すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

F2P13話感想

 

 F2Pの感想です。未単行本化エピソードの溜まってきたF2Pですが、3/23にめでたく2巻発売とのこと。柚木先生のTwitterによれば表紙が

 

 こんな感じだそうです。白背景だ! かわいい。

 ジューベとパペタさん、今のところあまりF2P内で痛い思いをされていない方ですがどうなるんだろう。少なくとも2巻表紙だと幸せそうです。

 魔法少女育成計画シリーズの表紙の中では一番健康的に性的(?)なんじゃないかと思うこの2巻表紙ですが、外伝だしこんなのがあっても楽しいなーと思います。帯を外すとジューベさんの太股で大変です。帯があって本当によかった。というところで色んな意味で大衝撃の13話感想。

 

 

  12話ラストから引き続き話題はセラセラの魔法について。扉絵は前話初登場のクリオさんです。「笑顔の時が一番危険」というのはクリオさんを指す……のかな。確かにこういう二面性のある人はどちらかというと凶暴性を見せてくれている時の方が取っつきやすいところはあるかもしれません。

 晶と馨の両親の死についてセラセラが「事故か何か」が原因では? と推測しているあたり、その二人の死に明確に『魔法の国』が関連しているとレジスタンスチームが判断しているわけではない……のかな。

 馨にとって「両親の記憶が奪われたこと」自体については(セラセラへの配慮がきっとあるとはいえ)気にしないと言えることであるからには、彼ら二人の『魔法の国』への根深い敵意の理由には両親の死とは更に別のものがありそう。複雑だ……。

 

 「私は最後まで2人についていく」「私は あの2人が望むことを手伝うだけ」と笑う水琴の笑顔には何とも言えないものがありました。水琴は自分がやってしまったとはっきり認識できない出来事に対して「最後まで」贖罪を続けるつもりでいます。

 前話感想で「馨と晶は両親の死と向き合うことが許されなくなった」という旨のことを書きましたが、それと同様に、セラセラは自分のやってしまった罪と具体的に向き合うことが永遠にできない状態にあるわけです。うーん……。

 それでも、「自分が壊した二人が壊れた思想で魔法少女を殺している」ということをほぼ黙認してしまっている水琴には多少首を傾げるところもあります。魔法少女達がばったばた死んでいることについて、水琴は本当に「私はあの2人が望むことを手伝うだけ」(だから魔法少女が死んでいる現状を止めるつもりはない)で終わらせてしまえるんだろうか。その辺りは小山内姉弟の「動機」が明かされていないからこその疑問なんだろうけど。

 

 水琴は小山内姉弟が凶行に走ろうとするのを説得して止めようとしたけど、そこで「二人のなかの何かが狂ってしまった」ことをはっきり実感して諦めてしまったのかなあ……等想像しつつ明かされたセラセラの魔法に眠る二つ目のエピソードにはまた驚かされました。彼女は小山内家の両親以外にもう一人、恐らく「F市における魔法少女試験官」の存在を消し去っていた!

 ということは、セラセラの魔法の発動条件的に考えてその試験官魔法少女は勝手に死ぬか殺されてるかしていることになります。事故であれ何であれ試験官が死ぬタイプの魔法少女採用試験にはキナ臭い匂いしかしませんね!

 死んだ試験官と言われて想像するのは勿論「森の音楽家クラムベリー」です。彼女のシンパが殺し合いを企画してF市魔法少女に返り討ちにあった……というのは短絡的な想像ですが、しかしF市の魔法少女については、魔法少女になるにあたっての経緯にまで何かとんでもなく重い過去が埋葬されている可能性が高そうです。

 

 ところでこれ、セラセラの魔法は多分「魔法少女」名義でも通用しうるわけですよね。怖いなぁ……。という怯えはともかく、「生まれた時から魔法少女だったということになってるんだ」という台詞すごく異質で良い……。

 『魔法の国』の人造魔法少女については何とも言えませんが、そんな地球産魔法少女が居る訳がありません。「魔法少女に選ばれるための試験」の存在を、多種多様な魔法少女を通してよく知っている魔法少女育成計画読者にとって、この台詞の異常性はすさまじい。このコマ、平然と三人しかいないのでもう晶さん魔法少女説は諦めたほうがいい気がしてきました。立ち位置が微妙に不自然なので吹き出しの裏にもう一人いる可能性に縋りたい。冗談です。でも晶さま人間だったらジェリーマリーを一人で追っかけてた時普通に何するつもりだったんだろう、ジェリーマリーがガン逃げ方針だから良かったものの戦う気満々だったら危険行為どころの話ではないような……という辺りはまだ疑問点。

 

 

 そんなこんなで場所は人事部門に切り替わり登場するはクリオと吉岡です。吉岡。吉岡ーー!?

 ウワーッこれについては完全に予想外でした……。出るとしてもピティ・フレデリカの状態での登場かと。いやピティ・フレデリカが出る可能性についてもあんまり考えて無かったんですが。

 これQUEENSを読む前にF2Pを手に取って読む人がもし居ると、仰々しく登場したけど吉岡誰?ってなるのが確実なのですごい。いやでも明らかにQUEENS後に読むことを言外に推奨されてる外伝こと魔法少女育成計画F2Pなのでこんなこと言うの今更かなぁ……。まほいくをリアルタイムで追い損ねると色々難儀する前例色々あるし本当に今更か、、QUEENSを読まずにF2Pで吉岡誰? ってなる人、Vシリーズを読まずに四季を読んだ結果「瀬在丸紅子と申します」でエッ誰……? となるようなものだけど多分きっとそれはそれで楽しいんじゃないかな。これは魔法少女に一切関係ない雑なまとめです。

 

 

 F2Pになんとびっくり吉岡さんが登場しましたが、それでも個人的にF2PはQUEENS以後の物語ではないんじゃないかなーと考えています。

 人事トップが三賢人の現身の暴走を阻止し、下手人不明の状態で壮絶に殺された後の物語と考えるにしては人事部門の空気があまりに穏やかですし。1年前(QUEENSが秋の物語なので、QUEENS近辺にF2Pを置くとF2Pの一年強前はlimited事件(11月)が起きる直前から起きた後にあたるはず)に人事部門の魔法少女が「魔法少女名鑑」ごと行方不明になったという事実がある中で、推定当時人事トップのプフレがそれを放置するか? というのは結構疑問。「人造魔法少女育成計画」に携わっている人としては、探して見つかりませんでした、で済まされないような重要度の本だし……。F2PがQUEENSから一年以上経ってのかなり未来の物語だとすると、本編で予定されている「スノーホワイトの物語」にガッツリかちあいそうです。

 

 しかしながら、もしQUEENS以前に吉岡という名前の存在が魔法の国の人事部門に介入していた場合、QUEENSでプフレが吉岡を認識して何かのアクションを起こしうる(厳密には吉岡とプフレは接触していないのですが、いつでも遭遇しうる場所に吉岡が現れているということ自体がおかしくなる)わけで。

 「過去時間軸の人事部門に吉岡が居る」というのが通りやすい形でぱっと思いつくのは「ピティ・フレデリカ」が人事部門に関係していたことは事実として残っていても、「吉岡」の存在は人事部門の記録に残らなかった……というあたりかなぁ。ただ何故人事部門に籍のあるフレデリカが人間体でクリオに接触する必要があるのかとかそういう辺りは謎になってしまいます。それを言い始めると吉岡がなぜ吉岡としてカスパ派に居られてるかとかそういう辺りも謎だし吉岡は謎だらけなんですが……。

 

 でももし吉岡がF2P当時の過去に吉岡していた経験があるのなら、カスパ派に吉岡が居たことについての唐突感が多少薄れてありがたいかなぁ。魔法少女大戦の中で人間してるの、変身すると顔が割れて詰むとはいえぶっつけでやるにしてはとんでもなく危険なことですし。いやあ吉岡の外見年齢が曖昧な辺りが時系列推測の手掛かりに一切ならなくて楽しい。楽しいか……?

 

 

 吉岡についての疑問は尽きないのでともかくとしまして、次なる場面は人事にやりこめられたジューベさんとそんなジューベさんに冷や汗を垂らすパペタです。ここでパペタがジューベさんのごくわずかな表情の機微が読み取れる人であるということが明らかになりました。あぁー……。

 ううっとてつもなく嫌な予感がする。こういう繊細で丁寧な人間関係の掘り下げの先に何があるのかはあんまり考えたくない。ので監査からかかってきた電話の話ですが、やっぱり監査にとってウェン教授は強制的に排除したい程度にはウィークポイントなんですね。F市内に監査にとって見つかりたいものがあることをはっきりとは理解しないまま、それでも微妙に嗅ぎつけて「結界も用意しておいたほうがいいか」等と動き始める人事はやっぱり一筋縄ではいかない人達だ。

 

 最後の最後で下崎さんを確保した何者かは、果たして監査由来の人なんでしょうか。いやにのんびりした喋り方の誰かに下崎さんは呆気なくひっ捕らえられます。本当振り回されてるなこの人……

 いやーついに強行的に踏み込まれましたが、やっぱり捕虜を適当に出歩かせてるレジスタンス側は脇の甘いところがあるように思います。ここからどうなるのかなーというあたりで13話感想おわり。

14話は3/14更新なので今日です。わーい楽しみ。以上。