すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女86日目:うるる(QUEENS)

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは12、うるるでした。

 うるるー! うるるはとてもかわいいですね! がんばります。

 

 

 うるる。QUEENSプロローグにて幸子の死亡が確定したがために、三姉妹の最後の一人となってしまった魔法少女です。

 姉が取り残されることが多い魔法少女育成計画です。人間のきょうだいが居る魔法少女はペチカを代表として数多く存在しますが、「魔法少女の」家族が居る魔法少女といわれて思い出すのはやはりピーキーエンジェルズとアカネではないかな、と思います。どちらも妹に先立たれた姉が精神を危うくして他の魔法少女を殺害するという方に転んでしまいました。家族を喪うというのは、魔法少女の強化された精神でもっても耐え難い衝撃なわけです。そう考えると小山内さんとこの姉弟大丈夫かな……

 

 しかしうるるは、そういう方向には向かいませんでした。一人で部屋に篭り、座り込んでずっと考え続けていました。彼女がミナエルやアカネのような方向に転ばなかったのは、偏にうるるが非常に複雑な立場に置かされていたということがあります。

 

 姉妹を喪ったことに激昂して仇を探そうとしても、その仇の一人は自分達を守ろうとして戦い抜いてくれたスノーホワイトの友人で。そしてそのスノーホワイトはプク様が囲おうとしており、ではプク様に相談しようとしてもプク様は忙しくてとてもうるるを構ってはいてくれない。

 そんなこんなの間にうるるにかけられたプク様の魔法がじわじわと剥がれ、うるるは自分の寄る辺を見失います。今まで無条件に愛していたプク・プックのことを疑いをもって見てしまうようになり、そんな自分に動揺し、何が正しいのか、自分はどうすればいいのか、よくわからなくなっています。

 そのような状態ではとてもではないですが誰かを殺してまで仇を討つとかそういうテンションに持っていくことはできません。だからうるるは、過去の「姉」達よりはずっとずっと落ち着いた状態で行動を起こすことが出来ました。

 

 

 序盤の見せ場ことスノーホワイトの感情爆発。あれを引き出した魔法少女こそうるるです。

 

「勝手なイメージを推しつけないで。もう嫌だ。私は。なにもかも」

(中略)うるるはスノーホワイトを引き寄せ、がっつん、とスノーホワイトの額を自分の額に推しつけた。

「 お前は! お前は! 魔法少女だろ!」

 スノーホワイトはうるるの襟を掴んで離し、一度距離を置いてからもう一度、うるるの額を、がん、と自分の額に打ち当てた。痛みと衝撃で気が遠くなる。額だけでなく鼻までぶつかり、鼻から血が飛んだ。スノーホワイトはうるるを睨みつけ、うるるはそれを真正面から受け、息のかかる距離で怯まず睨み返した。

 

 いやあ良い。魔法少女魔法少女の顔が近い。スノーホワイトがちゃんと感情を出してくれると読者的にもほっとします。直後にプク様が襲来してなければもっと違う展開になっていたんでしょうが、まあたらればを言っていてもしょうがありません。

 

 全てが終わった後のスノーホワイトが比較的うだうだせずにフレデリカ捜索に尽力しているのも、一度ここでうるる相手に感情を吐き出したというのが影響として大きいんじゃないかな、と思います。

 スノーホワイトが直接的に手を掛けた存在が奇跡的に居ないというのも大きいんでしょうが、「リップルはもうスノーホワイトに会うつもりはない」というリップルの心の声が、スノーホワイトの中で大きな重石になっていたところが、「リップルが会いたくなくてもスノーホワイトから会いに行く」という方向に進んでいったのは間違いなくうるるとの会話の結果ですね。

 

 

 悲しいことにスノーホワイトの元にプク様が襲来し事態は急変。うるるはなんやかんやでマナと行動を共にすることになり、あれよあれよという間に遺跡の決戦に同席することになります。マナが監査代表として向かったのにひっついて行ってたっぽいですね。偉いなあ。ここからうるるはいっぱい仕事をします。

 

 魔法の機械の封印を剥がす仕事を終え、暇になって出てきたら自滅してオスク派にひっ捕らえられたあほ魔法少女ことマジカルポンジー。プク派最大の戦犯と言ってもいい彼女から証言を引き出したのも他ならぬうるるでした。

 自分の嘘がマジカルポンジーに通用してショックを受けるうるるの描写は切ないですが、しかし大手柄です。

 

 

 遺跡内での最終決戦が始まってからは、うるるの魔法がもういよいよ本領発揮です。

 うるるの魔法対策で耳栓をした上でプク派の魔法少女が襲い掛かってくるのなら、耳栓をしていないがために洗脳された元オスク派現プク派の魔法少女を嘘で騙して使ってしまえばいいじゃん、という魔法を魔法で殴る解決法は鮮やかなような乱暴なような爽快なような。初見殺しの魔法は混戦時とんでもなく有用ですね。

 彼女の主な弱点といえば初見以降は通用しにくいことと本人の身体能力がそこまででもないことの二点でしたが、シャッフリンのスペードエースを味方に付けてしまえばもうそんな弱点を気にする必要もありません。プク様魔法の再洗脳もそう気にする必要はありません。シャッフリンはあくまでプク派である上でうるるの嘘に騙されているのですから。いやー便利。

 

  モニターをジャックして拡散したうるるの嘘をハムエルが拾ってればプク様は敗北でした。結構色々なところで一進一退の戦いなんですよねQUEENS。誰がどう決定打になってもおかしくなかった。

 

 

 ところでうるマナです。遺跡に入る前からうるマナはすごいですが、遺跡に入ってからのうるマナは更にすごいです。

 うるマナ滅茶苦茶かわいい……。悪態ぶつけつつ一緒に遺跡を駆けめぐるふたりぐみ。マナさんこんな場所に来ちゃって危険すぎるでしょ、とは思いますが、彼女無くしてデリュージの存命は無かったかもしれないので来てくれてよかったです。

 

 QUEENS発売前にうるマナというふたりぐみを想像した人がこの世に居たかと言えば多分居なかったんじゃ……いやもしかしたら居るかもしれません。でもものすごく少なかったのは事実だと思います。うるマナ。うるマナの噛み合いっぷりものすごかった。

 言われてみれば「妹を喪った姉」と「(義理の)姉を喪った妹」ではあるので符号自体は存在していたのですがいやまさかそんな。マナと言い合いするうるる、マナを抱っこして走るうるる、全てが驚きと新鮮さで溢れてました。即席とは思えない程にウマのあったふたりだった……。

「考えてる暇なんてないでしょ! ほら、さっさと行くよ!」

 うるるはひょいとマナを抱き上げた。マナの抗議の声には聴く耳持たず、再び走り始めた。

 あはは。好きです。 この直後の視点だとマナは自力で走っててまたしても置いて行かれそうになっているので、もう一度うるるが抱えようとしたら拒否られたりしたのかな。マナさんも強情なところありますからね。

 

 あのやりあいが好きだっただけに、エピローグ以降のうるマナが別行動なのには寂しさもありますが、しかしマナに対して走るのが遅いと怒って見せたうるるがスノーホワイトからは走る速度を落とそうかと気遣われているというのが微笑ましくていいです。うるるもマナもスノーホワイトも、フレデリカを探しているという目的は一致しているのでそのうち集まってわちゃわちゃしてほしい。

 フレデリカを探すとなれば7753やメイも合流するかな。7753はマナにJOKERS時間軸でフレデリカと会ったことについて話したんでしょうか、そこは結構気になります。プフレも居なくなったしもう話さない理由は無さそうですが。というか7753元気にしてるんだろうか……。

 

 

 さて好きなイラスト。管理者用端末を手にファルを見つめるうるるの挿絵好きです。そばかすが散ってるのがわかりやすくていいですね。ハムエルさん曰く魔法少女でそばかすがある、というのはそれなりに珍しい特徴」だそうです。記憶に新しいのはジューベさんですそばかす魔法少女。かわいい。

 

 

 続いて好きなセリフ。うるるはセリフがとんでもなくかわいい魔法少女なのでちょっと困りますね。うるるの言葉遣いのかわいさ、ACESから跳ね上がっている気がするのは自分だけでしょうか。うるるは元からかわいい。はい。うるるの一人称がうるるなの相当かわいい。

 かわいいセリフ、格好いいセリフ、嘘のセリフ、あほっぽいセリフ、色々あるうるるです。悩みましたがやっぱりここは「幸子は自分の魔法で誰かが不幸になるのが嫌だった。誰よりも泣き虫で臆病なくせに、他人の事を考えてた。うるるは幸子のことを馬鹿で阿呆だと思うけど、でも、幸子はうるるの妹なんだ。うるるは幸子の思いを守りたい」ですかね……。

 

 一週目はさらっと読んだセリフですが、二週目で読んでいてうわーっと気持ちが高ぶって困りました。生き残った魔法少女が、死んでしまった近しい子の思いを継ごうとする、というのがやはり魔法少女育成計画の大きな流れとしてあり、ここにもそのリンクがあります。好きです。

 実際に思いを守れるかどうかはともかく、魔法少女の死に衝撃を受けて足を止めた魔法少女が、その魔法少女のありかたを思い出してもう一度前を向く、という展開は、良いなぁ。死んだ魔法少女のありかたどころか人間の頃からの思い出全てを丸っと持ち去られた魔法少女(死んだ魔法少女を殺した魔法少女でもある)は一体どうなるんでしょうね!? どうもこうも次巻を待つしかないんですけど!!(突発自棄)

 

 

 ほんと色々どうなるんでしょうね。うるるの魔法は対策を練られると厳しいものがあるので、彼女の魔法を把握しているであろうフレデリカや初代などを相手取るには多少力不足さを感じますが……なんやかんやがんばってほしいなあ。以上。明日もがんばります。