すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

アニメ7話感想

 

ファンブック感想②を挟みたかったんですけどどたばたしてて無理でした。アニメ感想!

 

……の前に。今まほいく公式サイトでは場外乱闘こと「1on1舌戦バトル」が繰り広げられています。いやあ魔法少女達の罵り合いは見てて心が安らぎますね。安らぐかな。

 

 

個人的なベストバウトはシスターナナVSたまでした。ナナは信条上絶対他人に悪口を言わない魔法少女なんですけど、それでもdisが成立しているのがニクいです。色々あって一週間飽きないなぁ。

あっというまにまほいくも佳境の7話。すごく気軽な楽しさの強い回でした。暴力性が高いのに人死にが出なかったからかな。行きます。

 

 

 アバン

 

前回の振り返り的に、マジカロイドを殺したアリスとそれに悲鳴を上げるスノーホワイトがちらり。ここで小雪の元に「兎の足」が渡ります。今回のアバンはかなり短め。

ここ、アニメスノーホワイトにとっては二度目となる「兎の足」との遭遇だったわけですが、彼女は果たしてそれを思い出したでしょうか。1話のあのシーンは、魔法少女になることを選ぶ前の姫河小雪は今となっては遠い昔のこと。

 

Aパート

 

兎の足を買ったのがハードゴア・アリスであると知り、昨夜の記憶が悪夢ではないと理解して思わず口を押える小雪。そんな小雪にファヴは「何が起きたって正気を失うことはないから安心してほしいぽん」と声を掛けます。安心できるか。

 

ここ、原作だと姫河小雪ではなくスノーホワイトに対して投げかけられたセリフなんですよね。魔法少女状態では精神に強化がかかっているものの、人間状態だとその強化は適用されない、というのが原作世界での設定でした。そこはlimited短編にわかりやすく描写されています。

 家の中では常に変身しているようにしていた。人間のままでは本当に潰されてしまう。きっと跡形も残らない。アルコールや睡眠に逃げることはできない。逃げる前に追いつかれる。

 

アニメ世界の場合、恐らく人間状態でも精神強化が付属しているようです。いよいよ魔法少女と人間体の境界が曖昧になってきました。地味ながらとても大きな差異です。

 

 

そんなこんなでスノーホワイトの元にシスターナナからの連絡です。

場面はしずなな同棲現場へ。奈々は魔法少女間で始まりつつある殺し合いにはまだ気付いておらずただただ理想を夢見ていて。雫だけが静かにその可能性に思い至り、彼女の身を案じてシスターナナを守っていかねばとこっそり思いを固めている……というように表面的には見える一幕ですが。

 

まあ奈々も馬鹿ではないのでもう殺し合い風潮は理解した上で動いているんではなかろうか。だからこそ原作と同様に「スイムスイムに連絡を取る」なんてマネをしたんでしょうし。

この同棲現場は丸々アニオリでしたが、ああここの見事にすれ違っているありさまは実にしずななだなぁという気持ちです。

 

 

シスターナナから連絡を受けた側、スイムスイムチームはもうすでに殺す気で動いていると見ていいのかな。そういえばこのチームがどこで「直接的に魔法少女を殺す」方向に舵を切ったのか、というのはあまり明確にはなっていません。

寿命を支払ってアイテムを購入した時の「やる気満々だ」という描写の時には既に……だったのかな。スイムはそれとしても、ピーキーエンジェルズの殺すことへの躊躇いの無さみたいなものはちょっと特筆すべきものがあります。「二人だからやれる」「二人で何が何でも生き残る」という双子ならではの意識が有ったりしたのだろうか。

 

 

そしてここからは短編「ゾンビウェスタン」要素。今回の見所と言っても過言ではありません。何といってもアリスがメアリが非常にかわいいんです!

 

いやあ。可愛かった。魔法少女が死なない魔法少女の暴力はつらさが欠けてたのしいが前面に来ます。

腹を数発撃ち抜かれてよろめくアリス、足を引っ掴まれて動揺するメアリ、ただただ己が腕力でもってメアリを壁まで吹っ飛ばすアリス。かわいい。飛来する一瞬のうちに初撃の銃創を完治させるアリス(ここアニメオリジナルの「魔法のオーラ」で何が起きているのかわかりやすくなっていてありがたい)は魔法の異常性を強く感じてお気に入りの一瞬です。魔法少女VS魔法少女というよりはばけものVS魔法少女って感じ。魔法少女育成計画においては実際あるあるです。将軍とかシャッフリンとか。

マジカル生コン詰めドラム缶を脚でゴロンゴロンしていたのはまあそりゃ転がしますよねという感じ。魔法少女が怪力とはいえわざわざ(もしかしたらアリスが飛び出してくるかもしれないドラム缶を)担ぐ必要性もないし。にしてもメアリ、海辺までアリスを刻みながら輸送したんだろうか。かわいい。

総じてアリスという人智を超えた怪物にビビるメアリとてもかわいい。ブーツでマッチをつける描写はカウガール的で非常に芸コマです好きです。

 

本来だと本編が全部終わった後に、「このキャラクターにはこんなかわいい/変な一面が!」的要素として補足される短編が、整頓されて本編中の時系列に挿入されたことにより、ちょっとばかりメアリの第一印象におけるコモノ感が増したのはまあ否めませんが。

この辺のメアリが(もしかしたら、原作よりも多分な)屈辱を与えられた分のフラストレーションは、次回の一般人を巻き込んだ「ゲリライベント」で一気に開放してほしいものです。一般人巻き込むかなぁ。そこはまあアニメ媒体の都合でどうにでもという感じだろうか。

 

余談ですが生コンや海の中まで落とされておいてアリスの「魔法の端末」が無事なことについては、メアリが酒を端末に零してもなんら影響が無かったことで事前に説明がついていたのかもしれません。伏線回収かな。どうだろう……。

 

 

まあそれでも生きているのがアリスの凄いところ。マジカロイド一人という脱落通告を受け、一人残されたメアリの精神はそれはもうプッツンです。

 鬱屈が澱のように溜まっている。吹き飛ばさなければならない。それには祭りが必要だ。ただ殺すだけではない。派手に、華やかに、血が飛び、肉が散る、そんな大惨事が求められている。
 頭によぎったのはリップルだった。だがリップル一人では足りない。カラミティ・メアリの心を鎮めるためにはまだまだ生贄が要る。

具体的に示すとこうです。この文章マジカルキャノンガールのカーニバル度合いもあわせてすごく好き。

というところでAパートは終わり。濃かった……。

 

Bパート

 

のっけから細波さん回想。ここは大体アニオリなんですけど、ここの細波さんの「暴力への移行が常人とはかけ離れてスムーズ」な描写、すごく好きです!

細波さん、頭はまともで賢くいい子、普通に接してればただのさいかわツンデレ女子高生なんですけど、唯一と言っていい一般人と明らかに異なる性質があります。それは怒りを攻撃力に繋げることが異常に上手であるということ。

 

それは細波華乃が持って生まれた性質であり、才能であり、呪いです。細波華乃=リップルの、「普通の子」でありながら怒ることについては「異常な子」である描写、大好きです。本編から短編まで各所に彼女の怒りは散っているのでよく見馴れていると思いますが、魔法少女初心者(一週間)であるところのリップルさんの怒りの描写を短編「マジカルイリーガルガール」から引いてくると。

 

怯えようとする心を叱咤し、萎えようとする手足に怒った。

リップルは高々と宙を舞った。飛びながら視界の端に少女の人形を捉え、人形の嘲るような表情を見た。血液と同じ色の真っ赤な怒りが身体の中に充満していく。

相手が何者だろうかという疑問は既にない。殺そうとしてくる敵がそこにいて、自分もまた相手を殺そうとしているという事実がここにある。

 

こういう!こういう振り切れてしまう怒りの描写こそリップルの魅力です。好きだ……。

だからこそアニメでこういう、「怒った瞬間」の細波さんの息を呑むような高い音だとか、躊躇いなく女の顔に拳を向ける時の表情だとか、セクハラ義父に回し蹴りを放つときの悲鳴に近い声だとか、そういう要素に細波さんに共通して存在する「怒り」を感じて惚れこんでしまうわけですね。

あとアニメ細波さんが、絡む側の視点からとしても「かわいい」ことは否定できないかわいさを持っていることが確定したのですごい。細波さん本当にかわいいんだなこれ……!

 

 

今更の気付きですが、細波華乃の「細波」姓は五人目の義父のものではないのかもしれません。こんなことしてる義父の名前から魔法少女の名前あやかったりしないよなぁという気がする。

 

そんな過去を夢見て目覚める一人暮らしの細波さん。猫パジャマがかわいいなぁというところでシーンはスノーホワイト・シスターナナ・ウィンタープリズン・アリスの会合へと移ります。

 

 

スノーホワイトの大きな瞳からは涙が次々に零れ、とろけてしまいそうな視界の中、シスターナナが笑った。涙のせいか、その笑みは歪んでいたが、それでも頼もしかった。

 

という再読時にあははとなる憎い一文、シスターナナの「歪んだ笑い」は描写されることはありませんでしたが。ともあれスノーホワイトが転がり落ちるための下準備が整っていきます。すごいね。

ハードゴア・アリスと対面し、怯え、彼女と二人きりにされて大回りで避けたりついてくるアリスから必死で逃げたりするスノーホワイトは素直にかわいい。ここで凪がれている曲がアリスの固有曲でしょうか。なんだかんだではっきり聞き分けられるの良い。

 

ここでスノーホワイトが何かに気付いた描写を見せるのは、「兎の足をアリスが返してほしいと思って追って来ているのかもしれない」と考えたのかもしれないですね。能力強化後のスノーホワイトなら即座にアリスの本質を見抜くのでしょうが、現段階のスノーホワイトにはアリスの心の声は聞こえません。

 

ここ。ここで以前紹介したところの、まいにち魔法少女20日目:ハードゴア・アリス - すふぉるつぁんど

アリスが発したセリフのなかで、自分が一番好きなもの。「私が、あなたに、スノーホワイトにあげたから、あなたのものです」が音声で聞けてすごく嬉しかった……。

首が落ちそうなガクンガクンも本当に首が落ちそうで良かったです。アリスの描写は一つ一つが見ていて楽しいなぁ。一番アニメ化しちゃいけない魔法のように扱われていましたが、アニメになってみれば案外とても見ていて楽しいハードゴア・アリス。

 

 

さて「マジカルキャノンガール」の導入として。中宿の噴水イベントが挟まれます。ここのトプリプ相当親密度上がってて良い。いよいよ極まってきました。

きっと出逢った当初のリップルは「学校は楽しい?」「ダチと仲良くやってる?」なんて質問には返事をしなかったんじゃないだろうか。「友達はいない」という返事が、ああ、マジカルキャノンガールのリップル視点、最後の原作一文に繋がり苦しいです。

 

そして。アニオリであるトップスピードのセリフ。「半年だけでも生きのびたいって、俺の細やかな願いが叶わなかったとしたら、すげえ嫌なんだけど」という、これ。これは確実にリップルに刺さる一言です……。ああマジカルキャノンガールが始まる……。アニメもいよいよ大波乱です。ここからはずっと山場山場山場。

 

アニメ細波さんは原作細波さんよりも家族や母親について思いを巡らせる描写の頻度が高いような気がします。だから感じるのかもしれないですけど、細波さんがこういう「母親という存在をあまり良く思っていない」女の子であることを室田さんは何となく(本当に何となく)察していたからこそ、細波さんに自分が母親になる存在であることを告白しづらかったのかもしれません。いやーこれは話半分というか話二分くらいで。

 

マジカルキャノンガール、よく考えると一児の母VS未来の母&母を嫌う少女なんですね。 そして色々を掻っ攫っていく小学生です。あはは。こうして考えるとやっぱりコミカライズオリジナルの「ママ……」が刺さるなぁ。

 

 

来週のウィンタープリズンの活躍が今から楽しみだなぁ。正直今週で彼女は脱落する者だとばかり。来週、来週何人落ちるかなぁ……。なんだかんだ双子に癒されていた所もあり、ここから心の平穏を保っていくのが大変そうです。

しかし7話、怯えていたよりも楽に見られてよかった。よかったので今から8話に備えます。以上。