すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女93日目:スノーホワイト(QUEENS)

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは2、即ちスノーホワイトでした。

 スノーホワイト……スノーホワイト! QUEENSのスノーホワイトのポジションはそれはもうとんでもないものでしたね。QUEENSの帯やら扉絵やらでもう相当なことになってるのはわかりましたけどそれでも厳しかった……。がんばります。

 

 

  スノーホワイト。彼女が登場する本編はこれで5作目になります。リップルがQUEENSで登場しなかったので、人間体を含めればこれでプフレシャドゲリップルと並んだ登場回数になりましたね。limitedから血飛沫浴びっ放しなリップルにやっとのことで健康な休みが。事実です。はい。

 QUEENS序盤のスノーホワイトリップルに逃げられて傷心です。言い方。実際スノーホワイトが傷つくのも当然のことです。同じ事件を生き残り、心を許し合った友達ことリップルが他ならぬスノーホワイトことを想ってlimitedにおいて更なる事件に巻き込まれ、その結果としてリップルに人殺しをさせるというところまで行き付いてしまったわけですから。

 

 リップルスノーホワイトのために動き、命を落とした。スノーホワイトは大切なものを守るため力を手に入れ、しかし大切なものは掌から零れていった。リップルを喪失したことによってスノーホワイト自身も大きく傷ついた。

 

 というのはJOKERS序盤でのスノーホワイトを指す表現ですが。QUEENSのスノーホワイトが得た衝撃だって、それはもうとんでもなかったはず。

 リップルスノーホワイトのために動き、命を落とし……はしなかったものの、フレデリカに操られて他人の、それも自分が名前や為人を知っている、善良な魔法少女の命を奪ってしまいました。それはリップル本人が命を落とした場合とは比較できない、また違った種類の傷をスノーホワイトに与えたはずです。リップルは今も生きている。「スノーホワイトのため」が流れ流れてリップルに人を殺させ、そんなリップルはもうスノーホワイトに会うつもりはないと考えている。大変なことになってしまった……。

 

 

 自分が選んだ道の果てにリップルの殺人があり、「魔法少女狩り」としての自分は悪い魔法少女を狩る存在で、リップルは殺人者で……。自分に圧し掛かった何もかもから目を逸らし、スノーホワイトが久々にもう何もしたくないモードに入るのも至極当然。彼女が信頼できる存在ことファルとも引き離され、スノーホワイトの精神状態は劣悪です。魔法少女なんて関係ない! もう知らない!」という叫びが痛ましい。

 

 それでも……それでも、うるるに喝を入れられて再び立ち上がるスノーホワイト。彼女が思い出すのはラ・ピュセルやアリス、インフェルノ。彼女達の想いをスノーホワイトが再加熱する燃料にしてくれたのは非常に前向きでいいなぁ。余談ですが初読時は丁度無印アニメの放送中だったのでラ・ピュセルやアリスの名前がQUEENSの段階でもスノーホワイトの中にしっかり残っててくれてるのが読めて嬉しかったなあ。

 彼女が挫けかけたのもそういう死者の想いの蓄積が一因だとは思うのですが(だからああいう台詞が出てくるわけですし)、しかしその想いがあるからこそスノーホワイトは再び前を向くことができるわけです。

 

 まあ洗脳されるんですけど。扉絵で分かっちゃいたもののプク様との対面で精神がプク様色に染め上げられてしまうスノーホワイトを読むのは苦しかった。想いが蹂躙されてる……

 

 というわけで、序盤から終盤にかけて、プク様の軍師としてはたらくスノーホワイトの活躍が見られます。読んでいる最中はマジで勘弁してくれと思ってました。その辺はスノーホワイトさんかしこいなああんな表情で笑うスノーホワイトさんを見てると胸が痛むなあというあたりで諸々割愛しますはい。

 

 

 最終盤。スノーホワイトは遺跡の奥の奥まで踏み込んできたプフレ、ダークキューティー、プリンセス・デリュージの三人をブレイド・ブレンダ、キャノン・キャサリンと共に迎え撃ちます。ここについてはデリュージの日に書いたほうがいいかなとは思うんですが、にしても敵に回したスノーホワイトさん恐ろしいことで。

 魔法によって相手の行動を先読みして動けるスノーホワイトさんの突破口は、先読みしても対応できない速度や力で押し込むこと。及び心を読んでもどうしようもない自動操縦の攻撃で行動を制限することです。

 車椅子を急加速させて片手負傷で逃げ切ったプフレは前者、ACESにおけるダークキューティーは後者、そしてまともにやりあったデリュージは両者でもってスノーホワイトに対応します。便利極まりないスノーさんの魔法ですが、こうして見るとなんだかんだ攻略法を見つけられてますねー。

 

 ラグジュアリーモード・バースト状態のデリュージにスノーホワイトは圧倒されます。こうして見るとスノーホワイトの身体能力がトップクラスに位置するものではないというのがわかりやすいかなあ。耐久3の俊敏4ですからね、少なくとも戦う魔法少女の中では腕力に自信がない方の魔法少女でしょうし。

 ただその不足を魔法と道具で補うのが魔法少女狩りが魔法少女狩りとしてやってこられた所以。彼女は消火器(初読時完全にそれどころじゃなかったんですが消火器大好きだなスノーホワイトさん……)を取り出してデリュージに対処しようとし、それを阻まれ。その次に彼女が取り出したのは、いやあ。インフェルノの偃月刀でした。

 

 あー。こう来るかあ。それが出てしまえば当然デリュージの動きは一瞬止まります……。この直前でデリュージがピュアエレメンツのことを強く思っているのですが、それを「聴いた」上でスノーホワイトさんがあれを取り出したとしたらえぐいなんてものじゃないですね。

 

 ただぎりぎりでうるマナラズが駆けつけ、スノーホワイトによってデリュージが殺されることはありませんでした。これは双方にとって非常に良かったなあと思います。デリュージ殺したスノーホワイトはちょっとあまりにも厳しい……。

 そこで彼女の洗脳は解け、気を失って姫河小雪状態に戻り(これ、彼女は羽菜さんのように気絶して魔法少女化が解除されないように訓練してるわけじゃないということでいいのかな)、そこでメインストーリー上での登場は終了です。やっっとプク派スノーホワイトさんとお別れできた……。

 

 

 エピローグの彼女、については、「どういう状態にあるのか」の判定が分かれるところだと思います。

 QUEENSの事件全体について、スノーホワイトの名采配を遠因としてプク派の動きに遊びが無くなり、その結果苦戦を強いられたり命を落としたりなんなりした魔法少女がそれはもう大量にいるわけなんですけど、本人がそれを気にかける気配はありません。

 あ、語弊の無いようになんですが、自分はそれについて特に思うことはありません。正直プク様の洗脳は天災のようなものであり、その魔法に囚われた彼女がデリュージを半殺し(というか八割殺しくらいかな……)にしたことだってスノーホワイトに責任が伴うとは思いません。

 ただ。ただ、それでも……責任を感じたり気にかけたりしてほしいと言いたいわけではなく。スノーホワイトが何かしら事件のことを割り切った上で前向きに行動しているのなら、それならそれを、割り切るまでの過程や「気にしていない」という意思表示を、もう少しきちんと読める形で心に思い浮かべて欲しいんです!

 

 いやあ……ううん……どうなんだろう。正直なところ、スノーホワイトのエピローグのあの「リップルを探す」「フレデリカに関してだけは魔法少女狩りでありたい」「うるると行動を共にしている」「自分を主人公だとは思っていない」云々の描写は、魔法少女育成計画QUEENSの53ページから305ページまでの展開を叩き落した上でも違和感なく成立するものだと思います。ブルーベルがワンタッチしてるので丸ごとそっくり抜ける機会はあるわけですし。

 

 ただ仮の仮にエピローグスノーホワイトが記憶喪失だったとしても疑問は残ります。

 遺跡で行方不明になったファルを気にかけているからにはスノーホワイトは遺跡の事件について(他人事だったとしても)頭に入れているわけで、その事件の概要に自分の名前が存在しなかったなんてことがあるのでしょうか。うるるが横に居て、スノーホワイトを追いかけていて、彼女から「スノーホワイトはプクに洗脳されていた」という事実を伏せられているものでしょうか。

 そこの説明がないので、果たして本当に記憶がないのかということも言い切れず。

 

 自分がやったことの記憶を保持していたにせよ、記憶喪失だったにせよ……魔法の国を魔法少女を大きく揺らがせた「プク・プック」という存在について、あの事件そのものについて、助け出された直後の自分の状態について、なぜ重要参考人であろうスノーホワイトが早期に解放されたのかについて……スノーホワイト視点でどういうあらましになっているのか、もう少し何かしらの情報が欲しかったです。

 

 エピローグのスノーホワイト視点に関しては、まだ自分は上手く読めていません。もしあれが「憶えている」上での描写なら、その上で開き直ることへの重みがもう少し欲しかったですし、「憶えていない」という描写だったとしても、そう見るためにはどうしても細々した描写に(正しくは描写の無さに)引っかかってしまって。

 なんもかんもラズリーヌが悪い。彼女が触ると魔法少女への理解が一気に難解になる……。大概のもやもやは記憶抜き出し魔法の説明のなさに関係しています。彼女がスノーホワイトに触って何かしらの記憶を抜いたのは事実なわけで、それがどれほどの規模のものだったのかは謎なままで。ううう。どっちつかずが一番どうしようもない。

 

 limited以降、毎度「次」に繋げる要素の大きいエピローグではありますが、QUEENSのスノーホワイト視点に関しては……うーん……うん……次が早く読みたいですね、というあたりで前向きに終わりにします。

 

 

 さて好きなイラストです。これは扉絵のデリュージVSスノーホワイト戦かなぁ。あんなところで堂々と描かれたからには序盤~中盤で一戦やりあうのかな、と思ってたら滅茶苦茶終盤でちょっと笑いました。この扉絵があるってことはかちあうんだよなこれから……っていうメタ読みと共に9章を読んでた気がします。

 

 

 好きなセリフ。間違いなく「私に火をつけたのはあなたでしょう? 私が魔法少女なら、あなただって魔法少女だ」。です。いい……。個人的に自分の感情をきちんと見せてくれるスノーホワイトを読むのが何より好きなのでうん。QUEENSのスノーホワイトはやっぱりこのうるるとの会話あってこそ、という気がします。スノーホワイト一人に絞れば肝要は序盤だと思う。

 

 以上。はやいところ続きが読みたいけど続きがいつ出るかなんてわかるはずもなくという悲しい気持ちが記事に影響したような気がします。前向きにいたい。明日もがんばります。