すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女80日目:リップル(ACES)

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは80。最後から2番目とのことでリップル(ACES)でした。奇しくも80日目に80番目の魔法少女ですね。これは初めてかな。

 長らく続いたリップルシリーズもこれで最後の一人。そしてACES魔法少女も最後の一人です。がんばります。

 

 

 リップル。登場話は「魔法少女育成計画ACES」。JOKERS時に引き続きフレデリカの持つプキン剣の洗脳下にあります。ACESリップルはびっくりするほど出番が少ない。なのにやることはやってるのが恐ろしい。

 フレデリカの好きなように動かされて、最終的にものすごいタイミングで放り出されてと、まほいく界でもトップクラスに可哀相な目にあっているリップルさんです。しかしまあそんな状態でも活躍するのが彼女の凄いところです。

 相変わらずホーミング手裏剣はコンスタントに強いですね。コスチューム付属の固有アイテムとして武器が無尽蔵に呼び出せるということ、そしてその武器(に問わず、投げたものすべて)がホーミングという域を越えた追尾能力を持つことは単純に強い。ACESのリップルはそのコスチューム付属のクナイやら手裏剣やらでもって、驚きのダブルキルを成し遂げました。

 

 1人目は物知りみっちゃんです。

 物知りみっちゃんの回に書いたので簡単に書くだけに留めますが……リップルVSみっちゃん戦はACESの戦闘のなかでは比較的大規模なものでしょうか。人死にが出ますし。悪魔程度なら相手にもしないリップル、やっぱり強いなあ。フレデリカといっしょに居る間に更に戦闘技術を磨かれたりしたんでしょうか。

 遠距離から手裏剣を投げるリップルに対処可能な魔法少女はそう多くは居ないように思われるのですが(遠距離攻撃手段を持つレイン・ポゥでさえ手数で押し込まれかける程度には強い)、物知りみっちゃんもベテラン魔法少女なので一筋縄ではいかず。戦闘開始時50メートルあった2人の距離は、上に下にと駆けめぐる戦いのうちに至近距離にまで縮められていてしまいました。いやーどちらも強い。

 

 しかしリップルは近距離戦においてさえもそこらの魔法少女にはひけを取らないのが凄まじいところです。下駄を投げる。含み針を放つ。何でもアリだ。つくづくリップルは武器に恵まれてますね……。

 そんなこんなのやり合いを経て、重機関銃をさっくり処理したリップルが上方に投擲した刀によりみっちゃんを下し、戦闘は終了です。「魔王塾主催地獄サバイバル」において、魔法少女にとっての「5秒」がいかに長いか、という文章がありましたが、投げた刀が落下するまでの短い間に何度も魔法を発動させ剣を交える高速戦闘っぷりはその言葉を思い出させるものがありました。

 

 

 そして、リップルが殺した(死亡確定ではないので、殺そうとした、が正確でしょうか)もう1人の魔法少女はプレミアム幸子です。

 ACESリップルといえばやはりもうどうしようもなく、最終盤も最終盤において、プレミアム幸子の喉をかっ開いた場面が印象的ですね……。物知りみっちゃんとの戦いも非常に見応えのあるものだったのに、それを上回って印象的です。当たり前か。

 

 この場面は今読んでも複雑な気持ちになります。リップルが(洗脳されていたとはいえ)罪のない魔法少女を殺してしまったということは恐怖でしかありません。

 スノーホワイト魔法少女狩りであるということ。そしてリップルがそんな彼女のフォローをしてあげたくて頑張って、その末がこんな顛末であるということ。リップルが手に掛けたのがプク派の大事な三人娘の一人、プレミアム幸子であったこと。全てが最悪です。

 

 しかし……しかし。こんな状況で喜ぶのもなんだという話ですが、長らくの間洗脳されしきりだったリップルがついに自我を取り戻したと言うこと、それが自分には非常に嬉しかったんですよね……。

 おかえりなさいという感じ。自我を取り戻したリップルが見られるのは実にACESにて3ページ(!)という有様なのですが、そのごく僅かなページ数を読む限りでも、ああ、うわあ、リップルだ!!という気持ちにさせてくれて、それがこの上なく嬉しかったんです。

 

「なんで……なんで、こんな……」
うるるが奇声を上げて銃を振りかぶり、リップルを殴りつけた。
リップルは殴られるままに顔面で銃尻を受け、転がり、うるるはさらに一撃入れようと踏み込み、スノーホワイトリップルとうるるの間に立ちはだかった。
「邪魔をするな!」
うるるが叫び、スノーホワイトを殴りつけ、スノーホワイトはうるるの銃が振り下ろされる前に止め、リップルを振り返った。
リップル!」
驚きに歪んだリップルの表情は悲しみに転じ、怒りに変化し、後ろを向いた。
リップル!」
返事はない。リップルが駆け出していく。心の声だけがとどく。リップルのしたことが、リップルのさせられたことが、スノーホワイトの中に流れこんでくる。リップルの心が叫んだ。もうスノーホワイトといっしょに居ることはできない、と。


 ここが……ここは、本当に。リップルの自我が再度見られ、悲しくもありながら同時に嬉しくもある、そんな絶妙な場面です。驚き、悲しみ、そして最後には怒りに行きついてしまうリップルには揺るぎないものを感じました。やはり自分はリップルに怒っていてほしいのかもしれない。罪深い。

 limitedから、もう少し言えば「スノーホワイト育成計画」から煮詰められてきたスノーホワイトリップルの関係性の爆発が、この一連のシーンには詰められています。

 

 

 あぁ……リップルはどうなってしまうんだろう。スノーホワイトリップルの対決は見たくないなぁ……。いやどちらもそれは望むところにないでしょうが。

 しかし心を読むスノーホワイトに対して、戦闘においてうまく優位に立てる魔法持ちと言えばまずリップルなんですよね。心を読んだところでどうしようもないホーミング魔法はスノーホワイトの最も苦手とするものなのではないでしょうか。

 

 リップルが洗脳から解放されたので、この2人の対戦カードはほぼ存在しなくなったと見てもいいかなあ。ACES読了まで、自分はスノーホワイトVS洗脳リップルという戦いについてものすごく怯えていました。

だって『魔法忍者リップルMezzoforte』の次回予告が次回予告だったり、ACESのゲーマーズ特典ポストカードのイラストがスノーホワイトVSリップル風味だったり、いざ怯えながら購入したACESの第五章の章題が「サヨナラマイフレンド」だったりしたものですから……。全力で釣られました。

 

 

 リップルはあの後、どこへ行ったんでしょうかね。

 プク派からは完全に追われる身でしょうし、うるるは絶対にリップルを許さないでしょうし、フレデリカさんからは唐突に放り出された挙げ句にリップルの心の声を聞いたスノーホワイトがどう思っているか、自分が操られてフレデリカのやりたいように動かされてきたリップルが我に返った時なにをするのか、想像するだけでも楽しくなってくる」とかいう非常に趣味の悪いお言葉を頂いていますし。スノーホワイトはどう動くんだろう……。

 

 ACES後のリップルは一人でふらふらとどこかを彷徨っているのだろうか。うるるよりもプクよりも、誰よりもリップルを許さないのはリップル自身であるという気がします。しかし何とかして生きる方向で決着してほしい。リップルは許されてほしい……。

 

 

 さて好きなセリフ。バリバリ洗脳中の「ごめんね、スノーホワイト。どうしても……」が好きです。「どうしても」何だったんだろう。このときのリップルの視点も見てみたかったですが野暮ですね。

 

 好きなイラスト。いやこれは。ACESラストの挿絵、プレミアム幸子をアレしているリップルの挿絵が好きです……。あの表情。しぶく血。ACESのなかで一番好きな挿絵です。ACESはどうしようもなく好きな挿絵が多すぎて困ります。あの薄ぼんやりとした微笑みがよい……とてもよい。いやよくないんですが。困る。

 

 

 以上です。明日は最後の一人です!最後!頑張ります!