すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

姫河小雪の友人たちとスノーホワイトのありかた

 

 

そういえば最近グワーッとなったことがあったので憶えている内にまとめ。

姫河小雪の中学生の頃からの友達二人と、「Primula Farinosa」で登場した新たな友人についてです。

 

 

魔法少女育成計画(無印)では、小雪の同級生である友人が二人登場します。その二人の名前を憶えているでしょうか。

二人は駅前のハンバーガーショップで集まってだらだらお喋りするシーンで初登場です。

 

一人は、魔法少女など信じていないけれど、夢にねむりんを見たり、ウィンタープリズンとおしゃべりしたり(トリック・オア・マジカルガール)、何気なく魔法少女と遭遇することが多い現実主義者な女の子、芳子こと「よっちゃん」

 

もう一人は、小雪の前でまとめサイトを見ながら魔法少女の実在を主張し、「白い魔法少女」の泥臭い人助けが好みだと言って小雪をにやつかせる女の子、スミレこと「スミ」

 

 

この二人の名前は明らかに「魔法使いサリー」が元ネタになっています。

「魔法の国」からやってきた魔法使いの女の子、サリーちゃんの親友。それが「よっちゃん」(よし子ちゃん)と「すみれちゃん」なのです。

ビジュアルはこんな感じ:よっちゃん すみれちゃん - Google 検索

 

魔法少女ものの原点とされる「魔法使いサリー」の人間の友達二人と名を同じくする友人を持つ魔法少女スノーホワイト

デスゲームが始まるまでの彼女は、日常生活の陰でこっそり魔法を使ってあれこれする、limitedにおいてウェディンが望んだような「日常に魔法の要素を持ち込む」魔法少女としてのポジションに居ます。それはある意味(ある意味!)、「魔法使いサリー」においてのサリーちゃんです。

 

よっちゃんと、すみれちゃんと、サリーちゃん。

よっちゃんと、スミと、スノーホワイト

 

かつて姫河小雪が求めた魔法少女像が誰よりも平和的なものであったということが、この友人関係に示されています。

 

 

そしてデスゲームは始まり、スノーホワイトの望む「魔法少女」像は大きく変質します。

自分の守りたいものは力を尽くして守ろうとする。その為には暴力も振るう。やりたいようにやってみせる。

それは姫河小雪がこうなろうこうなりたいと望んでいた、子供が見る魔法少女アニメに登場するような魔法少女ではありません。

 

無印のエピローグでは姫河小雪は友人の元を去り、中東に旅立っています。人間二人と、魔法少女一人、かつての魔法少女アニメを模したその関係はエピローグでは描かれていません。

スノーホワイトはその席を降りて、戦いの道を選んだわけです。

 

 

そのスノーホワイトの変質は、高校に進学後の姫河小雪が登場する短編「Primula Farinosa」でも更に強調する形で描写されています。

 

高校に入ってから新しくできた、小雪の友人。彼女の名前は「沙里」

さりです。明らかに、最早疑いようもなく「サリーちゃん」を模した名前の少女です。

その結果、姫河小雪の友人関係は、よっちゃんと、スミと、沙里と、そして小雪スノーホワイト)、という四人組、いや、三人組+一人になってしまっている。

 

スノーホワイトが「魔法使いサリー」の世界に戻る道はもう閉ざされているのだと、そう言外に言われている気がします。

かつてスノーホワイトが座っていた「サリーちゃん」の席には戻れない。誰も殺さない、誰も殺せないスノーホワイトにはもう戻れないのだと。

 

 

魔法少女育成計画」の主人公と言える魔法少女スノーホワイトは、色々な思惑が絡み合った結果どんどん深みに進んで行っています。

ACESが底だろうか、いやまだ沈むのだろうか。彼女の薄暗い行く先が更に不安になる、そんな名前パロディの紹介でした。