読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

すふぉるつぁんど

主に魔法少女育成計画について書き残していくブログです。基本的に生き残り魔法少女は全員熱烈に応援しています。平気でネタバレをやります。

まいにち魔法少女92日目:レーテ

まいにち魔法少女

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは14。ラストの14ということは即ちレーテ様です。

 プク様には9割敬称をつけてしまうのはプク様ファンのさがというものですが、レーテさんにも8割くらい様をつけたくなってしまいます。やっぱり本人の格の高さからかな。立場として偉い魔法少女には様をつけて呼びがちです。がんばります。

 

 

 レーテ。彼女はグリムハート亡き(?)今、三賢人の現身ではないもののオスク派のトップに君臨しているかなり偉い魔法少女です。恐らく魔法の国産魔法少女なのではという雰囲気がありますね。

 魔法の国側の魔法少女事情が掘り下げられるのは中々興味深いです。これから先も魔法の国側で誕生した魔法少女が関わってきたりするかなぁ。魔法の国は魔法少女という研究対象自体をそんなに大層に扱っていない印象がありましたが、どうやらいろいろ研究を進めた上での高級魔法少女がレーテ様っぽいです。

 

 さてそんなレーテ様ですが、第一章を読んだ段階での自分の印象としてはああまた難儀な上司が来たな! というものでした。いや思ったより話が通じてるあたり、身構えていたよりはずっとまともなお人ではあったのですが。グリムハートクラスが来るものかと考えてた……。

 それにしてもとにかくまほいく世界における目上存在は部下の扱いがひどいことが多いため(そして嫌いなもの欄に上司的存在が入っている魔法少女が面白いほど多い)、レーテ様もその例に漏れずにハムエルをいびるお人なのかなぁとばかり考えていました。今思うと疑心暗鬼が過ぎる。

 

 そのような第一印象をレーテ様に対して持っていた自分ではありましたが、読み進めていくうちにあれ思ったよりそんなひどい人じゃないなあと内心首を傾げていて。その上で序盤から中盤への移行、プク・プックが遺跡に乗り込んだことをハムエルさんから報告されたところで……それはもうびっくりしました。善後策を出せ、とハムエルさんに促すところまではまあそうしますよね、という印象だったのですが、驚いたのは彼女の破れかぶれの提案を受けての、

「だいたいにして」
「はい」
「私が考えたことと同じだな」
「はい?」

 これ!

 あーー格好良い! クソ上司だとばかり思いこんでいたレーテさんの認識が塗り変わる瞬間です。ほんとなんでレーテ様にあんな警戒してたんだろう。

 レーテは部下の失態に過度に苛立つでもなく、彼女の無礼ともいえる進言に気分を害するでもなく、とにかく冷静に、遅れをとった上でどうやってその遅れを挽回するかについて思いを巡らせていました。レーテ様、自分自身がプク・プックと戦闘するという、当初はハムエルに押しつけるような態度(表面的)でいた絶望的対戦さえ自分の作る計画の中に織り込んでしまっています。偉い……。

 

 もはや明らかに、レーテ様は己の強さを笠に着て驕っている愚者ではありません。理想の上司レベルで言えばグリムハートと比べるのもおこがましいものです。いやあ素敵だ。再読してみれば初登場から途方もなく格好良かったような気さえします。誰だこんな素敵魔法少女上司をクソ上司とか言ってたのは。

 

 

 レーテ様の魅力上昇はとどまるところを知らず。これ以降のQUEENSを読み進めていくうちに、どんどん彼女のあり方に引き込まれていきます。オペラグラスで敵の魔法を見抜いた上での戦況判断やプク様の動きに違和感を覚える聡明さ、不愉快な出来事に堂々と機嫌を悪くしてみせる尊大さ、貴族モチーフを殊更に強調しておきながら口調や周囲の環境でどうにも貴族らしくありきれない残念さなどなど、素敵な描写盛りだくさんなのですが……。

 しかしというべきか、いや当然というべきでしょうか、自分がレーテ様の魅力を最も強く感じたのは、世紀の大決戦ことレーテVSプクのカードが切られて以降でした!

 

 いざとなったらお前がプクの相手をするように、なんて最序盤で言っておきながら、本当にハムエルがプク様に狙われるや否や「敵の大将を前に何をしているのかな」と割り込むこの、途方もない格好良さ。彼女はプクと対決するにあたって、傷つけば魂ごと抉れるなんておどろおどろしい逸話付きの強力極まりない武器(「万天無に帰せ」「衆生地に伏せ」「十派彼に為せ」)をオスク派の宝物庫あたりから持参していたわけですが、それでも勝ちの目が少ない相手であるということは承知の上だったはず。

 

 実際、プク・プックはレーテ様が想定していた以上に強大で、事実として格の違う存在で。そんなことを知った上でレーテ様は全力を尽くしてプク様と戦います。ここの戦闘の規模はまず間違いなく今まででかつてないものです。

 スペードのエース程度ならジャンプ一つで頭部陥没のプク・プック様とまともに戦えるレーテ様、やっぱり現身以外では頭一つ抜けておかしい。魔王パムさんの宇宙規模な「全力」は見れずじまいでしたので彼女については勿論何ともいえませんが(追記補足:パムとレーテの戦いについては過去に話半分か三分の一で「ぎりぎり引き分け」)、少なくともパムの戦闘力を下回る並大抵の魔法少女ではレーテ様に戦闘力で敵うことはないでしょう。ハムエルさんもそのような事を喋っておりましたがまさしく一騎当千魔法少女

 

 いやあ……大怪獣ニ体に等しい二魔法少女の決戦、すさまじく楽しかった。レーテの魔法「相手の距離感をおかしくしちゃうよ」が感どころじゃなくこれ実際距離操作してるじゃんという気付きから始まり、振り回される未知の武器、じわじわと染み込んでいくプク様の魔法への恐怖、魔法云々の話ではなく戦闘においても崩れることのないプク様の超然とした態度への恐怖、短い文章で刻んで積み上げられるレーテ様視点、「わからないままでいてくれよ」という切実な祈り、そしてその祈りは叶えられ、宙に浮いたプク様に致命の一撃が届く――というところでの、「そうだ。命中してしまう。」という絶望的な一行。


 超密度の戦闘描写を目で負い、その最終局面でレーテ様の胸中についにプク・プックの魔法が入り込んだことを理解した瞬間の気持ちは表現しがたい。遠藤先生の描写に惚れ惚れとしつつ、それでもやはり予測される展開がこの上なくつらかった。予感の通り、レーテ様はプク様を庇って自分の必殺の一撃を自分で受けることになります。ああ……。

ページにしてみればたった10ページ(!)のやりとりの中に、何故こんなに情報量と感情の高まりと嬉しさと悲しさを詰め込めるんだろう。すばらしい一戦でした。すばらしい一戦だったのですが、ここでレーテ様は敗北です……。

 

 

 プク・プックの魅了から解放され、彼女の死に際の怨念に近い感情(その中に「部下のピンチに颯爽と登場することもできない」という描写があるあたり、やっぱりレーテ様はハムエルを肉壁にして逃げる気なんて最初から更々無かったんだろうなあ)はすさまじく煮詰まっています。彼女はしかしそこで何もできず死を待つばかりだったのですが……ここで登場したのがラズリーヌ。

 

 歪んだ視界の中、青い影がレーテに近寄り、頬に触れた。なにかがレーテから転がり出、憎しみや無念がすっと消えた。レーテはネガティブな感情から解放され、安らかに微笑み、事切れた。


 ここ……。ここ、何故か自分にとってはどうにも複雑なものでした。ラズリーヌがレーテの死に際感情ブーストを抜き出して後々利用したことでプク様の足止めに成功し、最終的にうまくことが運んだため、結局のところこの記憶抜き出しはレーテ様の無念を晴らすに役立ったわけなのですが。

 これをやったことで、同時にプクを守ってしまったことで感じた彼女の無念は、死にゆくレーテの中で「無かったこと」になってしまったわけで。なんなんだろう。初読時、彼女の浮かべた安らかな微笑みには上手く説明できない恐怖がありました。

 

 うーん、今でもきちんと文章にできるとは思わないのですが、レーテ様を絶命に至らせたプクの魅了もまた、レーテ様固有の意志をねじ曲げて「歓喜」を与えるものでした。自分にとってのこの、ラズリーヌの記憶抜き出しによる人工的な安息は、プク・プックが自分の魔法でレーテに押しつけたポジティブな感情とあまり変わらないような気がしたんですね。

 彼女が彼女の意志で得た「安らか」さではない、そんな穏やかな微笑みは果たしてああ安らかに逝けてよかった、と思うべきものなのか、それとも死にゆくその瞬間さえ他人に感情をいいように操られて死んだのかレーテ様は、と落ち込むべきなのか、それが自分にはわからなくなっていました。

 今でもハムエルとレーテ様の笑顔の経緯の違いを思い出してはよくわからなくなります……が、やっと整理が付いてきたことには、レーテ様がどうしようもない苦しみから多少なり解放されたというのは事実なわけで、そこについてはよかったね、と考えてもいいんじゃないかな、という感じで落ち着きました。落ち着いたかなぁ……。

 

 なにはともあれ、(「ビーチのお姫さま」でレーテ様らしき魔法の使い手を確認することはできるものの)実質1巻こっきりの登場退場で、ここまで魅力的な魔法少女を拝めるとは思いませんでした。レーテ様、素敵な魔法少女でした。

 

 

 好きなイラスト。QUEENS発売日にマルイノ先生のTwitterにアップロードされたレーテ様が好きですという感じで。いや本当に好きですあのイラスト。ちなみに当該ツイートによればマルイノ先生はオスク派とのことです。

 マルイノ先生の発売日告知イラスト毎度大好きですが、今回のレーテ様もすばらしいものでした。いやあ何しろレーテ様お顔が良い。見とれるほど美しい……。彼女は間違いなくオスク派のクィーンでした。

 レーテの死はプク派の暴走を身体を張って止めたオスク派の面目躍如というふうに祭り上げられたりするのかなあ。それで何が変わるというわけでもありませんが、少なくともレーテ様が死んだことは有象無象の犠牲者として扱われることはないだろうなと思います。次のオスク派代表はどんな魔法少女かな。

 

 

 好きなセリフ。ああレーテ様も素敵な台詞が多いですねー。困る。大好きな「敵の大将を前になにをしているのかな」……についてはもう上で描きましたので別で。

 というわけでマジカルポンジーを捕虜とした旨の報告をハムエルさんから受けた際の「拷問でもなんでもよい。人道主義はこの際忘れるようにな」がかなりオスク派のブラック感を感じさせて好きです。実際捕虜に優しくしてる場合ではないので当然なんですけど、その後のハムエルさんの受け答えも含めていろいろ真っ黒で思わず笑ってしまった。いやあもっともっとハムレーテの会話聞いてたかったなぁ。ここが初対面っぽいのが非常に悲しい。いやいつか何かしらで会ってたりしないかなぁ……どうかな……。

 

 

 うっかり書き漏らしましたが「クズ人事め。事が終われば査問にて絞り上げてくれよう」「くそったれのプフレ」あたりのレーテ様のセリフないし地の文、他の諸々が魅力的すぎるがためにこれ! と挙げるわけにもいかないんですがしかしとんでもなく好きです。

 プフレについて言及してるセリフ全部好きといえばそれはもう全部好きなんですがそれはそれとしてレーテ様のこのあたりは特等好き。ほんとプク派VSオスク派というのは表面上だけのことで、実質プフレと足の引っ張り合いみたいなことしてるからなぁ。何かしらの意図を持って介入してた勢力がプフレ以外にもいたというのは最後までレーテ様は気付かなかったかなー。

 以上、残るところ三名となりました。なかなかすごい人ばかり残っています。残り三日がんばります。