すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女60日目:フィルルゥ

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは55。フィルルゥでした。

 これでフリーランス三人組は全員喋ることになります。がんばります。

 

 

 フィルルゥ。登場話は「魔法少女育成計画JOKERS」。

 お針子をモチーフにしたかわいい魔法少女です。髪の毛の編み方は複雑怪奇です。紫色の髪、白っぽいコスチューム、かわいい。地味にフィルルゥさんはなかなかに際どいコスチュームをしています。多分前面開いてますよねアレ。

フィルルゥさんは靴が好きなタイプの魔法少女です。ブーツ。よい。

 

 魔法は「魔法の針と糸でなんでも縫い付けるよ」。いい塩梅にファンタジックであり、同時に実用的な素敵魔法です。彼女の操る糸は不可視で、魔法少女が力を込めてもちぎれない程度に強靭です。作中の用途はとんでもなく多彩でした。

 S市のビル屋上から屋上へと糸を張り巡らせ、それに触れた存在(=魔法少女)を探査したり。

 針でガチャガチャ錠前を弄って鍵破りなんかもやってみたり。

 糸でもって天井に張り付いて上方からシャッフリンを攻撃したり。

 扉の部分に糸を張っておき、不可視のブービートラップとしたり。爆弾とコンビネーションしたり。

 「肌に直接糸を通す」というスタイラー美々ドン引きのやり方で直接的にシャッフリンを拘束したり。

 内臓にまで届いた傷を応急処置的に縫い合わせたり。

 

 結構便利。応用が利くよい魔法の持ち主です。地味だけど使いどころが多彩な魔法、好きです。

 

 

 そんなフィルルゥは拘束にも使える魔法の使い手らしく、刑務所の看守という役職にかつて就いていました。

 それがlimitedでの集団脱獄事件を経て刑務所の在り方そのものが変化することになり、『更生施設』の新設が行われ、囚人たちがそちらへ転送され、そしてフィルルゥは超スピードでクビになりました。

 なのでJOKERS での彼女は無職魔法少女です。7753も言っていましたが、それまで魔法少女専心で給料を貰っていた子が魔法少女以外によって生計を立てることはもはやほぼ不可能な芸当です。なのでもう一度、魔法少女として働き口を探さなければならなくなってしまったフィルルゥさんです。難儀。

 

 彼女は就職のチャンスを求め、差出人不明のタレコミをとりあえず信じ、人造魔法少女の確保を目指してS市に向かいます。

 彼女の視点は毎度毎度コミカルでかわいらしく、個人的に応援したい気持ちでいっぱいでした。カフリア・ウッタカッタと出会い、世渡り上手な二人に振り回されつつ文句を言うのを我慢したり。袋井魔梨華の狂人めいた振る舞いに、ここは腕っぷしには自信のある自分が何かがつんと言ったほうが良いのではないか、なんて考えたり。えらい。

 多分袋井魔梨華にがつんと言う、その役目はスタイラー美々がやるべきだと思うんですが美々は(やりつつも)やらないんですよね……。別日に回しますが美々とフィルルゥさんの会話大好きです。

 

 そんな可愛らしくいじましいフィルルゥさんは、ぼろぼろずたぼろになりながらもきっと生き残るだろうと思ってました。カフリアもウッタカッタも無残な脱落を遂げましたし、フリーランスのうち一人は生き残るかなって……。

 しかしそんなにJOKERSは甘くなかった。というかシャッフリンは甘くなかった。

 

 

 彼女の死は唐突で、理不尽で、衝撃的なものでしたが。よくよく考えてみると、魔法少女の脱出」が敗北条件であるグリムハートとシャッフリンが、万が一脱出されたときの予防策としてシャッフリンを出口に用意しておかない筈がないんですよね。

 待機戦力として申し分ないスペードの10を、ハートに変装させて油断を誘うという周到な準備の下に配置して置いたその手腕は見事なものです。シャッフリン・ジョーカーさんは結構頭が切れるところが作中で散見されていたので、彼女の提案によるものなのかな。

 「スペードの10が殺された」ということでもって、シャッフリン・ジョーカーは魔法少女が完全に自分たちの手を逃れたことを、即ち敗北を確信します。

 

 フィルルゥさんの脱落に関しては、フィルルゥに落ち度があったというよりはシャッフリンの念には念を入れた行動が見事だったと言うに尽きるでしょう。シャッフリンの度重なる攻撃により、フィルルゥが精神的にも肉体的にも疲弊していたことも原因のように思われます。

 フィルルゥが最後の最後で脱落したことにより、脱出したはよいものの一人取り残されてしまったデリュージ。彼女にとってフィルルゥの死はどういうものとして残っているのでしょうか。ACESでは少しだけ想いを馳せられていたようですが。

 

  フィルルゥの今際のきわの「必要とされたかった」という描写は結構苦しいものがあります。

 しかしフィルルゥさん、最後に思い浮かべる存在が知り合ったばかりのフリーランス勢・カフリアとウッタカッタってそれはどうなんだ。もっと他に大切な友人知人は居なかったのだろうか。うーん。多少不安になります。

 

 

 好きなイラストについて。あー。フィルルゥさんに関しては立ち絵がすごく好きです。スタイラー美々が「スノーホワイトと顔立ちが似ている」と言った時に思わず見返して、確かに似てなくもないなあと思いました。しかしスノーホワイトはかなり引き締まった表情をしているので顔立ちが似ていても印象が結構違います。

スノーホワイトのあの氷のような無表情と「似ている」と言われればそれはフィルルゥさんも複雑な表情をすることと思います。結構表情豊かなフィルルゥさんです。

 

 好きなセリフについて。セリフ。フィルルゥはセリフも独白も好きな魔法少女です。「誤魔化しなんてききませんよ。私の人生がかかってるんですから」も好きですが、やっぱり「よし、よし、よっし!これで!これでなんとかなる!ホテル代もギリセーフ!」が好きです。ガッツポーズしちゃうフィルルゥさん。

 数日単位で宿泊しただけで溶ける貯金。あまりにも少ないと思います。こつこつ1000万円を積み上げた7753はサラリー魔法少女のなかでも高給取りなのかもしれません。一応人事トップの直属ですしね。

 

 看守魔法少女が薄給なのか、フィルルゥさんが浪費しちゃったのか、それとも任期が7753よりも短かったのか。それは定かではありませんが、貧乏魔法少女ことフィルルゥさんの人生賭けて就活してる感じは可愛いです。微妙に世間慣れしていなくてフリーランス勢に振り回され気味なのもかわいい。

 

 以上です。明日もがんばります。