本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは14。シスターナナでした。
ナナ……ナナはすごい子です。つよい。がんばります。
シスターナナ。登場話は「魔法少女育成計画」。
シスターナナはとにかく強い。強い子です。まほいく界でもひとつ頭の抜けた飛び抜けたキャラ造形のような気がします。
モチーフとしては名前の通りシスター、修道女がコンセプトになっています。しかし自分の認識では修道女とは恋愛禁止だったように憶えているのですが。シスターナナの信仰心はFANBOOKによれば驚きの♡1つですからね。神と結婚していなければ別に禁忌でもないでしょう。コスプレとしての修道女です。
しかし本当に彼女は何を思って修道女になることを選んだんでしょうね。亜柊雫、ウィンタープリズンを「王子様」と慕う彼女が自分に修道女というキャラクターを当てはめた理由とは。
うーん想像なんですが、自分がただのお姫様としてウィンタープリズンと恋愛するよりも、ずっと「禁断の愛」っぽいからじゃないでしょうか。王子様としてのウィンタープリズンに一方的にハードルを課していくスタイル。素敵です。
彼女の魔法は「好きな人の力をめいっぱい引き出せるよ」というもの。「めいっぱい」という表現は非常にまほいく魔法らしくて好きです。
ふたりぐみ魔法少女の頂点に近い、タッグで居ることを前提とした魔法ですね……。魔法の対象は「好きな人」と銘打ってはいるものの単体ならだれでもよい模様。好きって好意の好きじゃなくてこれ「任意」の意味での好きな人じゃないだろうかという気持ちになります。
力を引き出せるのは視界内一名、自分を対象にするのは不可能、しかも上げられるのは魔法能力でなく身体能力のみ、というなかなかに使いどころが制限された魔法です。
しかしその魔法があったために、本編ではウィンタープリズンにクラムベリーを圧倒……圧倒はしていませんでしたね、「殴り合いが成立すること」だけのパワーを与えました。恐らくはウィンタープリズンの持ち合わせた身体能力♡4つが♡5つになる程度に底上げがあったのではないでしょうか。それでも7発以上拳を受けて鼻血で済ませているあたり、まだクラムベリーの方が格上な気がしますが。どれだけ化物なんでしょうか。恐ろしい。
しかしまあナナの魔法は愛に溢れた魔法です。ウィンタープリズンへの愛ではなく自己愛に溢れています。ナナは自分のために戦ってくれる存在(彼女の王子様ことウィンタープリズン)のためだけに魔法を行使します。自分はあくまで非力な「守られる」存在としての立場を貫こうというわけです。
この非力な魔法少女としてのありかたがこの……。FANBOOKが発売されて、シスターナナの身体能力が♡4つあると知った今となっては本当に……ひどい。彼女の突き抜けっぷり、自己愛の行きつきっぷりには一周回って尊敬しています。すごい。
シスターナナはピティ・フレデリカやプキン、リップル、ラピス・ラズリーヌなどなど、各所ですばらしい戦闘能力を見せてくれた魔法少女達と同じ身体能力を持っているわけです。今のところ身体能力♡4で戦闘せずに脱落したのはシスターナナただ一人です。この記録は恐るべきものです。ちなみに人間状態で自殺するというわけのわからない脱落手段をとったのもシスターナナ一人です。
そんな非戦闘的な生き方を貫いた彼女の、魔法少女育成計画本編における……いや、魔法少女育成計画が開始する以前からにおける目標と言うのは、「優しく、清らかなヒロインとして王子様を庇って死にたかった」というもの。
うわあ。
彼女は自分が嫌いであり大好きだったのだろうなあと、一発で感じさせてくれる、そんな一文です。奈々のような精神を持った人間はたぶん世界にちらほらいます。自己嫌悪しつつ、自分のことが大好きで、早くいなくなりたいんだけど、その時はせめて悲劇的な何かしらで死を装飾したい。そんな人たち。そういう意味で彼女のメンタルは♡1つで的確です。生きる意志がないのですから。
そう、シスターナナには「生きたい」という気持ちはありません。ただ美しく生き抜いた、美しく脱落した、その結末こそが彼女の望むところ。
ただただシスターナナの無事を祈って目を閉じだウィンタープリズンとは、彼女も自覚するように「決定的な断絶」があるわけです。
シスターナナの身体能力は高い。♡5つがクラムベリーただ一人の無印において、決して身体能力で劣る存在ではありません。希望を捨てずにもう少しだけ待っていれば、勝手にクラムベリーは死んでますし、家は特定されていませんし、彼女が脱落せずに生き延びる展開もありえたのかもしれません。
しかしそれはナナの「趣味じゃない」のです。彼女の希望は死ぬことにあったわけなので。生き抜こうと努力し、あがき、そして倒れていった魔法少女たちに唾を吐くような生きざまです。トップスピードのありようと比べてみましょう。
ナナのそういうところが自分は言いようもなく好きなんですよね……。
シスターナナは理想に生きた存在でした。最良の結末、王子様を守って死ぬ、それは達成できませんでしたが、そこから自分が許すギリギリの「美しい死」をもぎ取っていきました。最高に自分勝手。最高です。残されたスノーホワイトが苦しもうが、指導途中のハードゴア・アリスが放り出されようが、知ったことではないのです。素晴らしい。
彼女の好きなところ、もうひとつ。それはあれだけ作中で涙目になったり泣いたり震えたりしていたナナが、ウィンタープリズンを失って以降は決して涙を読者に見せなかったということ。奈々はただ虚無感を抱えてベットで転がっていただけです。
当たり前です。涙を見せて効果のある相手はもうこの世に居ないわけですから、涙を流すこと自体が無意味なんです。ははは。突き抜けてるなあ。
シスターナナ……。彼女のような存在は、あまり内面が掘り下げられない単巻完結の無印にしか居られないのかもしれません。なのでナナのようなインパクトのある子の再来はないのかもしれない、と思うと実に特異な存在です。
ところで今回書くのを省きましたが、短編で沢山ウィンタープリズンとのいちゃいちゃ場面を見ることができます。本当にびっくりするぐらい、ウィンタープリズンとシスターナナの短編登場率はすさまじいです。そして毎回イチャイチャしています。
なんというか、あのイチャイチャをみるにつけ、ナナはあそこまで愛されてもまだ生きる方向に意思が向かわなかったのか、と驚嘆します。そこ、そのゆるぎない意思は、本当に尊敬に値すると思います。方向性は負でしかないんですけど。
さて好きなイラスト。リップルとトップスピードに協力を持ちかけてる挿絵が好きです。シスターナナは胸がとても大きいですね。その割に小柄なのが非常にかわいいです。ウィンタープリズンが大きいだけかもしれない。
好きなセリフ。セリフ……。独白が好きな子だからなあ。本編からでしたら「火を使ってる時に笑わせないでくださいよ」が同棲感を非常に感じさせて好きです。大学生の同棲カップルなんですよね……かわいい……かわいい。奈々の見た目がアレだとしても、やっぱりかわいい。同棲カップル。ずるい……。
というわけでパンチのあるナナさんは以上です。明日もがんばります。