すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

朗読劇という圧倒的物語体験 「森の音楽家クラムベリー外伝 魔法少女育成計画 unripe duet」感想(その1)

 感想エントリを書くのも随分久しぶりという感じがする。

 朗読劇で貰った大きな前向き生きるエネルギーがアツアツなうちに感想を言語化しておこう!というわけで、纏まっていない感想をどうにかこうにか形にしていこうと思います。
 大変読みにくい文章になりそうですがアツアツ故ということでご了承ください! 以下感想。

 

 

 「朗読劇」そのものへの所感

 

 自分は朗読劇の鑑賞自体が今回初体験だったのですが、そういう朗読劇ビギナーにとって非常に魔法少女育成計画の世界に没入しやすい構成だったなあと改めて思います。

 開演直前、ひらひらと舞い落ちてくる赤い薔薇の花弁に目を奪われ。「夢と魔法の世界へようこそ」という、魔法少女育成計画シリーズの第一声ともいえる見知った言葉を紡ぐ語り手としてのクラムベリー(演者:緒方恵美/以下敬称略)の声に聞き惚れて。アニメを思い出すような背景映像、劇伴BGM、それらに導かれて、遠藤浅蜊節」を確かに感じさせる台詞やナレーションにぐいぐいと引き込まれていく。

 

 絶え間なく登場しては去っていくアンサンブルのみなさんは、ある時は運命を変える一枚のチラシとして、またある時はクラスメイトの一人として、時にはクラムベリーやミーヤとして、ある時にはちょっと魔梨華に気を取られるかわいい魔王の翼や(あれ本当にかわいかったですね…)、ゆらゆらと怪しく揺れるテルミ・ドールの尻尾まで、ありとあらゆるものを表現されていて、それがまた朗読劇の世界へより深く入り込む確かな手助けとなっていました。

 自分は4公演全て現地で見たのですが、生物非生物、モブからメインキャラクターと目まぐるしく移り変わるアンサンブルの皆さんの演技と、朗読されている演者の方の目線や表情、身振り、両方の「音声ではない部分」の演技付けをたっぷり楽しめて、本当に4度見ても飽きない素晴らしい舞台でした。というかむしろ目が足りなかった!どっちも見たいんですよ!

 やっぱり朗読されている演者さんの引力に惹きつけられて、食い入るように一挙一動を見てしまう、のはあるのだけど、それに寄り添うようなアンサンブルの方々の演技に目を奪われる瞬間が確かにあった。そのエネルギーが爆発したのは間違いなく山での殺し合いのシーンでしたが……そちらについては(長くなるので)また後で。

 

 

 いや本当に、あまりにも贅沢な朗読劇だった……。自明な事実すぎて後回しになってしまいましたが演者の声優さんの朗読が良すぎる。遠藤浅蜊先生の文章を、目で読む以上に美味しく味わわせてもらってしまった。

 今でもクラムベリーの悲痛な叫びと虚しいモノローグをありありと思い出せる。一瞥や一呼吸だけで人の目を惹き付ける引力の持ち主だった。ファヴ(演者:かないみか)との掛け合いは思ったよりファヴが苦労してそうで面白かった。

 テルミ・ドール(演者:井上喜久子)の長語りに息を飲んで耳を澄ませた瞬間は、魔法少女の戦闘が大詰めとなる気配を感じ、自分が制御できない速度で読み進めていこうとしてしまう、魔法少女育成計画」で何度も繰り返された読書体験そのものだった。

 ミーヤ・オクターブ(演者:東山奈央)の溌剌としていて、それでいて無邪気一色ではない演技、それが一切の「切れ目」なく繰り広げられるのは最早畏敬の領域だった。

 「動け」と何度も叫ぶペチカ(演者:井上ほの花)は、restartの物語力が合わさってとんでもなく胸を揺らしてきた。4公演中4回クラムベリーの手で壮絶に殺されるカプ・チーノ(演者:沼倉愛美/後藤沙緒里)の悲鳴は、4回とも違う声で、そして彼女は4回とも決死の覚悟でクラムベリーに立ち向かっていた。

 ポップなBGMと共に登場するマジカルデイジー(演者:松田颯水/松田利冴)は、アニメ化魔法少女の眩しさを、マジクールさを文字として認識していた以上にダイレクトに理解させてくれた。

 袋井魔梨華(演者:宮村優子/小清水亜美)は、彼女が咲かせる花がヒマワリから冬虫夏草まで多様に表情を変えるように、公演によって快活かと思ったら毒っ気があったりもして、でも何度見ても楽しそうだった。あのタンポポ急襲魔梨華が見れる日が来ると思ってなくて初見時声出そうになった。

 うごめく羽を従える凛とした佇まいの魔王パム(演者:茅原実里)の立ち姿、そしてその演技には、死角から「納得」にぶん殴られるような衝撃があった。

 

 こんなに贅沢な声優陣で……自分が一番好きな作家の書き下ろしストーリーを……観れちゃって……いいんですか!? しかも座席と舞台が本当に近くて、最前席だと演者さんのマイクを通さない声が聞こえてくるくらい……近かった!

 すぐそばで見るミーヤ・オクターブのふくれっ面かわいすぎた。よく膨れていた。かわいい。きゅっと眉を上げるテルミ・ドールの飄々とした表情もよかった。

 

 

 うーん本当によかったな……。まだ余韻に頭頂部まで浸っているので配信の方を見ていないのですが、少しずつ落ち着いてきたら配信見てガッツリ腰を据えて見直したいな。事情で朗読劇を観れなかった魔法少女育成計画ファンの方がもしいらっしゃったら配信で観ることを強く推奨します。なんと2/12までアーカイブで観れます。すごい!!

www.openrec.tv

 

 ここまで書いてまだ全然朗読劇の内容自体に触れていないことに気付いて慄きました。でもそれだけ「朗読劇」という形そのものに感動したんです……。

 前夜祭に登壇された演者の方がちょこちょこ「演じること」のお話をされていたのが印象的で、それもあって尚更、薔薇に埋もれるようなステージに、魔梨華の技名まで書いてくれる背景美術に、魔法少女のコスチュームの要素をうまく落とし込んだ衣装に、世界の解像度をより高めてくれるライティングやBGMに、そして何より演者さんたちの演技一つ一つに、「舞台を作る」という途方もない偉業への敬意に打たれてしまった。

 

 魔法少女育成計画がそういう素晴らしい舞台として演じられるのは魔法少女育成計画ファンにとってこの上ない体験だったなと。アツアツの頭でそう感じています。

 いや……良かった。本当に良かった。舞台を作り上げて下さった全ての方にありがとうございましたという思いでいっぱいです。マルイノ先生の新規魔法少女キャラデザとかクラムベリー外伝の内容に関する話とか、そのあたりのどう考えても尽きない話は一旦次回にするとして、まずは「森の音楽家クラムベリー外伝 魔法少女育成計画 unripe duet」という朗読劇への感謝で締めたいと思います。

 かつて文字として惹かれた世界を、こうして新しい媒体で楽しめること、とんでもなく面白いです。額にもう一つの感覚器官が生まれたような気持ち。うーん楽しかった……。

 

 案の定あまりうまく纏まりませんでしたがとりあえず今回はここまで!

 次回以降は物語自体の感想を書いていきたいですが、キャラクターごとに感想を書いていくのがやっぱりやりやすいのでそういう感じで行こうかな。ではまた次回。