すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女96日目:ミス・リール

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは3。ミス・リールでした。

 キャララフが出た時点では異様な存在感を放っていた彼女でしたが、蓋を開けてみるとなんというか、普通にいい子枠で逆にびっくりしました。あの攻めたビジュアルで理性側の人なの不思議でいい。以下感想。

 

 

 ミス・リール。1班所属の敬語魔法少女です。

 同級生相手にも敬語口調なのがまず印象的でした(もう一人の敬語枠であるクラシカル・リリアンはモードチェンジの結果敬語なので多少納得感がありますが、ミス・リールは変身前から敬語)。口調には何か事情などあるんでしょうか。

 ラッピーからは「リーさん」と呼ばれてるのかわいい。ミス・リールって名前、お洒落感と駄洒落気味言葉遊びが混和しててすごく好きなんですけど、そこから更にリーさんという原型だいぶ残ってない愛称になるの良いですね。魔法少女の愛称情報が好き。

 

 変身前はふくよかな身体とおっとりした微笑みの持ち主です。その一般人然とした雰囲気の彼女が貴婦人の金属像魔法少女になるとは。ここの対応は初読時かなり意外だったんですが、クラスメイトは今更ミス・リールの変身前変身後ギャップについて触れたりしないので、ツッコミ不在で読んでいるうちにまあそういう魔法少女もいるか……って感じで慣れていってしまった。

 でも時々ふと我に返って、初めて変身した時自分の魔法少女態をどう思ったんだろうなとか、体育館とか教室に動く貴婦人像が居るのって学校の怪談になりそうだなとか思います。一般生徒からは魔法少女を認識できないようにどうにかなってたりするんでしょうけど。

 

 

 魔法少女育成計画「黒」はかつてなく所属陣営や派閥、推薦元部門等が入り組んだ物語なので、感想を書きついでに、魔法少女それぞれの陣営等について改めて整理していこうと思います。

 というわけでミス・リールについて開示されている情報振り返り。とはいえ、彼女は2年F組の中では開示されている情報が少ない方の魔法少女です。視点も無いですしね。

 そういう意味では(所属陣営が明らかなクラスメイト以外に、「邪悪な意思」とやらに与する魔法少女がいると仮定したとき)ミス・リールは怪しむ余地があると言えばあるんですが、ミス・リールが管理部門から推薦された魔法少女であるという点から、彼女の「黒さ」は幾分低く感じます。

 

 カナはテティから視線を外し、今度はミス・リールに向き直った。

「管理部門の長はラギ・ヅェ・ネントだ。これは間違っていないはずだ。偏屈で魔法少女嫌いの老人が魔法少女養成所に絡んでくるとは宗旨替えをしたようだな」*1

 

 まず読者視点として、ラギの名前がどろどろした邪悪陰謀に関連する状況を想像しにくい。そして推薦者が管理部門所属でありつつラギ本人ではないという仮定の上でも、管理部門はいわゆる窓際部門らしいので、派閥争いなり覇権争いなりに管理部門がいきなり乗り出してくる図はちょっと考えづらいです。

 しかしそれでもカナが言う通り、管理部門がこの魔法少女学級に絡んでいること自体がもう意外なので、なにがあってもおかしくありません。というわけでミス・リールはひとまず確白存在というわけではない……と思う。ひょっとするとbreakdownを経てラギさんに何かがあったのかもしれません。気になる。(初読時カナの発言からラギbreakdown生存確定か!?って早とちりしたんですがカナの情報って全然最新じゃないので生存確定でもなんでもないのに2週目で気付きました。悲しい)

 

 ただこれは完全に自分の印象の話なんですが、ミス・リールは白っぽい魔法少女な気もします。

 というか2班3班はだいたい職業魔法少女寄り存在なのでせめて1班くらいには出自が民間な巻き込まれ魔法少女が数人居てほしい。居てほしいか……? まあフレデリカも一般人が居るって言ってたので……。

 

 

 黒さについての話はこのくらいにして、ミス・リールの魔法「金属でできた身体の材質を変えられるよ」について。

 登場人物紹介カラーページでこの魔法を見た時の第一印象は……正直なところ、どう活躍するのかあまり想像がつきませんでした。身体の材質を変えてどうなるんだ……? 硬くなったりするのかな? とか想像してました。

 ミス・リールの材質チェンジが魔法の金属にも有効と知った時、魔法の印象がだいぶ変わりましたね! ライトニングの剣やアーリィの鎧という魔法的合金に身体を変化させられる、しかも激しく発光するなどの固有特性までコピーできる!

 それは……すごいことなのでは? 将軍の剣の欠片持ったら全身が洗脳剣素材になるんでしょうか? というアレはともかくとしても、「魔法の機械」の素材みたいなマジカルレアメタル的古代オーパーツ金属を物理的に増やせるって資源的価値がすごそう。ミス・リールの魔法の活用としての良さなんだろうかそれは……。

 

 魔法的金属に依らない部分でも、ミス・リールは裏山戦にて「――ナイス水銀!」*2に代表される活躍を見せていました。というか水銀すごすぎる。水銀リール丈夫だし有毒だしで便利だなあ! 「黒」の魔法少女はなんとなく防御面に秀でた人が多い印象があるんですが、ミス・リールもまたタフな魔法少女でしたね!

 将軍に全身バラバラにされるって普通の魔法少女じゃ当然即死ダメージなんですが、エピローグのテティからはなんと怪我人扱いされてないし、特に入院もしてないっぽいミス・リールさん。つまりバラバラにされたあとラッピーに回収されて普通に再生したんじゃないでしょうか。すごすぎる。安全のため常時水銀で居てほしい。

 なんというか前編ないし序章的位置づけであろう「黒」の時点でこれほどタフさを見てしまうと逆に不安になるんですが、「黒」はもう不安にならない魔法少女の方が……少ないので……程々に不安を抱きつつ待ちます。

 

 

 それではまいにち魔法少女で毎回一つ挙げてる「好きなセリフ」について。クラスメイトと仲良くなりたいカナに対する「仲良くなりましょう」*3が好きです。友達になろうね! って言って友達になろうとするフワッとしたやつ……!

 中学2年生くらいってまだそういう仲良しこよし文化ありましたっけ。個人的な記憶ではもう結構下火だったような。

 1班はどちらかというと女学生典型概念図みたいなコミュニケーションを取りがちなのいい。1班2班3班それぞれの集団に固有の色があるの「黒」の魅力だなあと思います。遠藤先生の書くいろいろなティーンの集団何回読んでもいい。

 

 

 好きなセリフに引き続いて、「好きなイラスト」を毎回挙げてたんですが、黒はイラストを複数持っている魔法少女がかなり少ないのでやめます。その代わりに「好きなちょっとした描写」についてを書くことにしました。

 というわけでミス・リールの好きなちょっとした描写について。「ミス・リールは表情固定で瞬き一つせず」*4というカナ評が好きです。

 表情固定瞬きなしの魔法少女ってだいぶ非言語意思疎通しにくいし怖い気がするんですよね……。その上でちゃんとコミュニケーション取れてるの、ミス・リール側の人の良さというか雰囲気の良さが大きそう。レクリエーションのバスケで誤審取られた時も無表情で激昂してたんだろうか。

 

 

  以上。ミス・リールとミス・マーガリートとレーテ様が並んでるところが見たい。絶対に高貴なので……。

  だーっと書いてみて3000文字弱くらいだったので、今回の字数基準は3000字にします。また明日。

 

*1:遠藤浅蜊;マルイノ.魔法少女育成計画「黒(ブラック)」(このライトノベルがすごい!文庫)(Kindleの位置No.1243-1246).宝島社.Kindle版.

*2:同 (Kindle の位置No.3514).

*3:同  (Kindle の位置No.1272).

*4:同 (Kindle の位置No.1319-1320).