さて本日のまいにち魔法少女です。今日のナンバーは38。レイン・ポゥです。
釈明したいですが本当に乱数一発です。しかしまあ乱数ナンバーのなかでも流石にこれほどに運命的な引き合わせはラズベルとレインポスともうちょっといたかな……いないかな……程度だったかと思います。ふたりぐみ魔法少女がワラワラいるまほいくなのでまあ数組連続するのもおかしくないかなって……
レインポスは二日間続くと非常におなかが痛くなります。がんばります。
ラズベルはギリ我慢できましたがレインポスはほぼレインポスについてしか喋っていません。趣旨に反してます。レイン・ポゥのほうがまだマシかな……
レイン・ポゥ。登場話は「魔法少女育成計画limited」。中学生魔法少女に紛れた殺し屋魔法少女です。トコによって二年前発見し育て上げられた、人事部門子飼いの「魔法少女になったことさえ秘匿されている」裏魔法少女中の裏魔法少女。
プフレが人事部門の長になったことをきっかけに厄介払いと口封じの対象となり日々命を狙われてるデンジャラスガールです。
さてレイン・ポゥについてはいっぱい言いたいことがありますがまず伝えたいのはレイン・ポゥはとても可哀想な子だということです。このイメージはどうしようもなく自分のなかに付き纏っています。
出自から酷い。レイン・ポゥの人間体、三香織は、物心ついたときには両親はおらず、ただ一人の肉親の(そう言えるのかそれさえもよくわからない)姉によって陰湿で粘着質で絶え間ない虐待を受けながら、その地獄から逃れられない日々を送っていました。
その間に身に着けた「自分の中身を隠して誰にも知られないように」する能力は魔法少女となってからも十分に発揮されています。あの天下に名を馳せる魔王パムを前にしてさえ、自分を隠匿してただの中学生魔法少女に偽装して見せたその能力はすさまじいものです。
レイン・ポゥにとっての魔王パムが一種かつての姉のような、圧倒的な強者、逆らえない強者であったからこそ、レイン・ポゥはより上手に自分を隠すことができたのかもしれません。
さてそういう生活を経てトコに魔法少女にしてもらい、レイン・ポゥは虐待に怯える日々から解放されます。よかった。
トコの仕事に何度か付き合って気がついた。笑っていたり、軽口を叩き合ったり、そんなことを自然にしている。これはひょっとして「楽しい」ことなんじゃないか。
トコは誰に対しても嘘を吐く。唯一の例外は香織のレイン・ポゥだった。
描写が悲しい。香織はトコに見出されるまでの11年間、「楽しい」を知らずに生きてきたということで。
レイン・ポゥが知らなかったのは「楽しい」だけではありません。彼女は両親から、家族から与えられてしかるべき愛情の一切をもらえずに成長してきました。愛されない子供でした。
トコに拾われて、トコと「楽しい」を共有して、ではレイン・ポゥはトコと愛し愛される関係にあったのでしょうか(語弊のある表現)。つまり何が言いたいかというと、レイン・ポゥが求めた愛の分だけ、トコはレイン・ポゥを愛していたのかどうか、ということです。
またも引用なんですが。トコから見たレイン・ポゥとは、
トコの育てた魔法少女はそういう魔法少女だ。裏切り、騙し、誰も信用しない。トコはレイン・ポゥを信用しているが、レイン・ポゥがトコを信用しているかさえわからない。
であることをふまえて、レイン・ポゥ視点で、プキンによって人質とされたトコとのやりとりを引っ張ると、
「やめて!変なことしないで!まだ死にたくない!プキンのいうことに従って!」
「やだよそんなの。トコもそこはほら『わたしに構わず敵を討て』くらいは言おうよ」
トコを見捨てる気などない。トコもそれはわかっていて合わせてくれている。
うああ。トコは「レイン・ポゥがトコを見捨てる気などないこと」はわかってないんだよ……。レイン・ポゥのトコへの気持ちはトコに伝わりきってないんですよ。トコはレイン・ポゥが自分を信用していない可能性もあると考えてる横で、レイン・ポゥはトコと気持ちが完全に通じ合ってるものと思ってるんですよ。可哀想だ。
酷い。トコの理想の魔法少女にまだ足りないんだ、ならそこを詰めなくては、と考えているレイン・ポゥは、トコの理想に近づけば近づくほどトコにとっては「誰も信用しない魔法少女」になっていくわけで、どうしようもないです。
でどうしようもなくどうしようもないトコとレイン・ポゥについては終わりまして、続いてポスタリィとレイン・ポゥについて。こっちはポスタリィの回でわんさか喋れたので尺がきついですがどうにかなりそうです。
レイン・ポゥがなぜかどうしても魔王を殺す前段階で殺せなかった魔法少女、ポスタリィ。殺せなかったというのは殺したくなかったと同義で、つまりレイン・ポゥこと三香織は、ポスタリィこと酒己達子になにかしらの友情や愛情を感じていたということです。まず間違いなくとくべつです。
そしてポスタリィにとってはレイン・ポゥは何にも代えがたい、人を殺したとしても縋りたい友情の相手だったわけで。
ポスタリィ自体が少しばけものめいているところがあるので、彼女がレイン・ポゥに向けていた気持ちがレイン・ポゥの求めていたものと完全に一致しているかどうかは定かではないんですが、何はともあれ、両想いなんですよ(語弊のある表現)。
レインポスは間違いなく両想いです。
両想いというか、両想いになる予定だったというか、両片思いのままで悲惨な死を迎えたというか。
「自分を隠す」ことを生きるための技としてきた香織と、「人を見て、観察して、隠れ潜む」ことを生きるための技としてきた達子とは付き合うのにもっとずっと時間が必要だったんだと思います。知り合うことにさえ膨大な時間がかかった二人なので、どうしたってlimitedには間に合わなかったのではないかなあ。二人とも友達自体が初心者なのも。
レインポスは未来にこそすべての希望がのっかかっていた分、「――だがもうなにもかも終わったことだ。」という洗脳レイン・ポゥの独白が染みるわけです。
ドラマCDレインポスに夢を見ていこう。ドリームランドだけに。逃避行するふたりぐみ魔法少女の想像をするとして一番楽しいのはまず間違いなくレインポスです。
さて好きなイラストについて。limited前編冒頭の、ポスタリィと見つめ合ってあわわってしてるレイン・ポゥが好きです。初読時はその絵の人数を数えて一人多いぞ!?!?って動揺してました。まさかカメが魔法少女になってるとは。
好きなセリフ。独白ではぶち抜きで「だがもうなにもかも終わったことだ」なんですが、それは置いておくとして、
「殺す。そんだけ。手早く済ませて、今逃げてったヤツも殺す」でしょうか。いい。職業感が出ていて。自分の中でレイン・ポゥは年若いこともあってベテラン魔法少女カテゴリにはあまりあてはまらない(中学生魔法少女カテゴリでの占有率が高い)のですが、こういう仕事できる感があるセリフも非常に好きです。もうちょっとポスタリィとの関係性が長期間のものだったらなあ(まだいう)
フレデリカの強い魔法少女論にいまのところ一番バッチリあてはまるのはレイン・ポゥかな。鬱屈した家庭環境。
さて以上です。レインポスはぐちゃぐちゃです。明日からまた頑張ります。