢」となって登場し猛威を振るいました。弓矢がレアドロで異常強化されていましたが、メルヴィルのメインウェポンの固有武器は無尽蔵な銛であって、弓矢ではない……と、思います。どうかな。

 余談ですがメルヴィル山ガールですが武器はなんですよね。まあメルヴィルですからね。久慈真白ちゃんですからね。

 

 チェルナー・マウス脱落の契機となった、「マジカルキャンディーの数が一番小さい人が一人脱落する」というイベントの時。あれはメルヴィル「色を自由に変えられるよ」という魔法紹介を読んでいる読者にとっては、これどう考えても犯人メルヴィル濃厚だよ! メルヴィルだよー! って感じなんですが、メルヴィルに特に悪印象を持たない(というか、薔薇を本能的に忌避しちゃってるような子も「子供達」にはいるそうですし)魔法少女達はメルヴィル「風景に溶けこむ」という魔法申告を信用しちゃっているのでどうしようもない。

 この段階ではまだ魔法少女達の中に「魔王」が居るということが明かされていないので、同じチームの魔法少女にさえ魔法申告を偽っている存在が居るというのはちょっと想像しがたいですしね。

 

 とにかくそんな感じで積み上げられるメルヴィルの八面六臂の暗殺活動には歯がゆい思いでした。前編時点でメルヴィルはなんと二人手にかけています。これでまだキルスコアの半分行かないのがすごすぎる。

 あと前編の間の暗躍として、メルヴィルはリオネッタと契約を結んでいます。ペチカちゃんが描写されなかったその契約シーンの直後に視点を持ち、リオネッタと合流し、薔薇の匂いを嗅ぎ取っていました。この伏線初読時はがっつり見逃してました。ごめんね……

 

 

 さて前編のメルヴィルの活躍はこの程度ですが、いよいよ後編について! restart後編、終盤にかけてのメルヴィルの殺人ラッシュはすさまじいものです。

 メルヴィルは「魔王が魔王城に居ない」という事が明らかになり、手掛かりを探してあちこちうろちょろしているディティック・ベルを付け回していました。記憶回復装置を手にしたベルを背後から襲い、殺しますが、ギリギリで頭をフル回転させたベルにしてやられて回復装置を取り逃します。

 ここで回収できていればメルヴィルちゃん大勝利エンドだったかもしれませんね。その先にあるのはクラムベリーはやっぱり死んでいたんだっていう絶望ですけど。

 

 記憶を取り戻した魔法少女達は完全にメルヴィルを魔王だと断定して殺しに向かいます。当然だ。なのでメルヴィルも応戦します。

 そこからのキルスコアの伸びがもうすごい。本当すごい。メルヴィルは第十章「ペチカinクリーチャーワールド」において三人殺して自分も全身をバラバラに分断されて死ぬという壮絶な立ち回りをやってのけます。はーー。あの目まぐるしい展開、本当に好きでした。あの壮絶な「戦う魔法少女」達と、そして「戦わない魔法少女」ペチカの戦いは、最高です。最高でした。

 個人的なrestart後編ベスト戦闘はメルヴィルVSラズリーヌです。最高。あの5秒間の死闘を見るにつけ、魔法少女の戦闘は基本秒単位の超高速なものなんだろうなと思います。

 

 

 いやあ壮絶だった……。メルヴィル、好きです。自分はよく考えて動いている魔法少女がすごく好きなので、狡猾に水面下で殺して回りつつ、いざ露呈したら一気に隠しておいた戦力をだばあするメルヴィルの戦い方はすごく好きでした。

 

 「強いこと」とは別にある、メルヴィルの好きなところについて。

 

クラムベリーの基点は「自分が強い」にある。メルヴィルの基点は「クラムベリーには及ばないから違うやり方をとる」である。

 

いつかクラムベリーにも勝てる魔法少女になりたい。そう思い魔法少女を続け、壁にぶつかり、超えられず、もがいていた時に、誰よりも強かったはずのクラムベリーが殺された。

 

クラムベリーの試験を勝ち抜いた者を一同に〔ママ〕集めてゲームをさせる。それはつまり クラムベリーが生きていたということではないか。

 

 これです。好き。かわいい。

 この屈折した生きづらさと信仰心はメルヴィルのよいところです。可哀想な子なんですよね。可哀想な子は好きです。人狼がモチーフになっている気がするrestartでメルヴィルは狂人ポジションであり、実際狂人です。かわいい……。

 寄る辺にしていた最強の存在、森の音楽家クラムベリーが居なくなってしまい、途方に暮れて、気付いたらその信じるところさえ記憶を消されてしまっていたメルヴィルです。あー。かわいいなあ。再び魔法少女の力を取り戻し、「クラムベリーが生きている」という希望に縋ることができたrestartのゲームは明確に彼女にとって「救い」であったはずです。大多数他魔法少女にとっては救いでもなんでもありませんが。

 

 メルヴィルが、クラムベリーが生きていると誤解したまま死んだのは、もしかしたら彼女にとって幸せなことだったのかもしれません。死後で好きなだけ遭遇してくれ。

 

 文字数により好きなイラストとセリフは省略しまして以上。明日もがんばります。