すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

アニメ6話感想

 

6話感想!

魔法少女の脱落人数的にも、話数的にも折り返しって感じの6話です。うん?

 

 

アバン

 

あー安藤真琴!安藤真琴だー!安藤真琴の存在をすっかり諦めていたので狂喜乱舞でした。

改めて今更のことなんですけど、アニメは短編の内容を小さく裁断して色々な場所で織り交ぜるようにしているんですね。アニメが始まる以前、「短編の内容を混ぜつつ無印で一クール」という旨の監督のコメントを見て、短編が混ざるとちょっとダレるんじゃないかなぁなんて考えていたのはとても浅はかです。

 

6話はまほいく初読時を思い出すような急転直下ぶりだったような気がします。見せるところに時間を割きつつ、展開が動くところは急激に。観ていて楽しいです。

 

 

というわけで安藤真琴。着ているTシャツがモンエナっぽい。生きている彼女が描写されてくれて本当にうれしかった。

マジカロイドと安藤真琴の声、ひたすらしっくりくるのでビビります。もしかしたら一番耳に気持ちよかった声の人だったような気さえするので(個人の感想です)、彼女にはもっともっとお喋りしてほしかったです。しかし多くは望むまい。

「私、やりたくないことは絶対やりたくないしさ」というセリフがあっただけでただただ満足です。マジカロイドの、安藤真琴の一番好きな描写だったので。契約描写があったのも嬉しい。嬉しいづくめですがBパート。

 

Aパート

 

ラ・ピュセルVS森の音楽家クラムベリーだー!

原作では「後は察してください」と言わんばかりに美しいまま描写の無かった対決が、アニメ世界ではがっつり見られました。圧巻だったー。

これと同様の出来事が原作でも起きていた――と考えることは自分は(そう言い切られるまでは)ないんですけど、ともあれアニメ世界の二人はこんな風に戦いましたということで。

 

いやあ。すごかった。何がすごかったかといえばラ・ピュセルの感情です。いやバトルシーンの絵面も本当にすごかったんですが。空中での殴り合い、首締め、膝蹴りで吐血、恐らくは額あたりからの大量出血。綺麗なものが血まみれになったりぼろぼろになったりするのが魔法少女育成計画の見所の一つとはいえひどい。そりゃあラ・ピュセルも颯太精神状態になって「僕は……僕はこんなことがしたくて魔法少女になったんじゃない」って言います。当たり前だよ。あのシーンは本当に胸が苦しかった……。

 

 

しかし。森の音楽家クラムベリーという暴力の化身、これまで自分が憧れてきた「魔法少女」像を木っ端微塵に打ち砕くような存在に対して怯え、震え、打ちのめされ。それでも!ラ・ピュセルはもう一度剣を取ります。

それは自分自身の掲げる「魔法少女」像を守るため。

ラ・ピュセルにとっての「魔法少女」とは高潔な女騎士、スノーホワイトを守ると誓ったナイトです。自分の「魔法少女」を通すことが、そのままスノーホワイトを守ることに通じます。だからここのラ・ピュセルは、スノーホワイトを守るということに心を向けていたというよりは、自分の魔法少女像を通そうとしてもう一度立ち上がったんじゃないかなぁと、そう考えます。どちらが先でも結果的には一緒なんですけれど、そちらのほうがテーマとしての感覚が通りやすいかなあと(とてもふわふわした表現)

 

誰かの「魔法少女」は他の誰かの「魔法少女」と対立します。森の音楽家にとっては、自分やそれに準じる強者の存在こそが「魔法少女」。しかしそれはラ・ピュセルには到底受け入れられない価値観です。

 

名深市で誰よりも正しい魔法少女の身を、心を傷つけさせないためにも、彼女の騎士であるところのラ・ピュセルは圧倒的脅威である音楽家を否定するために立ち向かうのです。自分の、自分たちの「魔法少女」を守るために。(ここでスノラピュキャラソンの「今でもこっそり夢見てる」のデュオフレーズが過ぎりとてもつらい)

 

ああ良い。きっとこの時のラ・ピュセルは、色々な回想も加わって(本当に色々な回想)、「魔法少女は想いが全て」モードだったんじゃないかなあというのは勝手な想像なのですが。しかし自分の命が確実に危ういことを理解していながら、それでもダメージを負ったラ・ピュセルが音楽家に一撃与えられたというのは、覚醒による身体能力上昇を加味したほうが考えやすいかなと思う。

 

 

さて森の音楽家クラムベリーが一太刀入れられたところで、各魔法少女の戦闘能力についてまじめに考えます。

ダメージを受けたり与えたりする描写から、アニメでは森の音楽家クラムベリー>覚醒ラ・ピュセル>シスターナナバフ付きウィンタープリズン>バフ無しウィンタープリズン>通常ラ・ピュセル……であるような印象を受けました。

 

こう並べてみるとシスターナナバフ付き覚醒ウィンタープリズン(とても長い)は覚醒ラ・ピュセルよりも強いのかもしれません。しかしウィンタープリズンが覚醒するのはきっとナナが害された時で、ナナが害されるとシスターナナバフが解除されてしまうのでウィンタープリズンの最強のポテンシャルが発揮される場の作成は難しいような。あれこれ思い悩むクラムベリーさんの気持ちがわかったような気がします。悩んでるうちに取り逃がしちゃうんですけど。

 

 

しかし……しかし。このクラムベリーさん、どうにもぽんこつ臭がするような。感情の起伏が激しめであるよねという表現に留めますが、うん、ラ・ピュセルの感情を刺激して「魔法少女は想いが全て」の覚醒モードに移行させる(好意的な推定)のが意図したものではなかった風なところがこうまあ。何度も殺し合い試験を繰り返してきたクラムベリーさんはきっと死にぎわに誰かを想って格段に能力が上昇する魔法少女がいるということを認知していたんじゃないかなぁと思うんですけど、もしそれを知っていたとしたら決意を新たにしたラ・ピュセルに決死の一太刀を貰ってしまうというのは些か享楽的で判断が覚束ないという固有の性質を差っ引いてもまだ自殺的というかばかであるような気がします。あの一撃は(耐えられると判断して)受けたものだと考えると心境的に納得ですがそれだとあの驚愕の表情が腑に落ちにくい……けどこれは如何様にでも取れるので別に。もし覚醒ラ・ピュセルに本気で翻弄されて一撃貰っちゃったとする場合は音楽家さんかなりお粗末だー!と笑いますが、まあワンチャン即死魔法にぶちかまされて死ぬ予定の人なのでそんな感じでもおかしくないですし。うーん。そっちのほうは普通に推定を重ねてる話なのでどうということもないんですけれどぽんこつの気配はもう一つあって。「あるいは罠かと思いましたが」と言いながらラ・ピュセルについていくクラムベリーは「そんな罠あったとしても自分には効かない、全部ぶっ壊してやる」的精神を感じて非常に好ましいのですが、そんなことを言ってしまったばかりに「剣を投げる」という古典的……古典的と言うにもアレな、(そして本気の戦闘の経験が少ないラ・ピュセルの考えたものである)視線誘導、すなわち罠に見事にひっかかって正面からの組み付きを受け(このシーンやっぱり面白すぎる)一撃ブシャッと食らってしまうというのは、ああ、ぽんこつ。いやばか!そんなぽんこつなクラムベリーさんも好きですけどそれにしてもばか!楽しそうでかわいいですけど!戦闘に飢えてる音楽家のだらしない笑顔……。「あなたにはげんめつしましたしんでください」のはーこのクソ迷惑女なぁ!!感を大事にしたい。

 

留められませんでした。しかしまあまだ伏せられた内容も多いことですし、のんびり見守っていくつもりですクラムベリーさん周辺。

「強者を目指し、強者を求めて二人が全力を尽くして戦う……王道ですね」に続いての「王道には続きがありましたね。戦いの末、強者が強者を知り、お互いに認め合う」……というセリフはいい感じに子供っぽくて好き。

 

ラ・ピュセルが、岸辺颯太が交通事故死(本気で交通事故だった。かなしいぽんつらいぽん)して――スノーホワイトは一人ぼっちになります。殺人者とふたりきりのチャットルームは怖い。というわけでAパートおわり。数話前から覚悟はしていたものの岸辺颯太のお葬式での笑顔の写真は本当に厳しい。

 

Bパート

 

音楽家さん、ラ・ピュセルを気絶させて人間体に戻してから街頭に投げ出したんだろうか。魔法少女と人間体の間の傷の残存については未だ謎な要素が多いです。致命傷にならない傷は魔法少女状態から引き継がれない設定なのかもしれない、ので、ラ・ピュセル状態ではもっと酷い状態だったのかもしれません。

 

それでも、事件の不穏性が話題になることを避けようとした音楽家がラ・ピュセルをその手で殺すまではしなかったのは事実で。このあたりがクラムベリーさんがわりと不満そうなことに繋がってくるのかもしれませんね。音楽家さんもなんだかんだで最終的には加減してたのかもしれない。わりと整った部屋でくつろぐアニメクラムベリーさんはQoLが無駄に高い。ピアノ弾くのかなぁ。

 

語尾のとれたファヴ、声のトーンが低くなったところでしかし可愛らしいのでずるい。多分アニメ初見者的にはかわいいも何もないと思うんですけどやっぱりかわいい。困る。

 

 

というわけでお葬式を終えたスノーホワイトは本当に疲弊しています。当然だ。疲弊しているといっても、

 魔法の端末から聞こえてきているはずのBGMは掻き消えていた。自宅でも学校でも葬儀の場でもこらえ続けていたスノーホワイトの慟哭と、吹き荒ぶ風が掻き消していた。身をよじり、吠え、泣き喚き、鉄塔を殴りつけた。

という原作でもかなり高濃度に好きな地の文描写はシーンごと落ちています。残念だ。いや残念……素直にすごく見たかったシーンだけに。

 

しかしよく考えるとこのシーンが落ちるのは自然なことで。アニメのスノーホワイトは、原作存在よりも魔法少女への理想と信頼が大きく描写されています。

原作ではラ・ピュセルが脱落したことを即座に「他の魔法少女に殺された」のだと理解して吠えたスノーホワイトですが、アニメでは鉄塔段階ではまだそれに気付く様子はありません。薄々理解はしているものの、考えないようにしている……というのが適当かな。彼女の抱く魔法少女像にまた深いヒビが。

 

 

ラ・ピュセルが脱落したことよりも、魔法少女が人を殺したかもしれないという疑惑よりも。アイテムを買うか買わないか思い悩むスノーホワイトの心にあるのは「死にたくない」という気持ちでした。当然だ。この辺はねむりんが脱落した近辺の原作スノーホワイトを思わせます。彼女もまた等身大の女子中学生ですから。

 

しかしアイテムは既にスイムチームとメアリともう一人により買い占められていました。ここで踏み切れるの、「現実世界に失うものがない」ことの強い所作ですよね。スイムもメアリも三人とも。

双子のじゃんけんについて、原作では負けるのはユナでしたがアニメはミナになっています。この変化が後々影響してきたらびっくりですけどさすがに。

 

 

スイムチームが伝説の武器こと「ルーラ」を手にしたり、完全にカラミティ・メアリ陣営についたマジカロイドが一人殺しに行くシーンは物騒です。非常に物騒。だからこそ「いつも通り」に人助けをしてマジカルキャンディを稼ぐことで生き残ろうとするトップスピード&リップルの存在が大きく目立ちます。

 

ここの「相対的に見せる」やり方すごくいいなぁ。何故このふたりは、というかトップスピード殺し合いの機運に大きく焦ったりしないのか。それは彼女の魔法が多大に関係しています。

 

「もしそうなってもさ、お前連れて、空にピューッと逃げちゃえばいいんだよ」

「俺はいつでも逃げられるから魔法少女やってんだ」

 

このセリフが現在のトップスピードを象徴しています。

6話はとにかく、このセリフが、すごい。絵もあいまって非常に美しく嵌っている。この先の展開も含めて、トプリプというふたりぐみに対してここまで自然にこころを惹きつけさせるアニメ……。

ラ・ピュセルが落ち、スノーホワイトが色々な魔法少女に振り回されて精神を抉られていく横で。今一番スノーホワイトが目指す「魔法少女」をしているふたりぐみこそがリップルとトップスピード……です。しかしリップルがこの先ずっと「魔法少女」できていけるかといえばそんな筈もなく。ああこのねじれていく魔法少女達が楽しいなぁ……

 

 

スノーホワイトスノーホワイトです。彼女はここから酷い目にあい通し。

スノーホワイトが「気付く」展開が遅くなったことが影響して。ただでさえスノーホワイトにとって尋常でない負荷になる展開ことアリスがドーンしてマジカロイドがドーンして首なしアリスがドーンのスプラッタ祭りが、本当に洒落にならない具合でスノーホワイトの心を追い詰めます。

魔法少女が殺し、殺されあうような関係になること自体がまず耐え難いはずなのに、それが目の前で、自分を含めた出来事として繰り広げられる。あまりにも酷い。しかもあのアリスは……。魔法が魔法なだけに魔法少女の精神が頑強でなければ一発でトラウマ確定です。

 

 

これで生きてるアリス、つくづく意味不明で理不尽。マジカロイドも驚いたことでしょう。

 

6話は2人退場回。マジカロイド44もまた、スノーホワイトを殺そうとしたところをアリスに返り討ちにあうことで脱落したのですが……。彼女とラ・ピュセルが同話で「魔法少女になったきっかけ」を描写されつつ脱落したというのは、なんだか考えさせられてしまいます。

 

安藤真琴は恐らく、名深市の魔法少女達の中では一番「望まずに魔法少女にされた」と言える存在です。そもそもアバター自体が他人のもの。

望まずに魔法少女にされ、それでも「やりたくないこと」ではなかったからこそ魔法少女生活をほどほどに楽しみ。デスレースが始まって以降は生き残る方法を模索して、彼女にとってきっと最も「現実的で有効」な手段を選んだ果てに、結局は殺されてしまったマジカロイド44。

魔法少女に憧れ、魔法少女になり。動揺し悩みつつも「理想の魔法少女になってやる」と決意し、理想を、スノーホワイトを守るために剣を取り、殺されてしまったラ・ピュセル

 

どちらもの死がどちらもの死への印象を深めているような気がします。原作ではただただ描写が少ないと言わざるをえない立場にあるマジカロイド44の死が、ここまで自分にとって苦しいものになったのは、ラ・ピュセルと同じ話数で脱落した……という要素も大きく絡んでいると。そう思います。

 

 

このあたりで6話感想は以上。信じられないほど文字数が膨らんだので7話は反省して縮めます。本当に……。何文字…………。