最高の17話が更新されたんですが今回はbreakdown16話感想です。
17話更新前にこの感想を9割書いちゃってたのでちょっと迷ったんですが、まあ17話読む以前の自分の感想ということで特に書き変えすることなく記事にしました。なので17話以前の感想として読んでください。
パステルメリー
フランチェスカの破壊音を聞きつけたチェルシーに置いて行かれ、ラギと羊たちと一緒にとり残されたメリー。メリーの判断を仰ぐ羊たちがかわいい。
その場で唯一この先どうするかを選べる存在として彼女が下した決断は、「開いていた穴の中に入ってみる」というものでした。英断だ!!
メリーには知る由もないことですが、穴の中にいれば近くにいるフランチェスカの直接的被害を受けずに済みます。問答無用でかっとばされないのでこれで多少安全になれる。
それに加えて、ナヴィが隠しておきたかった研究室の何かにラギを接触させることができます。しかもなぜか(本当になぜ?)備えられていたうがい薬でラギは意識を取り戻し、より適当な魔法薬によって当座の魔力を取り戻しています。
改めてメリーすばらしい選択すぎる。一気に物語が動いてますね。ナヴィさんとにかく不幸の揺り戻しがひどい。
これでメリーとラギと羊たちが地下研究室に到達しました。肝心の研究室に何があるのか……については次回でわかるかなあ。ナヴィがラギに研究室を見られたくなかったということは、つまりラギに見られると困る決定的な何かしらがあるんでしょうし。気になります。
ところで今回メリーの羊飼いっぽい動作が見られて嬉しかったです。
角が大きな羊の頭を押さえ、大柄な羊を尻で押し戻し、甲高く鳴き続ける羊に優しく声をかけ、ゴーグルをかけた羊をしっしと追い払う。羊達を宥めながらメリーは必死に考えた。
うーんかわいい。あとしばらく所在不明だった7753のゴーグルのありかがわかってよかった。ゴーグルいつ返却されるんだろう……。
ドリーミィ☆チェルシー
はいドリーミィ☆チェルシー!! 最高の回でしたね!!!!!
格好よすぎる。いやかわいすぎると言ったほうがいいんだろうか。これでまだ戦いの導入というか、火蓋が切って落とされた段階なのがすごい。ドリーミィ☆チェルシーの戦闘描写が大好き……。
チェルシーの戦闘は問答無用で大好きなものとして、チェルシーの在り方というのも大好きな一つです。約30年かけて醸造されたドリーミィ☆チェルシーが、魔法少女育成計画breakdownという物語を通して変わったり変わらなかったりするの良すぎる。
強固な精神を持つ人が「変わる」瞬間は当然(展開として)面白いんですが、やはりその上で「変わらない」ものがある素敵さに唸ってしまう。うーんふわふわした表現になってる。難しい。
考えずにバシッと動き、ビシッと解決する。それがドリーミィ☆チェルシーだ。それが魔法少女だ。考えたりするのはもっと賢い人がやればいい。
(中略)
だがチェルシーは考えてしまったことが失敗だとは思わなかった。考えなければならなかった。チェルシーの本来あるべきムーヴに逆らってでも考えることが必要だった。
(中略)
チェルシーがもう少し考えて、自分だけではない、他の人のことも半分くらいでいいから思うことができていれば、ひょっとしたら違ったことになったんじゃないかとどうしても考えてしまう。
このあたりの描写は、遡ること11話冒頭の、「熟考に熟考を重ねて慎重に判断するより直観に任せて行動したほうが上手くいくことは多かった」というチェルシー視点から繋がっていますね。島での出会い別れを経て発生した変化の流れです。その変化は「考えるドリーミィ☆チェルシー」だけに留まりません。
力比べでは勝てなかった。速さでも魔法の威力でも負けている。唯一優っていた可愛らしさも急速に追いつかれつつある。逃げ出したいが、ここで逃げるのはチェルシーの好きな魔法少女ではない。
かつて11話にて、追い込まれてなお戦い真の力を発揮するという魔法少女を「魔法少女もどき」だとしたチェルシーでしたが、16話では絶望的な戦力差であることを誰よりも確信していながら、魔法少女ドリーミィ☆チェルシーとして、逃げずにフランチェスカに立ち向かいます。ああ良い。(17話読後追記:チェルシーがフランチェスカとの戦力差をひっくり返しかけた原動力がシェパーズパイやパステルメリーを想う力で、変わった理由から手にした力まで綺麗に一本の線で繋がっててとてもよかった)
ここまではチェルシーの変化について挙げてきましたが、変わらないものもあります。
それはドリーミィ☆チェルシーが可愛いこと。そして、チェルシーが自分の信じる可愛さであろうとしていることです。文字にするとなんか異常なんですけどこれが物凄く良いですよねチェルシー。良い。
「今から魅せてあげる。あなたの知らない可愛らしさを」
やることは決まっていた。ハートマークを崩してピースサインに移行、ビシッとポーズをつけて腕をクロスさせながら相手を指し、叫んだ。
「ドリーミィ☆チェルシーに! お任せよ!」
この決め台詞、この幕引き! チェルシーこんなに好きになると思わなかった。
やっぱり自分の譲れない芯みたいなものを抱えた上で戦いにもつれこむ瞬間というのがどうしようもなく好きです。どうなろうと好き。しかし戦闘開始で章が途切れるとちょっとドキッとしますね。このやり取りが序盤中盤で起きてたならともかく、こんな最終盤の物語力ドカドカ状態で来週初っ端もう死んでる~! っていうのは多分無いんじゃないかな!? というか生き死にとは関係なく私の知らない可愛らしさを魅せてほしいのでどうか戦闘シーンあってほしい。それはそれとして原作ラ・ピュセルの恐ろしい断ち切られ方はめちゃめちゃめちゃ好きなんですけど……。
最後に小さい好きなんですが、実在の作品が魔法少女に紹介されるやつが今回も見られて地味に嬉しいです。今回は「十五少年漂流記」、そして「蠅の王」! 読もうまほいく参考図書。蠅の王は死が美しいです。
ドリーミィ☆チェルシーが特に魔法少女と関係ない文学作品をスッと引いてくるの教養!! を感じて大変良かった。教養の上に独自発展文化が積み上げられていることが示唆された上での「誰だって最初は真似から入る」は、チェルシーの魔法少女像の深みを増すようで素敵なフレーズでした。
ネフィーリア
ネフィはえらい。すごい。フランチェスカにターゲットされて吹っ飛ばされて身体ボロボロ骨ボキボキなだけでもうとんでもなく大変なのに、再合流したらアグリは多分死んでて、そのせいで恋々は笑顔で放火しててもう全部絶望的!……な状況だったはずなのに、交渉一本でナヴィとの協力を取り付けるところまで漕ぎ着けている!
前に出すとどうなるかわからない恋々を潜伏させて配置することで、クラリッサにプレッシャーを与え、彼女から感情の機微を読み取りやすくするところなんてもう感嘆の一言でした。あるものを使って頑張っている人だ。
この交渉シーンの手前ではクラリッサがメリーとチェルシーを言いくるめかけてて、そのクラリッサの反応を手掛かりにしてネフィーリアが情報を探り取り、ナヴィとの交渉を成功させようとしている。話術ヒエラルキーみたいなものが顕著に表れてていいですね。
というわけでナヴィ&クラリッサと「火事を止めるために女神を倒す」協力関係を結んだネフィーリア。本当にすごい。しかし握手する最後の最後までどうなるかわからなくて緊張しました。一話前でクラリッサに見切られ結果的に死んだられ子を見ているだけに、ネフィーリアの綱渡りが一層ハラハラした。ナヴィさんの内心が気になるところ。
らぶみー恋々
隠れて様子を伺っている(らしい)恋々。こわい。一切描写がない方が逆にこわい。今何考えてるんだろう。
恋々はフランチェスカの裏側にいるナヴィのことには気づいているんだろうか。母親候補のアグリを奪われた恋々にとって、ナヴィは仇の一人と言えるんだろうか。アグリごと無かったことになっている今、仇かそうでないかに恋々の関心があるのかどうかすらわからないこの状況。ネフィーリアは本当に大変な立場で頑張ってるなあ。
ミス・マーガリート
今回は出番なし。今回チェルシーとフランチェスカが激突したわけですが、マーガリートとクランテイルの二人はどうにかここの戦いに加勢できるんだろうか。 いや間に合うか……?
視点ごとの時間がどれくらいずれているかわからないのであれですけど、チェルシー本人が「戦力比では絶望的」だと言っているだけにどうにか誰か介入してほしいです。
再登場魔法少女+α
クラリッサ・トゥースエッジ
クランテイル戦では見せなかった奥の手を隠し持ってることが明らかになったので更なる魔法活用が気になります。噛んだ位置がわかる魔法でどう奥の手を繰り出してくるんだろう。
クラリッサは中身が小学生とは思えないほどしっかりした子ですが、ネフィの方が年の功で一枚上手らしいです。ナヴィさん相手に疲れを滲み出してるあたりはちょっと年齢相応っぽかったかもしれない。
ナヴィ・ル
続いてナヴィ。穴に置いたはずのマナのことしれっと再回収してる!!
えっ前回読み飛ばした!? と思って読み返してみたんですが、前話だと普通に安置したままだったのでクラリッサから火事情報聞いて即引っ返して背負ってきたんですね。77マナメイ合流ならずで悲しいけど、まあ今のところマナさんの安全確保されてはいるのかな。
でナヴィさんはネフィと協力結んでフランチェスカ討伐に乗り出すっぽいですが。元々フランチェスカは始末したほうが都合のいい存在のようでしたし、自分が関わってることを上手いこと伏せた上で手を貸す感じになるんでしょうか。
協力は現状口約束ですけど、契約プロのネフィ相手だし簡単に裏切らせてはくれなさそう。一回契約書の裏かかれてるし……。
ラギ・ヅェ・ネント
とにもかくにも息吹き返してよかった、魔力が欠けると一番致命的にやばい人なので……。
いまいち敬意に欠けるメリーとの掛け合いが微笑ましい。なんだかんだナヴィさんに次いでかなり戦況を左右するポジションに居るんじゃないかなと思います。
フランキスカ・フランチェスカ
最後にフランチェスカ。ラーニングしたかわいいモーションを自分のものにしている。思考のないホムンクルス的存在と思いきや応用力がすごい。かわいい専門家のチェルシーが急速に追いつかれていると認めるんだから、本当にかわいいに磨きがかかっているんだと思います。ぜひイラストで見てみたい。
フランチェスカVSチェルシーのポーズ決めた上での睨み合い、初読だともうハラハラしきりで読んでたんですけど、少し落ち着いてから読み返すとこんな異常状況で熱くなれる遠藤先生の筆力すごすぎるなと思った。異常光景にすっかり適応してしまっている……。
あと一つ、ナヴィにとってフランチェスカが「仲間」ではないらしいということが改めてネフィ視点で強調されたのが興味深かったです。どういう手続きで発生した戦力なんだろうな~ってところが研究所と絡めて明かされるといいですね。
感想は以上です。17話がbreakdownの面白さを噛みしめる瞬間最大風速更新超絶回だったので早めに感想をやりたいです。