すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女号外:プク・プック

「まいにち」ではないまいにち魔法少女として、立ち絵の無い身でありながらして特等の存在感を誇るネームド魔法少女達についてちょこちょこ書いていこうと思い立ったので書きます。まいにち詐欺だ。

今日はプク様。恐れ多くも三賢人が一人、アヴ・ラパチ・プク・バルタ様の現身であるところのプク・プック様について。がんばります。

 

 

プク・プック。登場話は「魔法少女育成計画ACES」が初登場。グリムハートに次ぐ三賢人の現身様。まず間違いなく高級魔法少女。 

 

まず初めに。プク様は、とんでもなく、魔法少女育成計画という作品が始まって以来……と言うと言い過ぎですが、いや言い過ぎではないかもしれない、とにかくとんでもなく「かわいい」魔法少女です。

 

魔法少女育成計画という作品において立ち絵の有無というのは大切な要素です。そのキャラクターの外見が読者にはっきりと見える形で示される大事な一過程です。立ち絵がない魔法少女はそこで一つかわいさを掴み切れていないところがあります。

そんな有象無象の立ち絵無しかわいい魔法少女達の中で、プク様はしかし誰よりもはっきりと「かわいい」が伝わってくる存在なのです。ああこの魔法少女はとてもとてもかわいらしいのだろうなあと容易に想像がつきます。文章だけの世界で既に抜群にかわいいんです。

 

「かわいい」を文章世界だけで伝えてくるプク様のパワー。描写があからさまに多い。

 

魔法少女としても見た目が年若い。小学校以下。幼稚園の年中か、年少くらいか。足は崩れて胡坐もどきで分厚い座布団に座っている。白いトーガに黄金色の巻き毛というコスチュームからは、なんとなく神々しさのようなものを感じた。表情は無邪気な笑顔で、つい誘われそうになる和やかさがあるが、スノーホワイトの表情は硬いままだ。

 

一しきり喜んでから少し品が無かったかと反省し、照れ笑いをして見せたら部下がとても喜んでくれたので結果オーライというところだろう。

 

コロンはなるだけさり気無く香るものに、ネイルは薄い空色で上品に。

鏡に向かってにっこりと笑い、これならきっと仲良くなれるはずだと自分に言い聞かせる。 

 

フラゴナールの絵画から抜け出てきたような美しいロココスタイルに着替えてお出かけモードに入ったプク・プックのあでやかな姿に見惚れながらも護衛の任務を果たし、IT部門の長が待つという仕事場にまでやってきた。

 

ハムエルは小さく息を吐いた。変身すれば皆美しいという魔法少女の目から見てさえ、その美しさは頭一つか二つ抜けて見えた。タータンチェックのスカートが特徴的な、いかにもアイドル然とした学生服が安っぽく見えない。なるほど確かに偶像(アイドル)だ。少女は如何にも大切そうにリボンのついたマイクを胸に抱き、ぺこりと頭を下げた。腰のリボンと二巻黄金色の髪が生きもののように跳ねた。

 

 単純に美しく可愛らしいことに加え、動きや笑顔に隠しきれない神聖さ、神々しささえ感じられる気がした。 

 

 

何気に短編登場率が高いプク様です。episodesΦ収録の「プキン将軍の事件簿 魔法使いの殺人」に出てきた「プク様」はこのプク様なのかな。それとも三賢人としてのプク様なんだろうか。あれが私達の知るプク様ならプク様は相当長生きであるということになります。プク様がひゃくなんじゅっさいでも頷けてしまう。老獪幼稚園児好き……

 

ああ神聖なるかわいさ。このプク・プック様に絵がついてしまった日には自分はプク様かわいいプク様かわいいと日中呟き続ける存在になってしまうやもしれません。

 

 

というわけでプク様は「かわいい」を武器にする魔法少女です。「与える印象を捻じ曲げ」て、問答無用で好感を抱かせる。強い。実際のところ会話さえ不要っぽい。

誰とでも友達になり、敵意を奪い、自分の思ったように行動させ、スノーホワイトに本当に悟られたくないことを遮断して心の声を聞かせたりもしてしまう(それともあれは、本心から困っていないからこその描写なのでしょうか?)、映像を介してでさえ敵組織の魔法少女の心を掴んでしまう、プク・プックはそんな非常に強力な魔法の持ち主です。

 

 

プク様の魔法は若干過小評価されているきらいがあるような気がするのですが果たしてどうだろう。自分は、グリムハートという完璧にコミュニケーションを拒否した魔法少女をオスク派が対プク用魔法少女として作り出さなければならなかったからには、プクの魔法は相当に厄介なものなんじゃないかなと考えています。

 

魔法に関しては未だ謎が多いですが、自分が堂々と敵地に乗り込んで平然としているあたり、「プク・プックを見ない」程度で対策出来るものではないと思います。どうかな。自動罠とかにはプク様はどう対応するつもりだったんだろうか……。思考力の無いものによる攻撃に対して。その辺は親衛隊がどうにかするのかな。

しかしあのプク様はそういった不穏要素に警戒を払う描写さえないのです。緊張も見せない。「浮世離れしている」以上にどこか軽薄で怖い。心の底から魔法の機械を動かしたいのかどうかさえ不安になってしまうあの言動。

 

プク様にはまだ切り札があるのでしょうか。それともあのふわふわとした立ち振る舞いこそがプク様なのでしょうか……つまり、プク・プックは「そういうもの」として作られているからこそ、お着替えで時間を浪費するなど、最適をある程度欠いた風にしか動けないのでしょうか。

プク様も造られた魔法少女です。そのあたりはとても気になる。

 

 

「好意をもってプクを害そうとする」ことで魔法をすり抜けることが可能なのかどうなのかあたりは未だに完全に謎ですが、プク・プックがこれ以上なくベテランな魔法少女であるだけに、仮に弱味があれば、それを一番知っているのはプク・プックであるはずだと思います。生半可なプク魔法対策は逆に距離を詰められてしまうだけではないか。怖い。彼女の「自信」を揺らがせることが突破口になったりするんだろうか。どうかな……。

スノーホワイトがグリムハートの裏をかいたというJOKERSでの事件もあり、プクは魔法少女をグリムハートほど舐めてかかっているということはないだろうと思います。はたしてどう決着するんだろうこの戦いは。

 

 

 

ところでそんなプク様には薄暗い要素がたくさんあります。すっと胸が冷えるような人格の描写。長年三賢人の現身として頑張ってきた魔法少女としての老獪な一面。

 

「ごめんね、うるるちゃん」

詫びの文句を口にし、ポテトチップスを一枚摘まみ取った。

 

こことても好き。プク様はやはりどこか常人らしからぬところがあって、そういう要素がぽろりぽろりとプク様視点で散見されます。人を舐め腐ったような時間の使い方だったり「普段なら五時間はかかるところを凡そ一時間半にまで短縮した。頑張っている幸子達のことを思えばこれくらいの努力は当然だと思う」、「友達」と「パーツ」という相反しそうな表現を、とても自然に同じ人物にあてはめて考えていたり。三姉妹のことをプク様はペットか何かだと思っている節がある。

 

なんだかんだで非常に非人間的。それでもグリムハートよりはずっと人間的。そんなプク様だから、グリムハートよりもずっとたくさんの大切なもの、守りたいものを持っています。

 

プク・プックが(きっと)大切にしているもの、それは「良い刺激」です。霊体ではなく現身、魔法少女である自分自身だから味わうことのできるポテトチップスの塩味だったり、綺麗なものだったり、身近な存在だったりの刺激。

プクは他者ではなく刺激を知覚する自分こそを絶対なものとして置いて大切なものを判別しているんだなあと思います。それは言ってみれば誰しも当然のことなんだけど。

結局のところプクにとっての三姉妹だったりスノーホワイトだったりは突き詰めればただの「刺激」でしかないことを、プク自身が冷たく自覚してそうで、そのあたりの実年齢相応に乾いたさまも好き。

 

 

好きなセリフは間違いなく「迎えに来たよ、シャドウゲールお姉ちゃん」です。ああプク様の話をしていたらACESの続きがとてもとても読みたくなりました。苦しい……。

 

プク・プック様が続巻でどういう振る舞いをみせてくれるのか。とても……とても興味があります。激怒プフレとやりあってほしいしシャドウゲールお姉ちゃんといちゃいちゃしてほしい。できれば立ち絵も欲しい。あまりにもかわいいのでプク様が負けるところなんて見たくないのに、プク様が勝つとシャドウゲールが間違いなく死んでしまうというこの二重苦に胸が高鳴ります。

以上。気が向いたらまた何か書いてます。