すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女99日目:ラッピー・ティップ

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは4。ラッピー・ティップでした。

 ラフで見た時の露出度の高さにびっくりした魔法少女でした。身体のあちこちに付いてるのは鏡なんだろうか。以下感想。

 

 

 ラッピー・ティップ。もしかして名前がラップトップと掛かってたりするんだろうか? とふと思いましたが、ラッピー本人にラップトップ要素は皆無ですね。ラッピー(lappy)にはラップトップそのものの意味もあるらしいんですが綴りが違うだろうし……。

 彼女は1班所属のムードメーカー的魔法少女です。ちょっと変身前の化粧が濃い。地の文曰く髪を盛っているらしい。盛り髪といい一時代前感があるような気がしますが、そういうメイクが好きなのかもしれない。

 

 

 魔法は「魔法のラップでなんでも保存できるよ」。この紹介を読んだ時、何故かまずパナースが頭に浮かんでしまった。ラッピーのラップで包んだら、食材も魔法的に永久保存できたりするんだろうか。

 ラップと聞いて最初に想像する用途、「食材・料理の保存」以外にも、ラップの常識を超えて色んなものを保存できたり……したらすごい。今のところは薄くて強い盾という印象です。サポートとして随所で大活躍してましたね。

 

 ラップすごいな!? と一番思った活躍は、やっぱり裏山でのVS洗脳テティ戦でした。ホムンクルス将軍に仕えるテティ怖すぎる。凶悪魔法抱えた人は躊躇い無くなった瞬間に魔法が猛威を振るいますね……。たま然り。よくテティ相手を凌ぎ切ったなあラッピー……。

 あれは「掴む」魔法相手だからこそ上手くラップガードが噛み合っていたのか、それとも攻撃の性質を問わずある程度のダメージには耐えるのか。なんとなくラップのイメージ的に斬撃には弱そうな気がする……と思ったんですが、そういえばドリィの落としたドリルからも床を守ってましたね。想像よりラップが頑丈だった。

 

 将軍に短剣を刺された際に素早くラップで止血する手付きも見事でした。初読時はそれどころじゃなかったんですけど、再読時にこれラップ療法じゃん……ってじわじわ面白かった。ラップ療法ではない。

 活用方法から見ても、彼女の魔法は防御性能に優れているように感じます。その気になったら攻撃に転用したりもできるんだろうか。テティ相手には殺さない前提で絞め技での気絶を狙ってましたが、マジで殺すつもりだったらラップで窒息とかも狙えるのかもしれない。あとは拘束とか。

 

 

 そんな魔法のラップ使いのラッピーですが、ハルナから個人情報を開示されたカナ曰く「なぜラッピーがラギ・ヅェ・ネントを知っているのか。ラッピーは人事部門から推薦を受けているのではなかったか。管理部門のラギ・ヅェ・ネントとは関係がない」*1 とのこと。

 人事部門……! 反射的に不審に思ってしまう。プフレが死んだので人事部門がクリーンになったかと思いきやプフレ死後のF2Pでも相変わらず(そういえばF2Pでの吉岡氏は人事副部門長のクリオに仕えていたのに今はカスパ派の偉い人なんですよね……)っぽく、なんならプフレが部門長になる前もレイン・ポゥが人事のために暗殺雇用されてたりもしたのでもう人事は大体常に不審です。

 人事長は慣習的にカスパ派に連なっているというQUEENSでのプフレの話を踏まえると、そういう方向でも邪悪な意思の介在が容易で怖い。これはラッピー本人が怪しいという話ではなく、テティが情報局にそうとは知らず利用されている(っぽい)ような状況がラッピー側にも起こりえそうだなという怖さです。いやラッピー本人が何を考えているのかはまだいまいち不明なところではあるんですが……。

 

 ラッピーは1班でアーク・アーリィを除いて唯一「スノーホワイト」のことを知っていた……という描写は彼女が業界人であることを匂わせますが、その「知っている」内容が魔法少女狩り・スノーホワイトではなくエクストリーム情報窃盗完走者・スノーホワイトなのはこう……微笑ましい事情通加減だ。

 人事部門にちょっとだけ接点があったものの、概ね一般魔法少女であるパステルメリーもエクストリーム情報窃盗について既知でしたし、人事周辺ではスノーさんは情報窃盗者として有名でもあったりするんだろうか。

 エピローグでそのスノーホワイトが同級生になったりしてしまったわけですが、ラッピーはやっぱり情報窃盗に関して聞きに行ったりするんだろうか。スノーさんの反応早く知りたい……。

 

 推薦部門が人事部門というだけで怪しさを感じてしまう(改めて考えると酷い話だ……)ラッピーですが、本編随所で発揮される抜け目のなさは「えげつない」の域にならない、中学生的悪巧みの範疇……のような、「いやマジ、ホント、訴えられて困るようなことはしないからね?」*2 の具体例と言えるような……そんな印象です。全体的に可愛げを維持している。

 普通コースの生徒と交流していろんな石貰う校則違反も、アデライの深夜激闘を読んだあとだとささやかな違反の範疇に思えるし、作中でも触れられたように「新校舎の理科室から窃盗する」ではなく「科学部の生徒にお願いして借りてくる」なのはこう、優等生的かはともかく後先を考えて行動する素敵な抜け目のなさを感じます。

 何はともあれよく気のつく魔法少女です。テティの隠しようもない危うさをこれからもフォローして……ほしい。彼女については、どういう立場にせよもうちょっと内面についてもよく知りたいですね。

 

 

 さて好きなセリフについて。ラッピーのセリフをぱらぱら眺めてたら1セリフにおけるエクスクラメーションマークの数が突出してて笑った。

 賑やかなセリフの印象が強いラッピーだからこそ、VSテティでのラッピー視点は地の文の落ち着きっぷりに驚いたのを覚えています。地の文でもエクスクラメーションマークにまみれてたらそれはそれで驚くんですが……。

 で、好きなセリフです。――ナイス水銀! がキャッチーで好きという話はミス・リールの回でちょっとしたので別のものにするとして、「だってさ! 最近他の班もマジでやってんじゃん! うちらも色々工夫してやらないとさ! ドベから順番に並んで卒業しますとか嫌じゃん! 優等生でいこうぜ!」*3 が好きです。ドベから卒業するやつ無印を思い出す。ラッピーのほどほどな好戦的態度は、中学生的微笑ましさを維持しつつもばっちりクラス内競争意識を高める方向に作用してるので……こう……便利に牽引してくれそうだなと思います。色々……

 

 

 好きなちょっとした描写について。「ラッピー・ティップは憂鬱を隠そうとしない表情で時折溜息さえ吐いている。普段のうるさいくらい明るい様とは落差が酷く、つまりそれだけ授業が退屈なのだろう *4 という、授業中マジで暇そうなラッピー好き。いつも元気な人が大人しくしてる瞬間好きです。

 カルコロ視点で授業態度が悪い魔法少女のラインナップがメピス・ラッピー・カナなの三者三様で良いですね。3班の魔法少女はみんな真面目に授業受けてるんだろうか。

 

 あと、ラッピー本人への好きとは少しずれた部分の好きについて。裏山にプリンセス・デリュージが現れた際、彼女がデリュージのことを「青い魔法少女と呼称したのすごくよかった。どきっとした。

 確かにデリュージは青い魔法少女なんですが、その単語とデリュージの因縁が深いので……わ~~となりました。

 

 以上。タイトル打ち込んでて気付いたんですが明日でまいにち魔法少女も100日目ですね。別に100日連続で書いたわけではないので詐称っぽいですが……。また明日。

 

 

*1:遠藤浅蜊;マルイノ.魔法少女育成計画「黒(ブラック)」(このライトノベルがすごい!文庫)(Kindleの位置No.1254-1255).宝島社.Kindle版.

*2:同(Kindleの位置No.1260).

*3:同(Kindleの位置No.3058-3059).

*4:同(Kindleの位置No.897-899).