すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女110日目:ドリル・ドリィ&アーク・アーリィ

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは5、ドリル・ドリィ&アーク・アーリィでした。

 ドリル・ドリィとアーク・アーリィに加えて、ブレイド・ブレンダとキャノン・キャサリンにも触れつつやっていきます。以下感想。

 

 

 ドリル・ドリィ&アーク・アーリィ。2人とも1班所属の推定新型人造魔法少女です。

 変身後の顔立ちがよく似通っており、また変身前でもうり二つの外国人的風貌であること、喧嘩したり脇腹をつつきあったりしつつも基本は二人でくっついて行動していることから、班員からは姉妹として扱われています。

 

 ドリィ&アーリィの変身後の顔立ちが似通っているのは色々な意味で衝撃でした。まずアーマー・アーリィは鎧の下をこれまで決して見せようとはしてきませんでしたから、中に人の形をしたものがちゃんと収まっているのかどうかから未知だった。普通に可愛い子が入ってました。

 

 ブリーフィング中だろうと休憩中だろうとプク・プックがいる時だろうと、けして兜を外そうとはしなかったアーリィが、今はバイザー部分を上げてブレンダやキャサリンにそっくりな顔を見せている。彼女もまた以前とは変わったのだろう。 *1 

 

 スノーホワイト視点のこの描写から、ドリィとアーリィが似通っているだけではなく、ブレイド・ブレンダ、キャノン・キャサリンも二人と同じ顔をしていることがわかります。うわー。クローン魔法少女めいている。この分だと変身解除しても一緒の顔なのかもしれない。

 

 アーリィがこうして顔を見せるようになった経緯、ABCの三人を代表してアーリィが2年F組に入学することになった経緯はぜひ知りたいです。

 アーマー・アーリィ/アーク・アーリィは、QUEENSから黒で大きく成長……というか、変化した魔法少女でした。魔法少女名が変わり、ACESの頃にはシャドウゲールの日本語が通じていなかった様子だったのに拙いながらも日本語を習得し、そして嫌いなものに「鎧の下を見られる事」を挙げていたほど露出を忌避していたのに、今では顔を見せている。

 これらの変化は、どういった感情から導かれたのか。ブレンダの希薄気味な自我と比較して、より「個」として分化しつつあるようなアーリィの内面にはすごく興味があります。

 

 

 ドリィ&アーリィの二人に話を戻します。実際にドリィとアーリィに血縁があるかどうかは不明です。が、恐らくルーツは同じで、ドリィもまた地球産人造魔法少女研究をベースに造り出された魔法少女なのでしょう。

 そういう意味では、ドリィの推薦元組織が「実験場」なのはちょっと不思議でした。ACES時点では、ABC魔法少女の研究はブルーベルがパスを持っていた「研究所」で行われていました。実験場が研究を引き継いだのか、固有名詞が出ていなかっただけで「研究所」=「実験場」だったのか。

 

 一見してよく似ているアーリィとドリィの異なる部分として、この推薦組織の違いの他に、語学力の差があります。アーリィと比較すると、ドリィは(五十歩百歩的ではありますが)より日本語をうまく使っています。アーリィの方が「獣の鳴き声」と称される声を上げていることが多いです。この声に擬音語を当てるなら「キィキィ」なんでしょうか。

 ドリィの方が入学前に日本語に親しむ機会があったのか、単純に勉強が得意なのか。裏山戦で追い詰められた時にはドリィも母国語出ちゃっててかわいい。似たようなものとして見てしまいがちな新型人造魔法少女ですが、違う部分はそれぞれ持っており、それが見ていて楽しいなと思います。

 

 

 さて魔法について。アーク・アーリィの魔法は従来と変化はなく「攻撃を受ければ受けるほど強くなるよ」のまま。ビジュアルと名前は(何故か)変わったものの、魔法まで変わったりはしていませんでした。攻撃を受けると鎧が修復されるという魔法の仕組みも変化はなさそうです。

 対するドリル・ドリィの魔法は、「魔法のドリルでどこまでも掘り進めるよ」。この魔法については、裏山線でのラッピー視点にて

 

 ドリル・ドリィの使う魔法のドリルは破壊を完遂するまで穿孔を続ける。相手が耐えれば耐えるほど回転数は上昇、ドリルは頑丈に、固くなり、その上限は無い。 *2 

 

 という説明がなされています。強化の上限がない!? ジェノサイ子のスーツあたりとぶつかったら地球がヤバくならないだろうか。

 ただ、攻撃を受ければ受けるほど強くなるはずのアーリィも物量に押し負けると強くなりきれなかったりしてるので、あくまでもカタログスペックとしての「上限なし」なのかもしれません。いやほんとに上限なしで宇宙規模まで全部ブチ抜くのかもしれませんが……。

 

 この2人の固有魔法は上記の2つなのですが……アーリィ&ドリィは、黒の最終盤にて、この魔法とは関係のない一つの強大な魔法を発動させました。

 

「ごめんなさい! 私もよく知らないんです!」

 ラッピーの問いに返事をし、魔法少女は三又槍を振り上げた。

「行くよ! 準備して!」

 ドリィが「マジデヤルノカ」と叫んだ。なにをやるというのだろう。アーリィが返事をしたが、なにをいっているのかわからない。

 ドリィはドリルを振り上げ、アーリィは右の拳を振り上げた。ラッピーとテティはアーリィの左腕で抱き寄せられた。なんだかよくわからないが、とにかく離れないほうがいいらしいということはわかった。

 三人の魔法少女は一斉に武器と拳を振り下ろした。三又槍の魔法少女が叫んだ。

「アルティメットプリンセスエクスプロージョン!」 *3 

 

 

 アルティメットプリンセスエクスプロージョン!!!!!

 うう……。未だに自分の中でこのシーンを読んだ時の感情をうまく説明できないんですが、このシーンは……今読んでも鼻がつんとします。熱い。

 なんででしょうね。JOKERSにてデリュージを除く3人のプリンセスが殺されてしまったことにより、実質UPEは失われた魔法だと思っていたのが2巻越しの「黒」で復活した喜びと、UPEが復活するならデリュージ&ライトニングの共闘だろうかと想像していたのが鮮やかに裏切られた驚きと、UPEによるホワイトアウトで場が決着する格好良さと、トランプシリーズではとにかく色々なものに翻弄されるばかりだったデリュージが、このUPEを導き、追い詰められていたテティ達を救った感慨と……。色々な感情が一杯になってもう最高でした。

 「黒」の名シーンを幾つか挙げろと言われれば、アルティメットプリンセスエクスプロージョンはまず間違いなく入ってくると思います。それくらい、自分にとっては胸に残るシーンでした。

 

 純正プリンセス生き残りのデリュージと、デリュージに強奪された新型人造魔法少女たるアーリィと、新顔のドリィという出自の異なる三者が集ってのUPEというのも、自分の感じた熱さに繋がっていた……かもしれません。そう考えるとやっぱりライトニングともUPE撃ってみてほしい。

 もしブレンダとキャサリン連れてきて5人でUPE発動してたら裏山消し飛んでたでしょうか。今回はデリュージが乱入した上でのUPEでしたが、やろうと思えば2年F組内でもライトニング&ドリィ&アーリィでUPE撃てるのかな。撃つ機会や必要性はちょっとよくわかりませんが……。

 

 

 さて好きなセリフ。アーリィ&ドリィのプリズンブレイク」「シーズンツー」 *4 が意味わかんなくて好き。なんか謎なところで息が合っている。プリズンブレイクS1で止まってるのでこの機会にシーズンツーまで観ようかな……。

 

 好きなちょっとした描写。これはアーリィ&ドリィの描写ではないんですが、新型人造魔法少女回とすることにして、ブレンダ&キャサリンの、「そんなに固くならなくてもいいから」~「もう少しちゃんとしていてくれた方がいいかな」 *5 のシーンが大好きです。胡座のブレンダと大砲枕で横になるキャサリン。かわいい。

 

 以上。第三回まいにち魔法少女もなんだかんだ明日で最後の魔法少女です。また明日。

 

 

*1:遠藤浅蜊;マルイノ.魔法少女育成計画「黒(ブラック)」(このライトノベルがすごい!文庫)(Kindleの位置No.263-265).宝島社.Kindle版.

*2:同(Kindleの位置No.3516-3518).

*3:同(Kindleの位置No.3539-3546).

*4:同(Kindleの位置No.387).

*5:同(Kindleの位置No.843-847).