すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

コミカライズ感想 2話

 

前回:

mgrp.hatenablog.com

 

に引き続き魔法少女育成計画コミカライズ1巻の感想を書いてます。今日はEPISODE:2です。

余談ですが1巻のカバー裏には表紙のスノーホワイト以外の魔法少女が少し大きめに印刷されてます。やっぱり表紙アリスちゃん相当可愛い。

 

 

EPISODE:2感想

1話はねむりんとルーラの二人が脱落して、スイムスイムが狂気の笑みを見せたところまででした。2話冒頭ではスイムスイムがルーラを裏切る(語弊のある表現)きっかけとなった夢についてサラッと触れてました。「ねむりんの冒険」ですね。

 

チラッと見えた坂凪綾名ちゃんは「お姫様」であるルーラに仕える夢のなかで頬を熱くしています。コミカライズスイムスイムと同じく、コミカライズ版坂凪綾名ちゃんも結構感情を豊かに外に表す方なのだろうか。

 

「私が――…ルーラになる…?」のコマは花にまみれるスイムスイムが非常に美しくて1巻でもかなりお気に入りの一コマです。

 

 

 

そのスイムスイムは、ルーラ脱落の後日(夜)、恐らくはシスターナナからの連絡により、単身で廃寺にてシスターナナ・ウィンタープリズンと話し合います。

内容的にはルーラ殺害のトリック(トリックという程のものでもありませんが)と、スイムスイムが如何に常軌を逸した思想を持っているかを伝えるシーンでした。

 

シスターナナの眼はキラッキラです。ウィンタープリズンはやっぱり魔法少女にあるまじき地味コスチュームです。そこが素敵なんですけど。

二人が並んでるコマは身長差がよくわかって良いです。

スイムスイムが飛んでる蛾をくちゃくちゃして捨てたところで、ヤバい人だと理解したウィンタープリズンがサッとナナの前に立ち塞がるところは会話が無いながら関係性が良く出てて好き。

 

 

ルーラの落としたブローチ(あれはブローチなんだろうか?)を後生大事に持ってるスイムスイムというのは、「私のルーラ」とか「ルーラの死はあなたたちにはあげない」とか、そういう発言をするスイムスイムには結構似合ってるなと思います。

この辺りに原作とコミカライズのスイムスイムの立ち位置の違いが大きく出てるなあと。

 

原作のスイムスイムはルーラ個人というよりはルーラという「お姫様のあり方そのもの」に憧れていて(「ルーラこそがお姫様で、お姫様こそが正義」)、なのでルーラを殺すことはルーラに心酔していたスイムスイムにとっては非常にショッキングだったものの、仕方なしにと殺して死体を運んで捨てます。

 

コミカライズのスイムスイムは、ルーラというあり方よりは、ルーラという魔法少女個人に執着している、そういう印象です。だからブローチを大事に持ってるのかなあって。

 

 

 

さて場面は移りまして、いよいよトップスピード&リップルのシーンです。

コミカライズ版魔法少女育成計画、たまちゃんが非常に可愛い上になんとトップスピードもとてもとても良い。

涙をぬぐいながらの笑顔、舌打ちするリップルの背後で見せる優しい微笑み、リップルに真っ直ぐ見せる八重歯が輝く笑顔、ニッと歯を見せての満面の笑み、笑顔だけでも非常に多彩でかわいい……。

 

なんだかんだのトップスピード&リップルのお食事シーン。

「こんなときによく…ご飯なんて…」

「…こんなときだからこそ食うんだよ…」

「生きるためには食わなきゃ いざというとき力が出ねーからな…」

は、飲食不要の魔法少女システムを考えた場合には疑問符。

しかし食事がエネルギーとして力になるわけではなくとも、「食べれば(人間体としての自分を思い出し)生きることへの執着が深まる」という思考は非常に自然ですし、魔法少女は思いが全てですし、人間体と魔法少女の段差が少なめであるトップスピードの描写としてはアリアリだと思います。

南瓜の煮物の伏線は好きです。ここで食べないリップルも可愛い。

 

 

 

そしてシーンは細波華乃の過去回想へと移行。魔法少女まとめサイトにでかでかと顔を映されてるスノーホワイトさんはちょっと心配になります。

 

で、細波華乃さん。細波華乃さん並びに魔法少女リップルはスイムスイムと並んで、いやそれ以上にコミカライズにあたって改変を加えられたキャラクターです。言ってしまえばかなり別人度合いが高い。

出自から違います。「私の人生は始まったときから消去法だ――…」(コミカライズ)と「理不尽な理由で華乃を侮辱した相手に対しては音を上げるまで暴力を振るって屈服させる」(原作)が同じ人物の人生についての説明文だとは思わないと思います。笑う。どちらかというと後者の方が異常者の気配が強いです。

 

 

どういう風に変化しているのかと言えば、コミカライズリップル(細波華乃)は原作のリップルよりもとてもとても抑圧された子なのでした。その結果かなりリップルのもつやさしさが表面に出てきています。

トップスピードと初対面でも結構仲良さそうだったりとか、トップスピードを前にして笑いをこらえきれずに笑顔見せてたりとか、かなり人当たりいいな!?と思うことしきり。

 

(そういえばこのチュートリアルシーンでファヴが割れてた理由は:

 こういうことらしいです。そっか……)

 

 

 

軽く3話にまたぐ話なのですが。コミカライズリップルについての話が続きます。

 

生まれから大きく道を違えている(5人目のセクハラ義父を殴って一人で家出/DV義父から母親と二人で逃亡 訂正:が出て行った後母親と二人暮らし)、原作リップルとコミカライズリップルの、一番一番大きな違い。

それは「怒り」という感情に対する自分の立場です。

 

 

原作の細波華乃は、幼稚園の頃から既に、侮辱に対する怒りを暴力で表現することを息をするように実行していました(そしてその暴力性に疑問を持った描写さえ無い)。

本編劇中でも「ビルの上から国道に向けて銃を構えるその姿が目に入った瞬間、頭の中が沸騰し、脊髄反射で箒の上から飛び降りた」、短編でも「血液と同じ色の真っ赤な怒りが身体の中に充満していく」などの描写があり、

原作リップルが「怒り」の感情を実に自然に攻撃性に転化して暴力につなげているということがよくわかります。

 

 

その描写はコミカライズにはありません。むしろ真逆。

 

コミカライズ版のリップルはかつて自分が逃げた義父の存在と暴力を同等の物として結びつけ、己の中にある暴力性に忌避感を覚えています。

そして、義父と同様に母を殴ってしまった華乃自身は、魔法少女リップルとなった先においても同時に他者を攻撃して悦びを覚えるメアリと結びつけられます。実際メアリと「同類」だと見做されてたり。正統派魔法少女スノーホワイトに憧れつつも、それでもリップルは怒り、メアリを暴力によって排除することを選び取ります。

 

 

この抑えようのない震えはなんだろう――…

恐怖? …違う…!!

”怒り” だ――

 の部分は、「怒る」ことに全く慣れていないコミカライズリップルの在り方が顕著に出ているシーンです。

それでも怒りで以て先輩魔法少女であるメアリをかなり良い所まで追い込んでしまうあたり、やはりどちらの世界においてもリップルの怒りによるエネルギーはかなり凄まじいものなのではないでしょうか。

 

2人の違いは、怒ること、暴力を振るうことを強く抑圧しているか否かです。

 

コミカライズリップルがこの生来のエネルギーを押し込めていた結果として、彼女がこれから自分が「魔法少女」を名乗れるのか、そうでないかということに大きく悩む展開が繋がっていくのではないでしょうか。

 

 

とにかく自分は、原作リップルの対を為すようなコミカライズリップルの在り方がかなり好きです。コミカライズリップルの生きざまを通して、原作リップルの苛烈な戦いを新たな目で見ることが出来て相当楽しかった。

 

 

で、ちょっと話が後にずれたのですがカラミティ・メアリとマジカロイド44は2話で初登場でした。コミカライズにおいてマジカロイドはかなり不遇ですが、原作でも実際かなり不遇でした。悲しいことだ。

メアリは自分が想像していたより若々しかったです。女子高生程度の外見年齢らしいのでコミカライズ版のきゃらきゃらした雰囲気が実際ジャストマッチなのかもしれない。

 

 

 

以上が2話感想でした。コミカライズリップルを見てるの本当に楽しいなあ……。明日は3話です。もうちょっと短く書きたいなととても思います…………