すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

アニメ9話感想

 

アニメ9話……9話観ました感想!

 

その前に今月の先月の月刊まほいくについて。

konomanga.jp

 

QUEENS表紙公開! プク様の恐るべきかわいらしさが染み入ります。かわいいかわいいと前もって高められていたハードルを当然のように飛び越えるマルイノ先生のキャラクターデザインには慄くばかりです。

なんだかストーリーも色々と大変なことになっている気配があります。発売日までもう一週間とすこし。怯えて待ちます。最近ついに怖いより楽しみの感情が勝ちました。このままQUEENSに雪崩れ込みたいです。

 

そして魔法少女育成計画breakdownがついについについに連載開始決定! 2017年1月! 遠藤先生が本気で働きすぎていないかが心配ですけどそれはそれとして非常に楽しみです。breakdownの魔法少女たちについても色々書いていきたいですねすごく。

 

はいというところで感想行きます。今回色々考えたんですけど2つだけどうしてもここは、ってところを薄くして書いてるのでできれば目を逸らしてください。自分で見返しても非常に気持ち悪いので2個に絞ったんですけど普通にそれでも気持ち悪かった。

 

 

アバン

 

メアリのゲリライベント開催で阿鼻叫喚。limitedの凄惨っぷりに誤魔化され気味ではありますがここの死傷者もなかなかすごそうです。

そんなこと気にも留めず泣きじゃくる奈々。彼女の前には酒と薬があり、雫が脱落した現実から逃れようとしているのだろうかというところが伝わってきます。

ここ。ここです。初っ端で申し訳ないんですがどうしてもここは。奈々周辺の改変について、語るべきは自殺シーン云々よりもここです。

羽二重奈々の本性が「描写されない」ことに関しては元より覚悟の上だったというか、まあ描かれないのもありうるよなあ程度に考えてはいたのですが、アニメオリジナルでこういう要素を挟んでくるとは思わなかったので結構驚きました。雫を喪って以後の羽二重奈々(原作存在)は、「王結寺から逃げ帰って以来、ずっとベッドの上で横になっていた」のです。そしてずっと「本当は自分が何を望んでいたのか」について考え続けていました。自分の内面を分析して、同じ結論に何度も到着して、そしてその上で次点としての「自分のやりたいこと」を選び取る。そこに妥協はありますが逃避はありません。見方によっては生きようとしないことそのものが逃避だったと言えますが、「羽二重奈々の内面」から逃げたというわけではありません。それが酒と薬。アニメ世界の奈々は冷静に考えることを放棄して酒と薬に逃げ込んでいます。

それは彼女が目指したかもしれない、理想のお姫様が王子様を喪って嘆く描写としてあっていい姿ではなく。そして同時に、原作の羽二重奈々の一つの魅力ともいえる「現実を認めてどこか冷静に分析する」ような姿でもありません。アニメの奈々は強かな性格ねじくれ女でもなければ理想のロールプレイを突き詰めた末に独白さえ排して死んだ勝利者でもありません。この冒頭の描写がある限りそう読むことはできないんじゃないかなと思います。

アニメの奈々が酒と薬の影響によって死を選んだかどうか、ということははっきりとはわからないのですが(魔法少女にならずとも精神に強化が掛かっているアニメ世界では、薬を飲んだところで「健康な精神」が維持されてしまうかもしれません。その場合だと酒も薬も奈々の癒しにはならなかったと読めて死を選ぶ彼女の描写が非常に残酷)、とにかく彼女が雫を喪った先に酒と薬に手を伸ばしたというその事実が本当に驚愕でした。アニメ奈々はきっと原作存在よりもずっと弱い子(まともな子と表現できるかもしれない)だったのかもしれません。まあ詰まるところ酒と薬を雑な扱いで濫用した後首を吊って死ぬさまが奈々の目指した姿、奈々が見せたかった「お姫様」のロールプレイの描写であると読むことは自分にはできませんでした。アバンで既にこんな……こんな……。アバンだぞまだ……。

 

Aパート

 

リップルとの因縁を振り返るメアリさん。「悪いのは全部お前」というありえない責任転嫁具合は他人事だと見てて楽しい。回想が真実ならばウィンタープリズンにもかなり舐められてたような気はしますが、メアリさん的にはリップルのほうが狩りたい対象だったのでしょうねリップルのほうがよりお嬢ちゃんですし。

無言の対峙は格好いいです。がむしゃらに突撃せず、間合いを計りあって対峙する程度には冷静さを持ってたリップルは偉い。

 

そしてここからは息を吐く暇もないような魔法少女戦。会話で小休止があることについてはまあアニメ表現として。

 

メアリと向かい合うリップルを上空から眺めるトップスピードは、助けを求める声を聴いて一瞬躊躇ったのちに人助けに向かいます。こんな二者択一に晒されるトップスピードはかなり可哀想です。

ここで逡巡の末に一旦リップルを脇に置いて人助けに向かったのは、リップルの戦闘能力をある程度信用した上でどうしても魔法少女として、母親になる存在として、困っている親子を見過ごせなかったということかなあ。まあ実際アニメアリそんなに強くないし……

 

もう少し長いことトップスピードが人助けしてたらリップルは地雷と一緒にお陀仏してたわけなので緊張です。それでもやっぱり、トップスピードには赤ん坊を抱える母親を目にしたとして、それを見捨てることはできなかっただろうなあと。

「俺が絶対死なせねえ」という発言はとんでもない無茶をしでかすリップルにも掛かっていたわけで、実際トップスピードは全力で頑張って両方を死なせなかったわけで。偉い。偉いなあ……。ここの描写すごく好きです。

 

 

そして魔法少女戦闘描写はやっぱり見てて楽しいです。リップルは兎にも角にも俊敏性の異常な魔法少女なので動く動く動く! 関節極めやらええと何なんだろうあれ……技名のわからないダイナミックなあれやこれややらはアニメになって嬉しいなあというところです。

地雷を踏んだリップルに対しての「ほらほら、足ィ離してみなよお嬢ちゃん! いつまでもそこに立たれちゃ迷惑千万! 地雷と一緒にお陀仏しときなァ!」は良い感じに神経が焼けるセリフなので聴けてよかった。やっぱりノリの良いセリフです。楽しそうだなメアリさん……。

 

ここのリップルはまず間違いなく「困っていた」と思うんですが、しかしスノーホワイトに声は届いていません。

ここと後々の描写についてですが、現段階のスノーホワイトはよっぽど露骨に具体的に「困って」ないと声を拾えないのかな。無印以降のスノーホワイトの精度だと無意識下も拾えるので混同しがちですがまだ魔法として未熟。

 

 

トップスピードとリップルが合流し、(ここのリップルの箒に乗る動きすごく好き、9話で一番好きかもしれない)、ついについにの「世界中の人達を救いたいわけじゃないし救えるとも思ってない」云々です。

ううん中宿という用語そのものが落ちたのは残念ですけどやっぱり痺れるセリフです……。リップルが初めて声に出して「魔法少女」についての自分のあり方を示すシーン。

 

かえすがえすもアニメリップルは冷静です。

三点リーダの多いセリフだらけだったリップルが初めてつらつらと休みなく言葉を並べて、途中で一息吐いて、それでもまだ喋る言葉があって、そして最終的に「私は魔法少女だ」に至る……という、怒りに怒っているリップルの感情が怒りついでにボロッボロ溢れ出ている様子よりは、まだ自分が何をどう喋っているのかを理解している感じ。多分そこまで激昂してない。

 

まあ冷静度合いはそれはそれとしまして。そんなこんなでついに自分の「魔法少女」としての意思を示したリップルに対して、トップスピードは「掴まれ!」と叫んだのち急加速。ここのBGM本当に本当に格好いい……!

そしてラピッドスワローが形態変化し、バイクの要素を各所に取り入れた真のラピッドスワローになります。「俺だって魔法少女だ」と叫ぶトップスピードには、序盤の彼女の人助けするさまもあって非常に説得力と熱量を感じます熱いアニメだ……。あああアニメでは箒は永遠に箒なのかなと思ってたからここのフォルムチェンジは本当に熱かった!

超高速の体当たりがメアリにわりと気軽に避けられちゃってることについてはちょっとどうしても初見でかなりゲラゲラ笑ってしまいはい……。いやでも面白いですよあのカットやっぱり……。

 

 

トップスピードとリップルの正面突撃はメアリのKSVK(なんだろうか)により失敗。ここのトプリプの会話シーンについては一度楽しく書いたのでふわふわ割愛しますがまいにち魔法少女12日目:トップスピード - すふぉるつぁんど)、

やっぱり一人で正面からぶつかっても絶対に勝てない敵にふたりで正面から挑むことで勝利するというその構成はすさまじく好きです……。「やっぱり……正面から行く」のリップルの自信ありげな笑顔。笑顔。笑顔! トップスピードに笑いかけるリップルの破壊力本気ですごかった……。リップルとても強気です。

 

アイキャッチが終盤仕様になっていて素直に心が震えました。これからずっとこうなのかな。いろんな魔法少女のいろんなセリフこうやって読みたいとても。

 

Bパート

 

「やっぱり……正面からは厳しい!」「だから言ったじゃねえか」という会話、これはメアリに聴かせてると見るべきなんでしょうか、それとも素でそういうやりとりをしてたのか。

防火扉を盾に近寄り、そこで撃たれて一旦撤退するのは「二撃目の防火扉の裏側にもトプリプが居る」とメアリに誤認させる作戦の一部であり、撤退することを含めて作戦の上(意識を逸らさせた上で真っ向から手裏剣とガラスをぶつける)だったように考えていたのですがアニメでのこれはどっちなんだろうかいや流石に演技ですよね……。実際正面からが駄目だったので下から潜って背後を取っているようにも読めるのでマジで正面からが厳しかったので背後を取ったとも取れこう色々意見の分かれそうなところです。

 

上方以外には全て警戒を張り巡らせていた原作メアリと比較すると、やっぱりここまで気軽に背後を取られてしまうアニメアリはどうにもううんぽんこつ感。

この辺はまあアニメアリが色々弱かったの一言で落ち着いてしまえるので落ち着いてしまいたいです。落ち着いていいんだろうか……?

 

 

眉間にクナイがぶっ刺さったメアリが脱落したところで(やっぱりガラス貫通海老反りが色々駄目だったんだろうか……)襲来したスイムスイムの手により、連続してトップスピードが脱落です。

 

ここ。どうしてもここは……。メアリが脱落するシーンということは、すなわちトップスピードとリップルが協力してひとを殺すシーンなんですが、死んだかどうかを無表情で確認したのち笑顔でリップルにハイタッチを迫るトップスピードの厳しさ凄まじかった……。個人的に(個人的に)アニメが始まって一番厳しかった。

多くの人間を理不尽に苦しめる悪を滅ぼしたことは事実なんですけど、正しいか正しくないかで言えば正しい方の人殺しだったのかもしれないんですけど。それでも「一人の人間を殺した」ことの重みについては、その後の落差をつけるためとはいえ、笑顔と穏やかなBGMで流していいことじゃなかったと思うんですよ特にトップスピードにとっては。死にぎわに「カレーの材料を買い忘れた」ことで困っているような、日常世界に両足を浸したトップスピードにとっては!!

「人間を殺した」ことの重みの処理について。それは「マジカルキャノンガール」でのリップルが理性をぶっちぎって本気で激怒していたこと、加えてそのリップルの感情暴露にトップスピードが少しばかり感化されていたこと、そしてそのリップルが実際にメアリにパンパカ撃たれて気が遠く鳴りながら青息吐息で地面に打ち倒れているからこそギリギリで横に置かれていた話だと思っていて。ひとを殺したという事実をふたりが考え始める前にスイムがやってきてしまう、という絶妙な間の取り方があったからこそなあなあで済まされていた事項だと思っていて!

お腹に子供がいて、守りたい家族があって、「殺されそうになったら逃げちまえばいいんだよ」と笑うトップスピードにはとりわけ、特別、「殺したことを確認してからハイタッチしようとする」という言動は似合わないんじゃないかと……そう……思って……ううん厳しい、話数があるだけに関係性を膨らませているのは非常にわかるんですけど、その結果として削ぎ落とされていたからこそ良かったことに気付くという嬉し悲しな状態。

でもまあ原作のどこを自分が気に入っていたのか改めて知れるという点においてはすごく楽しく観ていると言えます。ここまでウンウン言ってて信憑性ないかもしれないんですがかなり楽しんでいます。ただトップスピードの脱落よりここのシーンに衝撃を受けてしまったことは正当に楽しんでるとは言えないかもしれない無念。

 

はい。まあそういうあれはともかくとして、スノーホワイトにトップスピードの心の声を拾わせて「気のせい? ……もう、聞こえない……」という独白で死を示唆するところすごく好きです。心の声が聞こえなくなる瞬間をこれからスノーホワイトはいっぱい体験していくわけでつらい。

スイムVSリップル、スイムスイムにリップルの攻撃を避ける(というかリップルと打ち合いをする)意欲があったことが印象的でした。ルーラを持ったまま潜水していたのは潜りながら同時にルーラを段々消してたということだと考えますはい。

 

 

半年の意味をリップルと視聴者が理解したところでトプリプの描写はここで〆。

なんで、なんで、なんでの連呼、鬼気迫るものがあって良かった……。「リップルはただ一人だけいた友達を失った」という地の文が読み上げられることは(当然)無いのですが、存在しない地の文を感じさせるような叫びだったと思います。

 

 

さてここからはスノーホワイトとハードゴア・アリスの色々。毎度のことですがアリスの一挙一動がかわいい。なぜ自分はスプラスティックに死にまくる魔法少女で癒されているんだろうと多くの視聴者が首を傾げたのではないかと思うのですがしかしアリスは癒しです。

脳天に突き刺さった斧を平然と引っこ抜いて投げ捨てるアリスとそれに怯えるスノーホワイト……かわいい。ここでアリスが斧をへし折りでもしていたら二つ折りされた天使が転がってたのではないかと思いますがミナはぎりぎり命拾いです良かったね……。

 

道路標識を片手に天使を(殺そうと)のっそり追いかけるアリス。かわいい。何で脳天から血を噴出してる魔法少女で癒されなければならないのかよくわかりませんがしかしアリスは癒しです。

たまも癒し寄りです。たまの言う「あのこをやっつける」には殺すニュアンスは入ってたんでしょうかどうだろう……。入ってなさそうではあります。

 

 

悲しい鳴き声と共に撤退したたまを見送り、スノーホワイトが何故自分を助けるのかアリスに問いかけたところアリスの返事は「私はあなたしか信じないから」というもの。この辺りはガッツリとアニオリ。

その返事に頬を緩めたスノーホワイトは、ここでやっとアリスが自分に悪意をもっていないことを理解したのかもしれません。思ったよりスノーホワイトの精神にまだ余裕がありそうなんですが、ここからどうにかして「わたしはもう何もしたくない」に飛ぶ……飛ぶんだろうか……? シスターナナの脱落とかその辺諸々でまたダメージを受けるのかなスノーホワイト

 

少なくとも、

スノーホワイトは恐怖より怒りを覚え、身を震わせた。身勝手で人の生命をなんとも思ていない行動に憤った。スノーホワイトの魔法は「困っている人を見つけ出し、その人がどうして困っているのか心を読み取ることができる」魔法だ。ここでは数多くの声が聞こえてくる。声がどこから出ているかもわかる。その声を無視して戦っている魔法少女が信じられない。声が聞こえるのはスノーホワイトだけだが、助けを求めている人がいるのは見ればわかることだ。見えていないのか。目に入っていないのか。

というような怒りについては比較的弱目に描写されていると思います。テロ自体を魔法少女がやったとはこの時点のスノーホワイトはまだ知らないから、そこでまたダメージを受けるのかな……。大変だ。しかしアリスとスノーホワイトが比較的まともなコミュニケーションを取ったことはかなり特筆すべき事項です。10話以後色々見守りたい。

 

 

意味深なうさぎのぬいぐるみが映って上道でのシーンは引き、シスターナナさんに移り、そして彼女は黙したまま静かに退場です。コミカライズの時も思いましたが、首を吊った後体液が漏れてるのえぐいですね。いやあ魔法少女死にに死んだなあ前回今回……。

 

 

ルール変更のお知らせを受けて魔法少女達が色々動き出す、というところで10話に続きます。原作の残りページ数もかなり減ってきましたがここからはアニオリ増量な感じになっていくのでしょうか。もう追加できる短編もあまり残されていないような気がします。

色々10話の動向が気になるところです。感想おわり!