すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女22日目:リップル(無印)

 

さて本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは3。3!リップルでした。

この場合のリップルは無印時間軸のみのリップルを指します。つまり自分はこのまいにち魔法少女という企画において3回リップルについて語るということです。スタンチッカちゃん含めたら4回です。リップルは忙しい子だなあ。

 

 

 

 

リップル。登場話は「魔法少女育成計画」。 言わずと知れたニンジャ魔法少女。軽量級魔法少女で、スピードと手数と必中クナイを武器に血まみれになったり片手をぶっ飛ばしたりしつつ戦います。

性格は尖ったナイフ。相棒はトップスピード。なんだかんだ言いつつ仲良くなっていくトップスピードとリップルのふたりは見ていて非常に心温まりつつ心苦しいです。

 

無印リップルは、それ以降のリップル達の中で最もプリミティブな存在です。

戦い方は荒削りで知識も浅く、人付き合いが下手な上に自分の願望には素直になれない。強気な態度の半面、年齢相応の少女らしさも持っていますがその部分は殆ど見せてくれない。

怒りのままにクナイをぶん投げ、怒り、怒り、殺意に反応して殺意を立ち上げ、譲れないものは絶対に譲らない。でも譲れないものが何かわかった時には、それはもう誰かに奪われてしまっている。

 

アニメや漫画できらきらと輝く魔法少女という存在に憧れ、人助けに勤しむ魔法少女スノーホワイトを内心では尊敬していたリップル。マジカルキャンディーのためだと言い張りつつ、中宿を知り尽くし、中宿の人達を守ろうとしていたリップル。トップスピードを鬱陶しがり、馬鹿だ馬鹿だと邪険にし、それでもただ一人の友達だと感じていたリップル。彼女が守ろうとしたものは他の魔法少女に蹂躙され、すべて粉々になります。

 

魔法少女への憧れ」については他の魔法少女に蹂躙されたと言うよりは無印リップルが自ら手放したと言うべきか。

憧れを捨て、スイムスイムへの仇討ちを選んだリップルは、「私は魔法少女じゃなくていい……ただの人殺しで構わない」と、かつてああなりたいと考えていた存在・スノーホワイトに言い放ちます。

 

 

本当に……無印リップルは……好きです!彼女は一本筋が通っているようで、まだその筋を決めかねてぐるぐると考えている少女です。リップルが最終的に、非常に自分勝手なかたちで「魔法少女」ではなく、「トップスピード」を取ったところは、ああ無印はすばらしいなあと感じさせます。

 

スノーホワイトが「自分が魔法少女とはもう考えていないがアリスを失望させたくはない」と考えて(魔法少女をやめないための)選択を下すところ。

リップルが「トップスピードには怒られるかもしれないが、ただの人殺しになってでもトップスピードの仇を討ちたい」と考えて(自分が憧れた魔法少女ではなくなることになると知りつつ)スイムスイムを殺すために足を踏み出すところ。

二人とも魔法少女という憧れの存在からは背を向けて、そしてひとりの魔法少女を想いつつ行動を起こすのですが、その行動内容は見事に反転したもので。

ブラック&ホワイトだ。無印でのリップル&スノーホワイトはかなり対照的な存在です。

 

 

その二人が、「スノーホワイト育成計画」を経て理解しあい、再び魔法少女として歩き出そうと試み、ふたりぐみ魔法少女として互いに成長するところは二人ともに一度折れようとめげない、類稀なる逞しさ、意志の強さを感じさせます。

二人とものちのちのシリーズではなかなかの強キャラクターとして名を馳せていたりするわけですが、そのパワーアップには無印の想いの変遷が強く影響しているのだと思います。魔法少女は想いが全てだから……

 

 

 

もう一つ喋っておきたい、自分がリップルを好きなところ。それはいい子のようでいい子ではないようでいい子なところです。

リップルは実際いい子なんですが、そのいい子である成分がlimitedでの大ポカに繋がったりして困る程度にはいい子なんですが、無印だとその優しさよりも怒りの方が表面に出ている割合が高いなあと感じます。自分は怒っているリップルが好きなのでそれで大歓迎なのですが。

 

まだトップスピードの仇討ちに出るリップルの話をしているんですが、「あなたに憧れていた。スノーホワイト」というセリフの部分。

あの時のリップルはほとんど死にに行く魔法少女です。あの発言は死ぬ前に言い捨てた最後の感情に近い。それは非常に重い発言です。

受け止めるスノーホワイトは、自分がもう魔法少女ではなくなっている、リップルの憧れの対象でもなんでもなくなってしまっているということを彼女の発言によって改めて理解させられます。

そんなスノーホワイト「でも、魔法少女にはなりたかった」と言うリップルは、その言葉を受けるスノーホワイトの気持ちなんて全く考えていません。死を覚悟した魔法少女の言葉がどれほど重いか、憧れを含んだ言葉でさえ呪いになってしまう危険性をどれほど孕んでいるかを気にせず、言いたいように言う。あの時のリップルはとても自分本位です。

そこが好きなんです。少し自分勝手で自分の決めたものは譲らない、そんな無印リップルの生きざまが好きです。

 

 

成長したリップルはそれからあまり怒りを見せないようになりました。成長。えらい。

語弊の無いように付け加えると、自分は無印リップルが一番好きですが、それは以後のリップルが好きではないという意味ではありません。スノーホワイト育成計画,limited,ACES,そのなかで立派に成長したリップルの中に息づく、無印の時に見せてくれた「怒り」という力が、制御された状態で確認できることがうれしいんです。JOKERSでは確認できない。非常に残念でした。

 

リップルの成長はすごく理想的です。もとあるものを全くなかったことにするでもなく、しかし粗暴でありつづけるでもなく。でももう一回くらい怒りに吠え猛ってくれてもいいんだよ。

 

 

好きなイラストについて。無印冒頭挿絵の、初変身後のリップルが好きです。ジャンプ一つで天井板を割りかけるリップルすごくかわいい。

華乃ちゃんはどうやら身長170cm程度あるようで、リップルの方がよっぽど小柄なんですよね。魔法少女⇔人間状態で身長体重に大きく変化のある子が好きなのでリップルはとても好きです。

 

 

好きなセリフについて。よく考えるとマジカルキャノンガールについてガッツリ語り漏らしてますが、好きなセリフと言われると間違いなく「世界中の人間を救いたいわけじゃないし救えるとも思ってない。でも中宿の人達を……仮に通りかかっただけの人だとしても、見捨てて逃げたらもう魔法少女じゃない」「私は魔法少女だ」ですね今読んでもじわーっと目頭が熱くなります。そこまでして「魔法少女」であろうとしたリップルが「私は魔法少女じゃなくていい」って言っちゃうんですよ。ウグーッリップル……リップル……

ここの関係はものすごくJOKERSのスノーホワイトと一致していて、そういう符合が魔法少女育成計画にはいっぱいいっぱいあって脳が焼けます。好きだ……

 

 

以上。残るリップルはあと二人です。明日もがんばります。