すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女62日目:プリンセス・デリュージ(ACES)

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは81。81!つまりはとらのあなのまほいくポータルサイトで紹介されている魔法少女達の中で、現行一番最後にナンバリングされてる魔法少女です。

 魔法少女ナンバー1がスノーホワイト。81がプリンセス・デリュージ。対だ。デリュージのみならず、スノーホワイトは色々な魔法少女と対になっている気がします。主人公ですから。


 というわけでACESにおいてのプリンセス・デリュージが今日の魔法少女です。

 デリュージ……デリュージ。ACESのデリュージについてコメントをするのは続刊が出るまで待ちたいなという気持ちはありますが、とりあえずまだ続刊が出ていない段階での印象を喋っていこうと思います。
うぐぐ。がんばります。

 

 

 プリンセス・デリュージ。登場話は「魔法少女育成計画ACES」。

 前作のJOKERSから引き続いての登場です。
 初登場話・JOKERSでは、何だかんだ死闘を潜り抜けて、ピュアエレメンツのただ一人の生き残りと相成りました。一緒に脱出したはずのフィルルゥさんは目の前で倒れてしまったりして、デリュージのメンタルはボロボロです。

 実際彼女が脱出以後どういう行動をとったのかについては謎ですが、最終的にデリュージは7753ハウスで保護されて布団の山になっていました。

 

 「デリュージがACESに登場する」と知った日にはかなり慄いたのを憶えています。過大な精神的ダメージを受けて引きこもっていたデリュージが、ノンストップで殺し合いの場に巻き込まれてしまうという悲しさ。
 ラフ絵にデリュージらしき影を見つけた時は、デリュージはもう少し休ませてやってくれ……という思いが大きかった。

 シャッフリンの再登場も明らかとなっていましたし、せっかく生き残ったデリュージが今度こそACESで脱落してしまったりしていたら、どうしよう、と思っていました。

 


 杞憂でしたねそんなことは!

 というか、ACESではデリュージは(表面上)(表面上!)ACESの舞台に巻き込まれた側ではなく、明確に戦意と殺意とを持ってカチコミをかましてきた側の存在だったのでした。被害者というか加害者側。
 整理も兼ねて、彼女の動きの流れをさっくり遡ります。

 

 まずはじめにJOKERS事件が収束しました。

 直後のデリュージを取り巻く環境は、「血液や唾液を採取されたり、繰り返し質問されたり、そういうことばかりだった」という感じ。その時に彼女はデリュージ以外のピュアエレメンツが全員死亡していることを知ります。

 

 そこから、人事部門トップのプフレの首根っこが抑えられている状態(=それほど時間が経っていない)頃に何故か7753ハウスに輸送されています。

 これ本当何なんでしょうかね……。プフレが抑えられている状態で直属の部下・7753に研究材料として最優先の存在が突っ込まれている謎。7753ハウスにデリュージが居候していたことをプフレが把握していなかったこともまた不思議です。

  この期間が「一ヶ月間ほどだったらしい」とのこと。

 デリュージはこの期間をほとんど記憶していません。彼女が思い出す風景は靄がかかったようにぼんやりとしています。ああーーキナ臭い……。

 

 

 そして、「家主側になんらかの事情があって、」デリュージは7753ハウスを離れ、「魔法の国」による魔法的処理を施された家族の元に送り返されます。


 その間は週に3,4日程度の割合で研究部門本部ビルに通い、「人造魔法少女」としての差別を受けつつ(「あの」デリュージが、それにも気付かないとは)、ブルーベル・キャンディと知り合ったりしつつの日々を送ります。それもまた「一ヶ月」程度の期間。

 

 色々あってデリュージは家に居づらくなったので、研究部門のビルの休憩室に(ブルーベルの提案で)泊まり込むことになります。そのベッドにある日畳まれたコピー用紙が届き、あれこれ入れ知恵を受け、デリュージの心はずんだかだんと復讐に傾いていきます。

 

 で、デリュージはブルーベルを利用して色々な場所を見学しに行きます。

魔法少女の歴史について記された本が収めてある魔法少女専用の図書館」はぜひ以後で紹介されてほしい素敵さがあります。多分プフレちゃんが入り浸っていたのではないかなと思います。こういう世界観を深める描写がACESはちょこちょこ登場して嬉しい限り。

 この期間はどの程度の物なのでしょうね。結構色々なところに見学に向かっていたようなのでそう短期間ではないような気がしますが。うーん。

 

 そして「自分たちがかつて活動していた研究所をもう一度だけ見たい」ということを頼み込んでデリュージは因縁の研究所に再び赴き、ブルーベルの協力により(!?)プリンセス・クェイク、プリンセス・テンペスト、プリンセス・インフェルノ、そしてプリズムチェリーがどのようにして殺されたのかを理解します。何をどうしたらそんな情報が出てくるんだ……

 

 そして。それから一週間たたずして、ACESことデリュージちゃんの復讐劇が開幕です。いやあもう丹念に丹念に育てられた操り人形って感じで。正直に言ってACESのデリュージはちょっと可哀想すぎて見ていられないところがある。

 

 

 彼女はもうどうしようもなく傀儡です。本当に。JOKERSに誰が関係していたのかをデリュージよりも知っている読者の目からすれば、彼女が真に復讐すべきはシャッフリンではなくプフレのような気がします。プフレが人造魔法少女を作らせたので。

 これはプリンセス・デリュージというキャラクターが魔法少女育成計画のなかでひとつ際立った個性の一端なのですが、デリュージは魔法少女になんてならなければ」と考えることができる子なんです。彼女にとってすれば、「自分を魔法少女にした」遠因であるところのプフレが全ての原因として決着しうるはずなんです。
 が、デリュージはプフレが人造魔法少女育成計画に関与していたことを知らされていない。知らされていないまま、フレデリカと初代ラズリーヌという二人の舞台裏の存在によってプフレの言うことを聞きつつ好きなように動かされています。

 

 あー。彼女がACESで完全に復讐に身を投じて、地獄から蘇ったシャッフリンハンターとして生き生きと悶え苦しみながら殺戮をしている場面、すき、とてもすきなんですが、それは誰かが裏で糸を引いている復讐劇なわけで……苦しい。

 デリュージにはもはや正しく歩み直す道が残されていないような気がします。誰も味方がいないんです……。どうなるんだろう。不安です。

 

 

 それはそれとしてデリュージが苦しんでいる描写は一つ一つが星の粒と言えるほどに素敵です。酔いしれます。デリュージ視点の全てが最高です……。デリュージは展開が収束していないので完全に振り返り回になってしまいましたが、もう彼女の描写があるというだけでACESはとても素晴らしい作品です。

 

 どこかに居るようなただの中学二年生だった青木奈美が、プリンセス・デリュージとして心から笑えるようになり、そしてその拠り所だった全てを奪われ。

 顔も知らない何者かに示されたままに、踊らされていると知った上で復讐の道に自ら進み。それでもその選択に苦しみ、迷い、ブルーベルやスノーホワイト、プフレといった他の魔法少女に気持ちを惑わされながら、ずぶずぶと取り返しのつかない沼深くへと沈んでいくデリュージは……。 

 よい。とても……苦しく……よいものです。ああ……デリュージの物語はどういう決着を見せてくれるのだろう。叶うならば救われてほしいものですが。改めて、続刊が楽しみなACESです。

 

 

 さて好きなイラスト。シャッフリンを殺して壮絶な微笑みを浮かべたデリュージ以外に選択肢があるでしょうか。あの殺戮はデリュージにとっては救いでもあり、それを上回る苦しみでもあって、どうしようもないんです。好きです。

 

 好きなセリフ。「殺す!」しかないんじゃなかろうか。

 

 以上。明確に語り切れていません。明日もがんばります。