すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

アニメ12話感想

12週間にわたって続いてきたアニメもこれで最後。最終話「File not found」の感想です。ちなみにアニメ「魔法少女育成計画」の各話タイトルは

という趣向で付けられているそうです。じゃあ2期はネトゲ揶揄タイトルかな。それでも私は夢見てる(二期を)。

なにもしないままぼんやり二期を夢見るのはアニメのスノーホワイトが掲げたテーマとしても不合致なので(そういう問題ではないですが)魔法少女育成計画BDは並べて揃えたいところです。

 

ところでコミケコミケです。コミケではねむりんおやすみCDなるさい睡眠音声が発売されるそうです。絶対聴きたい。遠藤先生&マルイノ先生参加ということで原作ファンも必見の記念本も読みたい。本編アニメが終わってもなんだかんだ楽しいことが続くのでやっぱりアニメはすごい。

では12話感想。アニメ媒体への名残は尽きませんがぱっぱと行きます。

 

アバン

 

小雪の脳裏に蘇るのは1話のシーン。今となっては1話で彼女が胸に抱いていた魔法少女への憧れや夢や希望はずたずたです。ところで「キュートでキッチュ、ストロングでパワフル」という表現やっぱりものすごく好き。

 

荒れ果てた部屋で一人呆然とうつ伏せる小雪が想うのは、リップルラ・ピュセル、ハードゴア・アリス……即ち小雪の思う「魔法少女」達です。彼女らはみんな選択し、決断しています。選べなかった、そしてなお選べないスノーホワイト

ファヴの話を聞くことでスノーホワイトが「選ぼうとする」のは原作と共通の流れではありますが、一度変身を解いて家に帰るまでの時間が長くあるだけにアニメ版のほうがよりスノーホワイトの弱さが際立っているように思います。

 

うーんリップルこそが魔法少女だ」「だがハードゴア・アリスを失望させるのは絶対に嫌だった」が決断的に落とされた上でここの描写が膨らむとスノーホワイトは結構厳しいなー! どちらかというと尺が無いと言うより尺を膨らませるほうに苦心していたような気がするまほいくのアニメでしたが、小雪関連については「ずるい子」としての描写にアニオリ要素として力が入っていた分、どういう意図で原作のこの要素は落としたんだろう? というところに目が行ってしまう(よくない見方)。

 

目が行ってしまうのですが、でも「中学二年生」という等身大のサイズで思い悩む姫河小雪を、アニメではより身近に感じ取りやすかったような気がします。QUEENSでとんでもないことになっていることを含めても人間的な姫河小雪的存在は楽しく重い。

 

Aパート

 

リップルVSスイムスイム戦が開始し、時を同じくしてファヴと小雪が会話しています。

リップルVSスイムスイム戦はかなり膨らんでいます。リップルがまだスタングレネードを使用することを思いついていないので、わりと探り探り戦っていく感じ。

決め手に欠けた上でスイムに戦いを挑んだということは、アニメリップルは更に死にに行く覚悟が強かったんではないでしょうか。

 

両者の魔法は結構解釈がふわふわしています。サメっぽい挙動がとてもかわいかったりスリケンミサイルするリップルがとてもかわいかったりします。スイムに奇襲をかけられないように、街灯の上で待機しているリップルの絵面非常に好き。リップルは本当にかわいくて格好いいなあ。

 

 

ここで初めて小雪は「自分たち15人の魔法少女は理不尽な試験にかけられていた」ということを知ります。

ファヴが話さなくても良いことまでぺらぺら喋っているのは、小雪の弱い精神性を見越した上でスノーホワイトをマスターに据えるつもりだったという感じ。クラムベリーとはまた違ったやり方でうまいこと使いこなして美味しい思いをする気だったのかもしれません。その教唆がスノーホワイトの背中を押す最後の一手となってしまったのは皮肉なことです。

 

12人分の死亡描写が並ぶの良い、良いなぁ……。無印がアニメになったことで、無印に居る15人の魔法少女の人間体情報が明かされました。

小説を読んだ段階だとどうしてもぼんやりとした像でしかなかった人間達が、絵になることで、「死んだ」ということを嫌でも再意識させてきます。このあたりは人間体情報が濃い無印ならではの良さですね……。

 

 

スノーホワイトをついに動かしたのは一種の怒り。魔法少女の姿にもなりたくなかった姫河小雪は、激情のままに魔法少女に変身し、魔法の端末をぶっ壊した後、二人の殺し合いを止めるために雨の中を駆け出します。ここの感情爆発とてもいい。

ここ。窓を開けるスノーホワイトの顔! この顔、とてもとても魔法少女狩りです。好きだ……。アニメを見ていたときついうっかり歓声を上げてしまいました。

アニメの絵としてもここまでスノーホワイトの顔を綺麗に切り替えられるの、二巻以降の彼女の存在をしっかり認識した上で絵になっている感じが強くて、好きです。

 

ところで「ダムのほとりで元気に戦ってるぽん」と、現在地を教えてくれるファヴは優しい。うっかり全員殺しちゃってたりしたらしいクラムベリーさんはウルトラかわいい。

 

 

リップルとスイムスイムの戦闘はわりと長期戦。どちらもが決め手に欠ける上に停戦するつもりがないので当然と言えます。

リップルがスイムにどんな手が有効なのかいろいろ試しているのがけなげでかわいい。爆発、目潰し、偶然の落雷等々。ここで雷に打たれるスイムスイムを見ることで、リップルはついにスタングレネードの有用性に気がつきます。ここから流れるBGMとても好き。BDについてきたサントラはゆっくり聴いていきたいです。

 

しかし思いついたはいいものの、殺す気になったスイムに二手を取られてリップルは左目と左腕を取られます。不覚。左腕さくっと切り取られた時の悲鳴の演技ループしてたら3分くらい経ってました。いやあアニメ化して本当良かったな(よこしまな心)

本当に痛そうな悲鳴をあげつつも、自分の腕から流れる血で目潰しをするリップルの不屈の精神は強い……。マントを利用した上でなお傷を受けて更に踏み込み、という原作のやり方もとても好きですが、これはこれとして鮮やかで好き。

 

 

というわけでアニメ視聴者からちょっとおののくほどのヘイトを一身に受けたスイムスイムさんはここで脱落です。リップルが坂凪さんを「見えていない」という描写とても良いなぁ。走馬灯的に挟まれる坂凪綾名の思想はついぞ誰にも理解されることはありませんでした。

リップルの「魔法少女」への未練が倒れる直前に伺えたのも非常に好き。アニメでは、スノーホワイトリップルの「死に際に見る幻」としても間に合いませんでした。本人も後悔する通り、無印スノーホワイトは色々な現場に間に合わない子です。この後悔が後々に繋がっていくんだなあ。というところでAパートはおわり。

 

Bパート

 

坂凪さんの死体を確認するスノーホワイト。小学生が刺殺体で発見されるの、アニメ化における最大の壁なのではないかと危惧していましたがわりかしざっくりやられてましたね。もう感覚麻痺ってますけど小学生が殺されるアニメなんですよね……(小学生が殺すアニメでもある)

 

ここ。倒れる細波さんですが、なんと左手が存在することが確認されています。いやこれを設定として原作に持ち込むつもりはあまりないのですが(でも室田さんの胎児が引き継がれていないあたり原作でも左手は無事なような気がする 隻眼隻腕高身長女子高生がいるかいないかは次巻以降見守っていきたいかなあ)アニメ範疇においてもトップスピードの「これくらいの傷なら」発言との通りが悪いような。

 

うーんつまりアニメ世界だと致死レベルの傷でなければ変身を解除すると影響はない、ということなんでしょうか。

どれくらいの傷なら「致死レベル」と認識して引き継ぎが起きるのか、たとえば同時に複数箇所に大怪我をして失血死した場合どの傷が致死性のものだったと判断されるのか、ちょっと細かく検証してみたい。不可能。

 

 

打ちひしがれるスノーホワイトに話しかけるファヴ。ここでスノーホワイトの魔法が一段階成長し、ファヴの困っている声が聞こえるようになります。いや元々聴こうと思えば聴けたのかな。そんなこんなでファヴはめでたく爆発四散。悪は滅びます。


ここ、「兎の足」の効果を曖昧にしたのはとても好きです。ファヴの失言が「幸運」だったのか、リップルがギリギリ死ななかったことが「幸運」だったのか。はたしてどちらでしょうね。幸運とか不幸とかの話をしていると何故か胃が痛くなります。勘弁してほしい。

 

 

そして後日談。実のところかなりかなり時間が経過しています。廃スーパーが取り壊し予定だというニュースが切なくて良い。確かに生きていた名深市の魔法少女達は、拠点としていた場所ごと静かに埋もれて忘れられていきます。

スミとよっちゃんが高校生になっているので(ここで別の制服になっているのはprimula farinosa要素ですね とことん全部読まれているのを感じるなあ……)少なくとも二年が経過しているわけですが、初見視聴者的にはあまりそこまでの時間経過を感じないかもしれません。もしも原作通りの時間の流れであればもうスノ育は終わっているしスノーホワイトはキークちゃんをぶちのめした後ですが、まあそうかもしれないしそうじゃないかもしれない、あたりで。

 

リップルに対してだけスノーホワイトの「魔法少女狩り」としての面が剥がれるのはJOKERSで語られた事実ですが、原作でもこんな雰囲気できゃっきゃしていたのかなあと思うと普通にキツい。きっつい……。

「おかえり」「ただいま」という、二人の単純な言葉のやりとりさえ胸にきます。原作だとこの時間軸のスノリプの会話って皆無に近くて。どんな風にスノーホワイトが笑っていたのか、どの程度くっついておしゃべりしていたのか、人間体時の交流はあったのかどうか、そのあたりは全く開示されていません。だからこそアニオリとはいえこうしてスノリプ的存在が挟まれるだけで胸がグッッッと引きつれます。

スノーホワイトリップルの間には幸せな日々が確かにあったんだよなあ。御意見無用マント、リップルがコスチューム化しているとなると隻眼隻腕である以上に話しかけづらそうです。

 

暴力コミュニケーション見てて楽しかったです。好き。あのシーンずっと繰り返して見ていたい。死に繋がらない魔法少女の暴力行為って本当に癒しなので大好きです。魔法少女狩りにしてはちょっと動きがトロいような気はしますが(魔法を活用している様子がほとんど見えない)、まあご愛敬って感じで。ルーラも無いですしね。

 

 

最後はスノーホワイト「それでも私は、夢見てる」で〆。この「夢見てる」について。

1話段階では小雪はただきっと叶わないだろう夢を見ている少女でしたが、魔法少女になることで夢が叶い、しかし2話ー11話でその夢はずたずたになります。最終話こと12話において、スノーホワイトは、夢を見るため、夢を見ていられる世界を守るため動くことを選んだのかなあ。

 

スノーホワイトにとっての魔法少女とは、1話段階ではアニメやマンガの世界にいるキラキラして可愛らしい存在を意味しましたが(忍者モチーフのリップルは1話のスノーホワイトにとっては魔法少女ではない)、12話の段階では自分の信じた道を「選ぶ」存在こそが魔法少女である、という認識に切り替わっていったのではないかなと思います。「それでも私は、夢見てる」は、自分も信じた道を選び続ける、という決意の現れなのかなあ。原作から落ちている要素を絡めつつの話ですしちょっと想像力多めです。与太話として。

 

 

以上。ああ。アニメが終わってしまった! 楽しかった、楽しかったです。とても。総括的なのはBDが全巻揃ってから改めてゆっくりやろうかなあ、と思うので、この記事でアニメ全体を振り返るわけではないんですが、とにかく12週間お祭り的な盛り上がりがあってなんやかんや楽しかったです。

ああアニメが終わるとこう本腰を入れて原作と向き合わなきゃいけない感じが出てきてああ。ううう。がんばります。

ところでマジカル☆肝試し読みました。ルーラチームがわちゃわちゃしてる短編がでる度にいやここまで馴れ合った上で殺されるルーラ様本当になんなんだよという気持ちになります。スイムがよっぽどなのはもう知ってますけど他三人もよっぽどです。いや他三人がよっぽどなのも知ってた。