すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女79日目:プリンセス・デリュージ(JOKERS)

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは50。プリンセス・デリュージ(JOKERS)でした。

 うわーデリュージ。重い。書いていった順番的にはピュアエレメンツが最後の一人の魔法少女です。実際最後の一人でもある。がんばります。

 

 

 プリンセス・デリュージ。登場話は「魔法少女育成計画JOKERS」。

 今となってはACESの印象に引き摺られてしまいますが、JOKERS読了までの印象だけを喋っていけるようにがんばりたいです。


 デリュージはポセイドンベースの魔法少女です。巨大な三又槍が固有武器です。デリュージのコスチュームはテンペストに次いで神々しさがある気がします。

 水底に沈んだようなくすんだ色の鎖がよいですね。宙に浮いている飛沫の装飾もまたよいものです。露出度としては高め。右足はウロコに覆われていて非常にかわいらしい。

 魔法は「水の力を使って敵と戦うよ」。水というか氷です。基本的に水を凍り付かせていました。水中でも地上と同じように行動できる(つまり、水中ならば呼吸不要?)という属性に応じた付属能力を持っています。

 

 

 デリュージの人間体は青木奈美ちゃん。青き波。多感な中学二年生です。彼女について語るべきはやはりその性格・性質でしょう。
 プリンセス・デリュージは明るく楽しい魔法少女であるが、しかしその人間体・青木奈美はそのまま明るく楽しい女の子というわけではない……というのは本人の独白するところ。クラスメイトであり魔法少女仲間、プリズムチェリーの人間体・加賀美桜からは明るいクラスの中心人物として見られていますし、実際ポジションとしてはそんな位置をゲットしているのですが。青木奈美本人は、自分自身のことを暗く陰湿な中学生だと自称しています。

 

 奈美は実際、わりとじめついた女の子です。
 小学生の頃クラスでいじめがあり、幼稚園時代からの幼なじみと言えなくもないご近所さんの女の子がその対象になってしまったこと。そしてその子の味方になることを選べず、周囲に合わせて陰口を叩き、無視をして、しかし内心では葛藤していたこと。

 そんなことをきっかけに、奈美は周囲の目をものすごく気にする子になったのでした。楽しく生きているように見せるため、自分が汲々としていないように見せかけるために、更に汲々とするという悪循環。「嫌われないように生きる」という事がものすごく重荷になっているのに、そういう手段以外では生きていけない、そんな不自由な女の子です。

 

 ああ……。大変だなあ。こういう学生時代に共感する人はわりあい多いのではないでしょうか。自分にも少しばかり思い至る要素はあります。


 奈美はかなり、現実世界の何処かに居そうな女の子ですね。ただよい目を持っている子であることに関してはそんじょそこらの一般人よりも秀でているかもしれません。上手く生きていくために、他人の動向をよく察知することが出来る子がまほいくにはちらほら存在します。奈美もその一人。

 

 いじめをきっかけに他人の眼をものすごく気にするようになった、というエピソード。これはやっぱりどうしても、ポスタリィこと酒己達子ちゃんを思い出しますね。

 ただ彼女は奈美とは全く真逆の方向でいじめられない生き方を選んだわけですが。まあ達子は奈美に輪をかけて異常な子ですから……。隠密行動のスキルを持っていたのも大きい。後はいじめの被害者か加害者かという部分はかなり影響したかなと考えられます。

 

 人間体が中学生、高校生の魔法少女たちの中には、何やかんや年相応な悩みとかを抱えていたりして、そしてその中にはその悩みを魔法少女活動で昇華しようとしていたりする子もいます。肉体としてはおよそ人外である中学生高校生魔法少女たちが、しかし内面としては一人の少女として生き抜こうとがんばるという要素も、まほいくの魅力の一つであるような気がします。

 

 

 そんな青木奈美さんが変身した姿であるところのプリンセス・デリュージです。

 奈美はデリュージになって、ピュアエレメンツと巡り合って、人生を初めて「楽しい」と感じるようになりました。学校という狭い箱に囚われない環境が良かったのかもしれない。他のピュアエレメンツ達の年齢がいい具合にばらばらだたのもデリュージにとっては気が楽だったのかもしれませんね。

 テンペストは純粋な小学生だし、インフェルノはいいお姉ちゃんだし、クェイクは少女を愛していますし。

 

 しかし実際のところ、他三人は謎の恋愛三角関係で結ばれていたので、デリュージは一人だけ蚊帳の外という感じでさみしさがあります。

 JOKERS本編でも実際のところデリュージは結構色々なことに対して蚊帳の外なんですよね……。彼女はかつての仲間たち、ピュアエレメンツ、そしてプリズムチェリーの死に目に一切立ち会えていません。クェイクとテンペスト、プリズムチェリーについては、死んだということさえJOKERS本編の段階では知らされていません。プリズムチェリーが仲間を守るために戦場に身を躍らせた時、デリュージは脱出のために走っていましたから。


 プリズムチェリーの選択は尊いものですし、デリュージは命を落とした仲間たちのためにも必ず脱出しなければなりませんでしたが、しかしあの一瞬の接触だけを最後として、デリュージとプリズムチェリーが死に別れることになるとは……。

 デリュージがJOKERS事件後精神を病んで、無気力状態になっているのも仕方のないことだと思います。デリュージは本編で、ピュアエレメンツにさえ自分の思うままを伝えられず、じくじくと悩んでいたのです。魔法少女になって以後も、結局自己嫌悪に苦しんでいます。その悩み、葛藤は、一切解決されないままに次巻、ACESに持ち越されることになります。ここまで酷い状態の生存者もなかなか居ません。

 

 むごい。デリュージの在り方は本当に酷い。「生き残ってしまった」「取り残されてしまった」という表現が最も適当な気がする。彼女が救われるのか、それとも負の方向に振り切れてしまうのか、以降で生き残るのか、脱落するのか、それがすごく気になります。

 

 

さて好きなイラスト。テンペストとデリュージ、そしてフリーランス三人組の挿絵が好きです。あの二人は髪や目の彩度が高めで可愛い。

 

好きなセリフ。独白としては間違いなく

魔法少女になんてならなければ、こんな目に会わなかった。

プリズムチェリーと出会わなければ、クェイクやテンペストとも会わなければ、こんなに悲しい思いはしなかった。

なんですが。セリフ。セリフかぁ……「プリズムチェリーは、最後まで私達に付き合ってくれる?」とかかな。このセリフを言ったデリュージが、最後に一人残されてしまったというのが苦しい。

 

以上。明日もがんばります。