すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女74日目:クランテイル

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは18。クランテイルでした。

 クランテイル!あー!好き!好きです。何が好きかと言えば魔法が好きなのです。性格も大好きです。がんばります。

 

 

 クランテイル。登場話は「魔法少女育成計画restart」。

 彼女は魔法少女育成計画のなかでもかなり特異な外見の魔法少女です。なにせ下半身が人間ではない。昆虫、動物、水生生物、なんでもアリな感じで「下半身だけ」別の生きものになれる、そんな魔法を引っ提げています。

 

 クランテイルが完全に一般的な人間の姿をとれるのかという点に関して作中で言及されることはありませんでしたが、実際ちょっと難しいのかもしれません。

 クランテイルの変身魔法は、変身対象の首から上を落として、そこに自分の上半身をのっける、というプロセスで行われます。なのでもし下半身を人間にしようとすると、人間の首を落としてそこに自分の上半身がぴったり収まる程度に人間体を拡大させ、そして合体する、という感じになってしまうわけで、つまり、下手な動物に変身するよりよっぽどおぞましいモンスターが誕生してしまう訳になります。

 

 それならまだ鹿とかポニーとか、ペチカ基準で「可愛い」変身のほうを見ていたいなぁ……。クランテイルちゃんの変身の中には少々映像化に耐えうるのか不安になってくるような種類のものがあります……。主に昆虫系とか。蛸とか。いや自分はモンスター系の美少女が苦手というでもないので(好みに近い)大歓迎なのですが。

 クランテイルの変身各種に関しては、クランテイルさんと動物園に行こう - すふぉるつぁんど を参照のことお願いします。個人的にはトラとかヒョウとかライオンとかに変身したクランテイルちゃんが非常に可愛いと感じます。

 


 魔法はさておき作中のクランテイルについて。クランテイルはrestartの生存者の1人です。ペチカチームの意思を受け継いだ最後の生き残りです。命のリレー云々かんぬん。

 クランテイルさん、作中の動きとしてはわりあい単純なものですね。基本的にペチカのごはんをもぐもぐ食べつつ、リオネッタと那子の喧嘩をとりなし、モンスターを倒してマジカルキャンディーを集めています。そしてチームを守ろうと動いています。

 戦闘に向いている「戦う魔法少女」としての描写が多く、なのでゲーム中で魔法少女達で協力してチーム戦を行うとき、主力として扱われることがちょくちょくあったような気がします。


 クランテイルの戦闘描写は楽しいものが多かった。環境に合わせてぽんぽん変身するので、魔法をよく生かしている気がするので見ていて気持ちよかったです。ヤモリで天井に張り付くなど。タコの足全部に槍を装備して戦うあたりなどなど、自分もモンスター気味のビジュアルになりつつ戦うクランテイルちゃん、かわいい。

 

 

 彼女はわりとばんばか戦っていましたが、やはり自分の心に残っているのは最終決戦のプフレ&シャドウゲールVSクランテイル戦でした。

 誰が魔王なのか?という、最大の要素が未だに謎めいているままに行われる最終決戦。プフレとシャドウゲールは身体能力♡3つの「戦わない魔法少女」なので、「戦う魔法少女」たるクランテイルには基本的に歯が立ちません。

 しかしまあプフレ案のえげつない作戦の数々でクランテイルは殆ど絶体絶命にまで追い込まれますが。そこはシャドウゲールの魔法が準備期間があればあるだけ有利になる系の魔法だったことと、プフレがえげつなかったことが理由としてあげられます。というか2対1ですしね。


 あの部分、魔法少女側は勿論、読者側にも誰が魔王なんだろうねという部分は伏せられています。いやのっこちゃんが手首だけになった辺りで少しばかり察される部分はあるんですが、それにしても。

 restart読者は、一体この話はどう決着するんだ、これ以上の余分な脱落者は出てしまうのだろうか、と痛む胸を押さえつつ最終決戦を読み進めていくことになります。

 


 では最終決戦における魔法少女側はどういう思考の元で動いているかと言えば。

 まずプフレにとっては、当然魔王はクランテイル、もしくは(ごく僅かの懸念として)シャドウゲール。
 真打魔王ことのっこちゃんの使う魔法によってシャドウゲールのほうに疑念が向けさせられている上に、クランテイルの態度は明らかに魔王らしいものではないので、プフレがクランテイルを魔王だと本気で思いながら戦っているはずはないのですが……それでもプフレにとってはとりあえずクランテイルを殺す方が優先順位が高かったことでしょう。あの時点でのプフレの立ち位置として選べる選択肢は、「クランテイルを魔王と断定して殺す」一択であることに変わりはないので。ひっどい。

 

 続いてシャドウゲール視点。シャドウゲールは早々に「クランテイルは魔王ではない」ということを確信し、同時にのっこちゃんの魔法の誘導に従って「ならばプフレが魔王なのではないか」という結論にジャンプしてプフレをレンチでゴンします。はい。

 

 最後にクランテイル。クランテイルとは殆ど接点のなかったプフレ、シャドウゲール、どちらが魔王であっても全く不思議はありません。気持ちプフレのが黒だろうか。どちらにせよクランテイルさんはどちらとも殺してでも自分は生き残るつもりです。ペチカに守ってもらいましたから。ペチカたちの命を無駄にしないためにも、自分は絶対に生き残らなければいけない。プフレがシャドウゲールに殴られた後は、シャドウゲールを魔王と断定して殺そうとします。

 直前のメルヴィル戦を読んでいることによって、このクランテイルの「生き残らなければならない」という気持ちが実に納得のいくものとして染みます。クランテイルは視点を持たないキャラクターなのに最終決戦における彼女への感情移入がとても容易……というあたりがペチカチームの恐るべき部分でしょうか。

 余談ですがクランテイルは読者視点魔王疑惑皆無だったような気がします。というかクランテイルが魔王だと思うにはあまりにも伏線が少なかったような気がしますし。

 

 この三者それぞれの視点。三者三様の「戦う理由」。そしてその戦闘動機を陰でけん引する真の魔王の存在。

 いやーー完璧すぎる。この最終決戦、本当にすごい。心から完成されていると思います。最終決戦の一つ前の戦い、メルヴィルVSいっぱい魔法少女、のアレが戦闘シーンとして、魔法少女がばたばた脱落していく物語のピークとしてとして素晴らしいものであることを踏まえての、このどうしようもない小規模な戦闘。生き残り三者(ともう一人)ゆえの、いろいろなしがらみを引きずっての最終決戦。最高です。大好きだ……。

 

 

 このように、クランテイルはただただ仲間のために戦い続けた魔法少女でした。restartを終えた後の彼女の立場は無印後のリップルに近いかもしれない。彼女の「戦う理由」はもう存在しないのです。

 なのでクランテイルがrestart以降再登場を未だ果たしていないことに関しては不思議ではありません。彼女はふつうの魔法少女として、動物学者を目指しつつ、ぼちぼち平和に、シャドウゲールとプフレという年上の友人をもって暮らしているのではないでしょうか。いや戦闘訓練してても不思議ではありませんが、とにかく彼女が意図して戦場へ向かう動機はもはやrestart後日談の時点では存在していなかったわけです。

 

 実際どうでしょうね。クランテイル再登場の日はあるのでしょうか。

 個人的にはぜひ成長した寧々ちゃんに会いたいなとは思うのですが。獣医動物学者を目指したことによる知識量の増加で、もっと魔法を活用しての戦いぶりを見せてほしいなとは思うのですが。しかし平和に生きていて欲しい気持ちもとてもある。ううん際どい。

 

 

 さて好きなイラスト。シャドウゲールを締めあげているところが大好きです。

 

 好きなセリフ。これは間違いなく「ラズリーヌとペチカに助けられた……私は死ねない」ですね。最終盤好きなだけかも。いやいや。

 

 以上です。明日もがんばります。