本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは16、つまりスノーホワイト(黒)でした。これまでの表記に則ってるとはいえスノーホワイト(黒)って一行矛盾みたいでちょっと笑ってしまう。
魔法少女育成計画「黒」は「スノーホワイトのサーガ」の一幕のはずなんですが、スノーホワイトはほとんど登場しません。ただ邪悪な意思を挫くため影で頑張っていましたし、次巻からはいよいよ正面切って頑張るんだろうな……と思います。以下感想。
スノーホワイト。今回の「黒」で登場人物欄での登場も5回目になりますね!
ただスノーホワイトは、最終盤までは「黒」のメイン舞台たる2年F組と直接関係してはいません。プロローグにてデリュージと合流して以降は彼女+ABCやマナ、うるると共同で、不穏な動きをしているピティ・フレデリカの企みを挫くべく動いていたようです。
恐らくこの黒プロローグでのスノーホワイト視点は、QUEENSエピローグのスノーホワイト視点シーンと直接繋がっています。
つまりQUEENSでスノーホワイトが「協力してくれる人が何人かいる *1 」と言っていた協力者の、少なくとも一人がデリュージである(もしくは、デリュージ+ABCのことを指している)ということです。
(この辺……この辺、ちょっと時系列がよくわかっていません。アーク・アーリィが4月に2年F組に入学していることから、QUEENSは間違いなく「黒」年度の4月以前の物語であることが確定しています。そう考えるとQUEENSエピローグ=「黒」プロローグの時間軸、そしてそのシーンと直結していると推測される袋井真理子視点での話がちょっと……だけ妙な感じになるんですけど……まあ……そこに関しては解釈の余地があると思います。とりあえず自分は、QUEENSから「黒」までの間に最大半年強+1ヶ月程度の時間が経っているものと……考えています。今の所。もう学年描写であれこれ悩んでたら2版ではい!!! ってなったやつで本当に懲りたので、二度はやりたくないので、基本2版を待ってから考えるくらいの気持ちで……。恒常的になんかいい感じの時系列の説明してくれる方を募集しています。)
閑話休題。スノーホワイト視点では、様々な魔法少女や魔法使いの動向がわかります。まずはデリュージ。プク・プック関連の戦いでは常に敵対していたこの二人が組んでるの……いいなぁ!
「[……]アーリィやクラスメイトも噂してたんでしょ?」
「そう聞いています」
「うん」
「はい」
「ええと……アーリィは学校で上手くやれてる?」
[……]
「誰も彼もと仲良くできるってわけじゃないからね」
「ええ……そう、ですね」
「うん……」 *2
デリュージとのこの気まずい空気良すぎる。頬が緩む。ずっと読みたい。これスノーホワイト側にデリュージの会話に困ってる声筒抜けてるんだろうな……。
うるる相手には特に気まずくなってる感じもなかったので、スノーホワイトはグイグイ来る魔法少女にはいい感じにコミュニケーション取れるんでしょうけど、デリュージみたいなタイプを相手にするのはあんまり慣れてないのかもしれない。デリュージもスノーホワイトみたいな人と関わるの絶対不慣れだし……。
そういう意味では、今のスノーホワイトがマナと共同戦線貼ってるっぽいのが気になります。QUEENS時点では無愛想が過ぎたためマナからだいぶ嫌われてたようですが、仲良くなれたんだろうか。そこはビジネスライクなのかな。
さてスノーホワイトの人間関係続き。デリュージと一緒に行動しているブレンダとキャサリンとも、何故か仲良く掃除しようとしたりしてます。SD立ち絵の箒要素ってここのお掃除パートだったのかな……。久しぶりにスノーホワイトが理想的な魔法少女らしいことできてるの読んでほっこりしました。
また、スノーホワイトからアーリィに対する、
なにより、笑顔で学生生活を楽しんでいる彼女を見ていると、探らせたり調べさせたりといった「必要なこと」が「余計なこと」に思えてくるのだ。 *3
という想いは、プロローグでの袋井真理子視点もあり印象的でした。
姫河小雪さん、高校2年生進学の時点でもう全然学校に通ってないんですよね。青木奈美も学生生活を捨てた人だし、魚山護も通学不能状況だし、ここの陣営のドロップアウト危険性が高すぎる。アーリィには無事に卒業してほしい。難しいな……。
また、関わりで言えばスノーホワイトが「魔法のスポンジ」を貰ってきているのも見逃せません。恐らく、マジカルポンジーと交流がある!!!
ささやかな描写ながら、ここはかなりぐっと来ました。スノーホワイトにとってのQUEENSって、リップル捜索やピティ・フレデリカ打倒という願いの上では一切前進でもないというか、ファルを失った分むしろ後退に近いものではないかと思っていたので……。
QUEENSでのスノーホワイトがやったこと、巻き込まれた結果が、それでもなにかしらの良い新たな関係に結びついてるのにこう……ほっとしました。
そういえばファルです。ファルの幻聴を聴いた描写は何だったんでしょう。シャドウゲール周辺からファルの心の声が聞こえる当ても特に無いしなぁ……。
廃人状態のシャドウゲールを目にしたり、待てど暮らせどファルが見つからなかったり。それらはスノーホワイトの心を少なからず乱す要素ではないかと……思うんですが、彼女が地の文にその想いを滲ませるようなことはありません。
この不自然と言えるほどの落ち着きっぷりに対する印象は、「魔法少女暗殺計画」を読むことで自分の中で大きく変化したように思います。
スノーホワイトは「黒」より遥か前から不安を殺し、恐怖を抑えながら進んできました。スノーホワイトがファルを心配していないわけがないのですが、悩んでいてもどうしようもないし、立ち止まるわけにはいかない。だからこそ彼女の視点は(抱えているであろう不安を考えれば異様なほどに)淡白なのだろうと思います。
この感情を殺してきた蓄積がQUEENS序盤での無気力と自暴自棄に繋がったのではないか……と考えると不安ではあるんですが、うるるとの対話を経てまた一つ強くなり、今や陣営と呼べるほどの協力者も居るスノーホワイトなら、同じ石に躓いて動けなくなるようなことも無い……のではないでしょうか。いやそれでも無理をしていることには違いないでしょうが……。
スノーホワイトが負の感情を抑えながら動いているのではないか、と自分は考えていますが、最終盤にはそんな彼女の想いが滲み出るような描写がありました。
この深い息は、スノーホワイトが音楽家ホムンクルスの首を刎ねたことで湧いた感情を抑えて、自分のやるべき「ランユウィの安否確認、うるるへの指示」を優先した、そんな瞬間の呼吸だったのではないでしょうか。
スノーホワイトが、音楽家ホムンクルスの首を刎ねる。言うまでもなくとても……象徴的なシーンでした。カタルシスの中に一抹の空虚を感じ、そして決して空虚さだけではない素晴らしさがありました。
スノーホワイトが「音楽家」を狩るという構図自体に意味を見た時、その絵面は確かにドラマチックですが、表裏一体な虚しさがあります。ランユウィの回にも書きましたが、いくら外見が音楽家だといってもそれは音楽家を模したホムンクルスでしかなく、当の音楽家は死んでしまっているからです。全てがもう遅い。誰かの筋書きで死者偶像を蹴る必要性に迫られること自体が虚しい。
ただ、ラズリーヌの仇敵という背景上どうしても「音楽家との対決」という構図に意味が発生するランユウィと比較すると、スノーホワイトのこの行為には空虚さを帯びない大きな意味合いがあります。彼女はランユウィや出ィ子を救うことができたのです。
無印の「間に合わなかった」スノーホワイトとの対比に意味を見た時、「黒」のスノーホワイトが間に合った、守ることができたことはすごく……大きな意味を持つように感じます。彼女はこれまで掌から守りたいものが零れ落ちてしまう魔法少女だっただけに。
今のスノーホワイトの最大目標は、リップルを探し出しピティ・フレデリカを打倒すること。この二つにおいても、スノーホワイトの伸ばす手が届いてほしい。次巻にリップルの姿はあるだろうか。
はい。そんなこんなで色々あってスノーホワイトは2年F組にやってきます。転校生です。平然とサバ読んでる!!! 高校生ですよね!?
「スノーホワイトです。よろしくお願いします」
小柄な少女は、頭を下げ、すぐに上げた。声も、態度も、佇まいも、顔立ちまで、どこか大人びているように思えた。 *5
ここラストもラストなのに普通に笑ってしまった。そりゃ大人びてるよ!
これスノーホワイトだから許されてるルール違反なのかな……。2年F組でスノーさんどういう感じでやっていくんだろう。クラスで即変身したら誰かしら速攻黒出されたりしないんだろうか。その辺猛烈に楽しみです。スノーホワイトほんとに暗躍メタ存在すぎる。
さて好きなセリフについて。「アーリィも、ブレンダも、キャサリンも、デリュージも、私も、魔法少女なんだよ。魔法少女は困っている人のお手伝いをしてあげるのも大事な仕事の一つなんだよ *6 」かなあ。教育係っぽい。
好きな描写。これはもう、
スノーホワイトは指の上でシャープペンシルを二回転半させ、ぴたりと止めた。会議室程度の広さ、会議室程度の備品という堅苦しい部屋の中で難しいことばかり考えていると息苦しくなってくる。せめて姿勢くらいは楽にしようと長テーブルの上にタオルをのせ、ブーツを脱ぎ、足をタオルの上に置いて椅子の背もたれに寄りかかった。 *7
これです! いやそりゃもう細かいコスチュームの着脱描写大好きなので好きです。仕方ない。
以上。転校生・スノーホワイトが果たして何班に所属するのかがとても気になっています。また明日。