すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

コミカライズ感想 5話&5.5話

 

更新が遅くなりました。今日は1巻の一番最後の話こと激動の5話と、6ページ分の5.5話の感想です。

 

4話感想:

mgrp.hatenablog.com

 

4話はラ・ピュセルが岸辺颯太であることを告白したのち退場、マジカロイドもアリスちゃんの首を刎ねた後静かに退場、一人取り残されたスノーホワイトは絶望の淵、シスターナナがいよいよ動き出そうとする――というところまででした。

 

 

5話は珍しく(珍しくなんて言ってもいいのだろうか)かなり原作改変度合いが少ない話です。やってること自体は同じですからね。

なのでそこまでストーリーを追うことはせずに、可愛いところや気になったところ面白かったところにだけ目を付けて端的に感想を書きたいです。書こうと思います。

 

 

 EPISODE:5感想

まずあの言いたいことといえば……1ページ目のマジカロイド44の死因がすさまじい。原作では貫手でがっつり殺されていたのですが、コミカライズではよりえぐいことになっています。うーん脊髄。

 

さて本編。

満を持して魔法少女育成計画世界でも少し異質なパワーアイテムこと「寿命を消費して手に入れる」アイテムが配布されることになったわけですが、コミカルで可愛らしいアイコンと「四次元袋」「透明外套」のような粗雑なパロディアイテム的やる気のない品名表示のちぐはぐ感は妙に不気味だし気持ち悪くていいですね。

 

ちゃんと横の数字が何か確認するリップルは慎重可愛い。「寿命でアイテムを買わせる」という極悪非道商法にいよいよ確信を深めたか、先週の「事故」による魔法少女の脱落は魔法少女同士の殺し合いの結果なのではないか、という考えを持つリップル。実際その想像は当たっています。

 

 

(メアリという暴力的製の高い魔法少女とやりあった経験を持つとはいえ)先週の魔法少女同士の殺し合いに完全に蚊帳の外であるところのリップルが察したのだから、その当事者であったスノーホワイトにはラ・ピュセル魔法少女に殺された可能性についてははっきりと胸の中にあることでしょう。

 

「正しいことをしている魔法少女は死なない」というラ・ピュセルの言葉は、「今こそ…魔法少女の”正しさ”が試されているのです」というナナの発言だったりなんなりにどんどん踏みにじられていきます。スノーホワイトはどんどん曇っていきます。

ちなみに5話でのスノーホワイトが笑っているコマ数は、涙交じりの笑顔が1つきりです。つらい。

 

 

 

シスターナナ・ウィンタープリズンという女性的・男性的な組み合わせのふたりぐみ魔法少女を見ることは、スノーホワイトにとってはかなり負担になっていそうです。

 

登場したハードゴア・アリスの自傷行為を何の警告も無しに見せつけられたり、「生き返る魔法」の示唆でぬか喜びさせられたり、「私にはウィンタープリズンがついていますから」という先週相棒を不慮の事故で喪失した魔法少女に向けて言っていい言葉だとはどう考えても思えない言葉をぶつけられたり、挙句の果てがアレだったり等々、つくづくスノーホワイトは可哀相なほどにシスターナナに振り回されている。

 

 

コミカライズ世界のナナはゲス要素が無いという指摘をインターネット上で見かけたような気がしますが、いやここまでの行為を何の自覚も無しにやってたらそれは自覚有でやっている場合以上にド外道の為せる業です。

 

 

しかしまあ、シスターナナ・ウィンタープリズン・アリスという三人組はとても疑似家族感があって大変に好ましかったです。

ウィンタープリズンの腕にしがみついてスノーホワイトをじいっと見ている人見知りアリスちゃんとか、「ですが」と指示されて即座にリストカットを決行するわりとナナとツーカーなアリスちゃんとか、ナナとスノーホワイトが手を重ねてる上に参加しようとしてスノーホワイトに怯えられ、ウィンタープリズンにたしなめられるしょんぼりアリスちゃんとか、とても可愛い。

スノーホワイトの顔を見ないままに兎の足を押し付けようとしたアリスちゃんも、言語能力がやっぱり少し怪しいアリスちゃんも、にいっと笑顔のアリスちゃんも、がっくりアリスちゃんも良い。よりどりみどりですね。

 

 

原作のハードゴア・アリスの不気味な少女一辺倒で積んだうえで、最期の最期での種明かしという流れも好きですけどこういうアリスちゃんも好きだな。

ラ・ピュセルが脱落した後で、こうして積極的にスノーホワイトとふたりぐみになりに行こうとするアリスちゃんの胸には、やはり1話冒頭の「不安げな表情のスノーホワイト」が焼き付いていたのかもしれません。

 

 

 

壁を積み上げるウィンタープリズンはまるで別世界の漫画の主人公のようだなあとか、そういうことはともかくとしていよいよスイム戦。基本スノーホワイトだけではなくスイムスイムも全力で煽りに行くシスターナナと、彼女を守るために命を賭けて戦うウィンタープリズン。

 

原作でのこの2人の最高・最高なすれ違い関係はコミカライズではウィンタープリズン視点がほとんど存在していないので匂わせる程度になってしまっていて残念ですが、それでも「壁の中に天使を閉じ込めて手から壁を射出して殺す(!?)」というド派手なあれは大好きです。

というか壁に埋もれてる天使の絵がすごくこう、今までへらへらしてた天使が初めて本当にどうしようもない状況になって蒼褪めている一枚絵がこんなに可愛いとは。

ミナはともかくユナは小型生物になって逃げればいいのではと思いましたが、ユナがミナを残して逃げるわけにもいきませんしね。

 

 

というわけでスイムスイムがウィンタープリズンの左手をルーラで切断したのちミナエルを回収して撤退。ここ、スイムが生物を引き連れて潜水してる非常に不安になるシーンなんですが大丈夫なんだろうか。

コミカライズ世界ではスイムスイムは「ミナエルを透過しないままミナエルを掴んでミナエルも地面に透過できるようにして自分も全身を透過して地面に潜ることが出来る」わけで結構強い。

 

 

そしてもう一つ不安……にはならないんですけどそういうものなのかなと思うことについては、ウィンタープリズン状態で切り飛ばされた左手が人間体・亜柊雫に戻った時には復活しているということですね。

心臓の傷は残ってるので結構謎ですが、コミカライズ世界では魔法少女時に負った怪我は致命傷以外については残存しないのかもしれません。つまりコミカライズ世界の細波華乃ちゃんは色々安心です。

 

 

 

ここで満を持して森の音楽家クラムベリーちゃんが登場。20代という外見設定……にはあまり見えないコミカライズ世界のクラムベリーちゃん、精神が脳にくっついて少し言動そのものが幼くなっているきらいがあります。

原作ではウィンタープリズンと殴り合ってときめいて恋する乙女になっていたクラムベリーさんですが、なんとコミカライズ世界ではスイムスイムに先を越されてしまってかなりご機嫌ナナメ。

 

そりゃそうなんですけど、ウィンタープリズンより先にラ・ピュセルにわざわざ喧嘩を吹っ掛けに行ったコミカライズ世界のクラムベリーちゃんはうーん。何というかあほの子感が結構あります。

リサーチの段階で1番ならラ・ピュセルより先にウィンタープリズンさんと戦いましょうね本当にね。

 

ここからコミカライズ世界に名を轟かせた空前絶後のあほの子魔法少女・森の音楽家クラムベリーちゃんの大進撃がスタートするのですが、1巻はナナが自殺したところでおしまいです。

 

 

視点描写の無いシスターナナはここまで聖母っぽく見えちゃうのかとやや慄きつつ、「死んだ人間は蘇らない」ということをファヴに強調されて、「魔法少女なんてもうやめる」とついに言い切ってしまうスノーホワイトさんは可哀想だなあと改めて思うことしきり。

 

 

 

EPISODE:5.5感想

おまけの6ページについてさっくり。よっちゃんとスミが登場してくれてよかったです。原作の姫河小雪の日常要素結構好きだったので、ちらりとでも居てくれてよかった。

アリスちゃんの独白は、冒頭で鳩田亜子の出自について語られていない分、最期のシーンが唐突にならないようにのフォローでしょうか。

 

「…神頼みすることでしか 魔法を望むことでしか 地獄から這い上がれない… そのような人間もいるのです…」「それを知らないあなた方は」「きっととても幸せなのでしょう」とはアリスちゃんの弁。うーん物々しい。

 

 

 

以上1巻分の感想でした。明日からは怒涛の2巻感想です。2巻は好きなシーンが多いので困ります。気を付けていきます。