すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

breakdown15話感想

 

  久々に……本当に久々に記事を書きました!

 長い文章を書く余裕がなくて後回し後回しになってたら2ヶ月以上が経過していたんですけど、なぜかbreakdown感想が最新話に追いついてしまっている。不思議だ。不思議ではない。ここ2ヶ月は短編更新があったのでbreakdownは長いことお休みになってますね。

 短編とか無しの単純な休載なら待ち遠しい!!! って声を大にして言えるんですが、短編を読んでしまうといや~でも短編読んでるしな……もう1ヶ月くらいは全然待てちゃうな……ってなってしまう。

 でも実際短編で満足感高い待ち期間です。ここ最近の休載埋め短編とか踊ってみたとか地獄サバイバルとかcircle of lifeとか全部まとめて1冊にして新刊出してほしい。多分物凄い量の人が喜ぶと思う。

 

 音沙汰完全無しが一番怖いので(これは真剣な話)こうして定期的に動きがあるのはとてもありがたいです。月刊魔法少女育成計画が存在しなかった頃の自分は今思っても非常に可哀想でした。それはそれとしてそろそろ質問コーナーとベストバウトが来てくれたら嬉しい!!!

 

 というわけで15話感想です。感想を書くために2ヶ月ぶりにbreakdown読んだら最後のられ子が改めて良すぎた。

 

 

ネフィーリア

 

 うーん大変! 可哀想! でも本人が楽しそうなので楽しいならそれでいいんじゃないかな……となってしまうネフィーリア。ネフィ恋のパートが一番安心……してはないけど、穏やかに波乱を待てるというのもかなり不思議です。どう転んでも絶対楽しいもんネフィ恋……。

「恋々が騙していたのは他人ではなく自分自身だった」という見解はなるほどなあという感じ。状況だけ見れば狂人恋々に振り回されるネフィですが、ネフィはネフィでクランテイルを煽った結果がどうなってるかを(細やかな)楽しみにしてたりで酷いのでどっちもどっちです。とにかく他人に大迷惑な二人。

 

 これから本館に行くとなるとチェルメリクラリッサナヴィフランチェスカあたりと合流することになりそうで大変だ。実際のところ消火施設は存在してるんだろうか。あとナヴィさんとの契約はどうなってるんだろう。

 

らぶみー恋々

 

 自分が想像していたよりも、ずっとずっと恋々は落ち着いてました。すごい……。

 今は物わかりの良いネフィを遠回しな言葉で黙らせることができていますが、チェルシーあたりはそんなアクションで黙ってくれるはずもなさそう。でも恋々が恋々を騙すにあたって、そういう察してくれない存在に遭遇したことがないわけもないし……本館周辺のこれからについては今からとても楽しみです。

 

 この恋々にとってのフランチェスカはどういう存在なんだろう。アグリそのものが無かったことになっているとしたらそれほど執着もないんだろうか。

 彼女の弓矢でフランチェスカがメロメロにできるか否かというのはちょっと興味があります。そうでなくとも恋々は平坦化しつつある状況を一気にひっくり返せる魔法の持ち主なので彼女がどう動くのかでここからの展開が大きく変わりそう。

 

 

 あと面白かったのは飛行能力持ち魔法少女に要求される「高度を低く保つ」という技術について。魔王塾主催地獄サバイバルでのフレイム・フレイミィさんを思い出しました(厳密に言えばフレイミィは翼で飛んでるというわけではありませんが……)。N市勢はわりと気の向くまま飛び回ってた印象でしたが、空の飛び方にも魔法少女的セオリーがあるんだろうか。

 

ドリーミィ☆チェルシー

 

 名前が明らかになった上での登場はありませんでしたが、られ子に殴りかかったクラリッサを「何やってんの!」と言って止めたのは順当に行けばチェルシーではないでしょうか?

 チェルメリーズの来訪によってられ子がクラリッサの急襲に気付き、チェルシーが助けたからられ子が逃走し、フランチェスカに遭遇して死んでしまった。改めて何が死に繋がるかわからない物語です。

 られ子の死はそういうプラスとマイナスの要素があれこれ加わった上で死に至った感がすごくて唸ってしまった。個人的に胸に来るすばらしい展開運びでした。

 

 

 あとナヴィさん視点を通じてチェルシーのヤバさが改めて強調されてました。「並の魔法少女がもらえば顔面が消し飛び頭蓋は砕け露出した脳髄も細切れになるような攻撃であっても、皮膚で受け止めてダメージがない」というフランチェスカのカタログスペックを飛び越えるチェルシーの星攻撃。規格外すぎる!

 この人が非戦闘的な魔法少女ポリシーを持ってるのが良いことなのか残念なことなのかは自分にはわかりません。ただこれだけの実力者でありながらぐっと堪えて復讐の道に背を向けたチェルシーはすごく偉いと思う。

 

パステルメリー

 

 夏休み短編「マリーとメリー」でかなりアレな面が露わになったメリーですが、15話では恐らく出番無し。ただまあ順当に行けばチェルシーと一緒に本館周辺に居るのではないでしょうか。

 短編で披露された魔法の活用法を未だ表向きには披露していないので(メリーが描いた変な羊もどきが島をうろついて人間に危険を及ぼしている可能性は大いにあります)まだなんやかんや活躍する余地は……ありそう。ただこう本編が終わる前に短編登場が来ると慣習的にハラハラしてしまうのは仕方ないと思う。

 

ミス・マーガリート

 

 今回は登場していません。統太くんが目撃したペットボトルの跡は尾野さんの渡したものだろうと思うので、次あたりでめでたく合流するかもしれませんね。15話の読者魔法少女登場率の低さかつてない。

 

再登場魔法少女+α

 

られ子

 まずは……やっぱりられ子について。

 15話にて没ということなんですが、はあ~~あらゆる側面で魅力的な魔法少女でした。こうして好きの気持ち高まってしまうとやはり更にビジュアルが知りたくなる。

 

 まず何が好きかといえば魔法の活用です。戦闘に対してこういう差し込み方がされる固有魔法が大好き!!! というのはかなりあまねく共通見解なのではないでしょうか。そんなことなくてもそうだと思うんですけど(確固たる意志)、とにかくられ子の魔法はとても良かった。

 自分の杖に修復魔法をかけることで強度を高める、相手が踏み込んだ瞬間に床を修復して姿勢を崩させた、と思えば同時に天井を修復して飛び道具を生み出す、床の修復が完了する前に魔法を解除することで足場を崩す!

 こう使うのか!! と膝を打つような鮮やかな魔法の応用には興奮するばかりでした。短く鋭い、これぞ魔法少女育成計画という趣あるバトルだった。breakdown限定ベストバウトがあったらられ子VSフランチェスカに投票すると思います多分。

 

「精神統一へと繋がる戦闘時の呼吸法は全行程を終えた」「状況を理解しているわけではなく、心の底から不本意ではあったが、戦う準備はできていた」「集中力の沼に身を浸す」――などといった素敵な戦闘没入描写の数々大好き。

 型や技名を流れるように幾つも積み上げた上での魔法少女杖道(マジカルステッキドー)」というくらくらするような武道名も、いよいよという所で取り出す師匠のマジカル杖も、全部読んでて楽しかったです。マイヤさんは素晴らしい教え手だったんだろうなー。

 

 戦闘で有効であるという以上に(当然ではありますが)単純な修復魔法としてもられ子の魔法は優秀でよかった。「始まりの魔法使い」の遺物をスッと直せてしまう魔法の尋常でなさ。この歯車まわりの描写もとても魅力的でした。QUEENSでも痛感したことですが、始まりの魔法使いまわりの異常極まりない雰囲気いつ読んでも好きです。

 この歯車はナヴィさん曰く「俺よりも偉い偉い馬鹿」が欲しがっているということで、もしかしてこれがQUEENSの魔法の機械再生に繋がってたりしたんだろうか。それとも更にまたよくない計画が動いたりしてるんでしょうか。やだな!

 

 続いてられ子の好きなところ、それは性格……このどうしようもない性格です! 良い! 「弱い者には冷たく強い者には諂い」というクラリッサの評価はちょっとにやけてしまう。 爆弾が現れては消え現れては消えしていたbreakdownですが、られ子もまたクラリッサにとっては放置できない厄介な爆弾の一人で。

 ただ、クラリッサはられ子を見誤った上で持て余していたという微妙なずれが非常に面白かったです。クラリッサから見るられ子はただ単に火事にパニックになっている人でしたが、実際のところられ子は「クラリッサが火事への動揺を自分に隠せていない」ことに対して慌てていたのでした。ああ良い。

 

 そしてられ子の好きなところ最後の一つ。最期がよかった。られ子が死に至ったのはひとえに求められるより少しばかり優秀すぎたためで、それは戦闘力も同じことでした。あそこで立ち向かわず逃げていれば、あるいはフランチェスカはより危険なチェルシーへと戦闘対象をスライドする……なんてこともあり得たかもしれませんが、マイヤに仕込まれているからこそ、られ子は健闘してしまい、そして死んでしまった。

 自分を死に至らしめた全方位を、死んだ師匠さえも呪いながら死ぬという突き抜けたあり方には清々しさすら覚えてしまいました。どんな師弟関係だったんだろうこの二人。マイヤとられ子とイオールの魔法の国側ライフぜひ知りたいところだ。そうでなくてもマイヤさん短編を熱望しています。

 

 

フランキスカフランチェスカ

 続いて、既にマイヤ・シェパーズパイ・アグリ・られ子の四人を殺しているビッグマーダラーフランチェスカ。ナヴィさん視点で「たったか歩いてきた」と表現されるのかわいい。

 今回明らかになったフランチェスカ攻略情報としては、彼女の「あなたが落としたのは金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」という問いには正しい答えがあるということでした。いよいよフランチェスカを安全に処理できる目処が立ってきた気がします。

 しかし……もう一つの安全策であるところの「穴に留まる」という選択肢は、恋々が美しく燃える森することで半ばおじゃんにされているわけで。正しい言葉で答えるというこの策も、どのくらい無事に通用するものなのかはわかりません。ナヴィクラリッサにしても、人前で堂々と封じ込め回答を口にするわけにもいかないでしょうし。

 

 あともう一つ、フランチェスカが視覚以外のところで対象を「視る」ことができるというのがられ子の死でなんとなく確定したっぽいですね。自分に危険を及ぼすものを感知できるのかな。多分前話のマーガリートさん視点を読むと耳にも頼ってないっぽいのでいよいよ人枠越人外感がすごい。

 

 

クラリッサ・トゥースエッジ

 なんやかんや思惑が空回りしているという印象があります……が、それでも独断で「魔法の歯車」を直すところまで持って行ったのはかなりナイスだったのではないでしょうか。彼女のてきぱきした思考を読んでいると中身が推定小学生という事実を忘れそうになります。

 小学生魔法少女の死亡率がネタにされがちな魔法少女育成計画ですけど、小学生魔法少女がただ虐げられるだけの犠牲者かといえばそうでもなく。小学生魔法少女達の(小学生らしからぬ)優秀さもまた特筆すべきものがあるように感じます。一番純粋に小学生らしかったのは鳴ちゃんかなあ。

 

 さて、なんやかんやあってられ子をぶん殴ろうとしたところを推定チェルシーに目撃されてしまったっぽいクラリッサ。地下室の入り口も多分開きっぱなしだろうし、なんやかんやピンチです。

 られ子襲撃くらいはまだどうにか誤魔化す余地があるかもしれませんが、もしあの場にフランチェスカがやってきてしまったら。問いに対する正しい答えを言ってしまえばフランチェスカがナヴィサイドの存在だとバレてしまうわけだし、どうするんだろう。変身解いてやり過ごすのが良さそうですが、クラリッサは変身解除がフランチェスカに有効ってことは知ってるんだろうか?

 

 

ナヴィ・ル

 今回でナヴィさんが遺言状に極限まで薄い透明の膜に文言を書き加えることで改竄していたということが明らかになりました。何それ!!?! 

 ……どの辺りでナヴィさんがサタボーンの遺言に干渉したのかはわかりませんが、隠された研究所のことをシェパーズパイくん以外に唯一ご存知だったり、遺品についても把握した上で島を訪れている気配があったり、故サタボーンさんとは想像より懇意な仲だったんだろうか。

 で遺言状に何を書き足したかと言えば「各相続者は最大2名までの魔法少女を同伴者として連れてきていい」という箇所だったらしく、そしてそれはイオール側からマイヤとられ子の2名を引きずり出すためだったということ(余談ですが、ここの注意事項がナヴィさんの手により追加されたものだったという事実と、魔法使い単身での相続会議だと詰みかねなかったサタボーン式魔力吸収システムの噛み合いかたはちょっと面白い)

 

 ナヴィさんが明らかに過剰戦力であるフランチェスカを持ち出したのも、マイヤさんを処理するためのものだったようで、うーーんマイヤさんの格が死後ぐんぐん上がっていくことだなあ。現身候補持ってくる必要がある魔法少女ってなんですか。

 魔王の羽を1.5枚ぶち抜いたという「穿魔」の逸話も、マイヤの魔法少女としてのすさまじさに凄みを増しています。枚数の記録がきっちり残っているからには、対グレース戦時のオート戦闘羽ではなく魔王が防御用に重ねて用いたものなんだろうなあと勝手に想像してわくわくします。

 いつか本家の尖魔が(過去短編で)見てみたいなー。知ってる魔王塾生の人達もマイヤさんにボコられたことあったりするんだろうか。

 

 ともあれそのマイヤさんはナヴィのけしかけたフランチェスカに屠られてしまったわけですが……。られ子も今話で同じくフランチェスカに殺されてしまったので、イオールを守る存在は今や統太くんだけになってしまった。ナヴィさんはその統太くんも消すつもりみたいで容赦がないなー。

 

 

七谷小鳥&メイ&マナ 

ナヴィがマナさんをお姫様みたいに扱ってるのちょっと面白かった。経路的に77マナメイは遠からず合流できそうかな。

 14話でナヴィさんがマナのリュックサックを投げ捨ててましたが、あの中に4話で七谷さんを変身できるようにさせた魔法の栄養剤があれば、魔法の実がなくとも一時的に変身できたりするかなあ。ただあれ注射剤だったので(他に剤形があっても)専門家のマナさんが起きないとちょっと服用難しそうではある。特に亀への投与とか……。

 

「メイを守ることができた。だったら他の人達を守ることだってできるはずだ」がとてもよかった。人間に戻って少し弱気になっている七谷さんが、それでも人のせいにしてはいけないと言い聞かせる様子は、最期まで人のせいだったられ子と好対照になっていて好きです。

 7753はbreakdownの事件を経て成長することになりそうですね。完全に生還前提みたいなことを書いてしまった。

 

 

曲岡統太&イオール

 少年少女サバイバルという異色空気の二人。かっこいい刻印魔法とかスライディング灰色の実回収とか、他パートと比べても(苦しげながら)なんとなく可愛らしい雰囲気なんですけど、しかし火に巻かれている。

 かつてナヴィと婚約する話が持ち上がっていたということをイオールが呑気に言ってるのは、かなり薄ら寒いものがあってよかった。どぎつい政略エピソード!暗部から守り庇われてたっぽいお嬢様! かわいい……しかしイオールはこの先大丈夫なんだろうか。

 

 マーガリートさんと合流できたら当座は安心できそうですが。しかし15話という段階になって、3話段階での

「便所の奥底でのたうっている巨大な毒虫とでも言うべきクズだ。あれはお嬢様に取り入ろうと近付くが、触れるのはおろか近寄るだけでも害になる。ああ、忌まわしい」

「いいか、マーガリート。協力しろ。ナヴィ・ルをお嬢様に近付けるな。そうすればこちらとしてもお前の主を立ててやらなくもない」

 ……というマイヤさんの言葉を思い出すことになるとは。縁談もちかけた上で邪魔な存在を遺言偽装した上で直接的暴力で粉砕する人、そりゃあ便所の毒虫とか呼ばれても仕方ない。

 子ども二人でフランチェスカの破壊痕を追っていくの怖すぎるので早いところマガクラと合流してほしい。今気付いたけどフランチェスカの足取りを追っていくってことは結局ここの集団(マガクラ統イオ)も最終的には本館に至ることになるんでしょうか。

 

 

 というわけで15話感想はおわりです。当然ながら人が死ぬと話が引き締まるなあ。9月はbreakdownが読めると……とても嬉しい!