すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

breakdown3話感想

 

 ぼーっと過ごしていたらなんだかんだで質問の締め切りが近付いてきてますね。そろそろ真面目に考えなければならない。

 前回の質問コーナーに数個送った質問の中には、庚江と護が大学で何学部所属なのかを聞いてるものがあったなぁと思うと時代は流れるものです。女子大生人小路庚江がいない現実(ACES初版でのかのまもは唐突に女子大生を自称しており、しかもそれが(かのまもだけを切り取れば)JOKERSの時系列次第でギリギリ矛盾なく成立していたんですがACES2版で女子高生に無事(?)修正されアッはいそうですよね……となった現実)と向き合ったのでもうその質問はしません。

 それはそれとしてbreakdown3話の感想です。3話超絶面白かった……!

 毎月遠藤先生の文章を楽しめているの幸福すぎる。breakdown&F2Pの定期投与が無くなった時の飢餓酷そう。今から備えなければ、、というあたりでやっていきます。筆が滑ったのでちょっとかなり長いです。

 

 

ミス・マーガリート 

 

  3話は統太くん視点からのスタートでした。そしてほぼマーガリートさんの掘り下げ回でした。マーガリートさん成分超高かった!

 マーガリートさんと統太くん二人による、島を訪問するための準備パートは非日常に足を踏み出す一般人少年感があってワクワクしました。導入のおばさんが魔法少女だった! という発覚のあたりとか。魔法の世界に初めて触れる瞬間は素敵です。

 甥である統太くんのことを思いやるベテラン魔法少女ことデスプレイアさん……彼女は彼女でいつ死んでもおかしくないような仕事をしているっぽいのが緊張です。一般人の統太くんが魔法使いの遺産争いに乗り込むのは、彼女が自分の死後(仮定)もなお統太くんの無事を願う気持ちがあってのことだったらしい。いい人だ。

 

 統太くん視点で明かされる彼の来歴はわりと重かったりもしましたが、マーガリートさんとのタイマンではほのぼのとした会話が見られてよかったです。マーガリートさんがコスチュームで家にやってきたのは直前で変身したのか、それとも何らかの手段で魔法少女状態でも人の目を逃れる術を持っているのか。

 仮にも先輩であるらしいデスプレイアさんにザリガニ押し付けて高いクッキーたらふく買わせるマーガリートさんはほどよく性格がいい感じで大好きです。マーガリートさん周囲の魔法少女関係、大体が『魔法の国』で長いこと活動してこられただけあるベテラン魔法少女で構成されてるだけに、一筋縄でいかなそうな魔法少女が多くてうれしい。

「求められているものは与えられる範囲で与える。マーガリートはいつだってそうしてきた」という彼女の独白、ほんとめちゃくちゃいい人っぽいなー。監査には基本善性寄りの人が多い気がします。人事は本当に何なんだ……? 監査と人事はあまり仲が良くないと言われてたのも頷けます。

 

 

 島に入ってからの統太くんとのやりとりはいよいよ保護者感出てて微笑ましかったです。移動中もずっとこういうノリでやってきてたんだろうか。仮弟子の統太くんと絆が深まっている。

 ここで統太くんはマーガリートさんの導きでラギおじいちゃん・ナヴィさん・アグリさんと簡単な挨拶を交わしました。魔法使いに挨拶をしていく傍ら、お付きの魔法少女に対してマーガリートさんが色々な評価を下していくのが興味深かったです。アグリさんがサタボーンの血を引く統太くんに強く興味を惹かれてたのは、彼女の出自を思えば不穏と言えば不穏……なような。

 マナさんご一行とマーガリートさん&統太くんの遣り取りについては大体後述。しかしほんとに羽菜さんを教育してたんだこの人! すごい!

下剋上下克上羽菜の師匠」という背景を持つ彼女は、新登場魔法少女の中だと一際本編登場魔法少女との距離が近いですね! マーガリートさんの戦闘シーンが見たい気持ちが更に高まりました。絶対格好いいもん……。

 

 そして残す魔法使いはイオール。「られ子」「マイヤ」という二名の魔法少女を伴っての登場です。2話で「深層の令嬢」が来ると言われていましたが彼女がそれっぽいですね。明らかに何もかもがゴージャス。実際金持ちっぽい。マナさんとの立場差どれくらいあるんだろう。

 

 純粋そのもののような天然寄り小学生(外見年齢)魔法使いことイオールちゃんも気になるのですが……初読時自分はマイヤさんのことで頭がいっぱいでした。マイヤ! 魔王塾主催地獄サバイバルでの上位陣魔法少女リストの中には確かにその名前がありました。まさかこんなところでの再登場とは!

 マイヤさん、サバイバル上位者の名に恥じない強者魔法少女っぽくて胸が高鳴ります。かなりいい性格してるっぽいのもいい……新機軸主従魔法少女嬉しいかわいい早く何かしらを鋼鉄のステッキでぶん殴ってほしい! 人間体がスーツの四十代女性っていうのも大好きです。魔法使いの乳母をしてる魔法少女素敵だなぁ。

 

 

 そんなマイヤさんとマーガリートさんがわいわいやってる間に、別室で統太くんとイオールちゃんによって繰り広げられてたマジバト関係トークも読んでて楽しかったです。遠藤先生TCGの素養もあるみたいで、なるほど引き出しの広さに応じた多趣味さだなあと改めて。あとちらほら他魔法少女関連の小ネタが挟まっててくすりとしました。

 マジカルバトラーズ、縮めてマジバトはこれまでも短編等でちらほら存在が匂わされていた単語だったので、ここで登場しておっ! となりました。小学生に人気とのことですが、小学生魔法少女の面々はマジバトプレイヤーだったりするんでしょうか。

 テンペストは「ビーチのお姫様」にてマジバトに言及してたのでがっつり遊んでるっぽいですが……スイムはどうかな。のっこちゃんには金銭的余裕が無さそうなのがつらい。アンブレンの私生活は何もかもわかりませんが意外とマジバトで遊んでたりするかもしれませんね。

 

 さてそんなこんなで話は飛んでラストシーン、魔法少女の強制変身解除システム(!)でマーガリートさん人間体がロングTシャツにスキニー姿の20代後半女性であるということが発覚しました! わーっ思ったより若かった! 彼女の来歴的に考えると、わりと年若い頃からミス・マーガリートとして魔法少女をやっていたのかもしれませんね。

 冷静な眼差し、油断の無い雰囲気。ああ好きだ。ぜひともお名前が知りたいです。

 

 

パステルメリー

 

 シェパーズパイを寝込ませてしまった要因の一人であるところのパステルメリー。2話での大騒ぎを経て一応チェルシーと一緒に真面目に仕事をしてくれてるみたいです。とりあえずまだお客さんにお茶ぶっかけたりしてないみたいでよかった。

 何をするにもソツがないマーガリートさんや魔法使いの乳母をやってたらしいマイヤさんなどと比較すると可哀想なくらいには、バイト魔法少女二名の仕事は覚束ない感じでしたね。まあ非正規雇用魔法少女ですから……。ほんとシェパーズパイさんの引きが悪すぎる。ただメリーに輪を掛けてチェルシーがアレなので、メリーがかなり頑張らなければならず心労等々で「今にも死にそうな様子」になってるっぽいです。生きてほしい。

 

 チェルシーがクッキーを食べないか警戒するメリーかわいい。既にチェルシーへの信用が0に近いように見えるんですが真っ当な評価だと思います。案の定更なる破壊行為をやってるし!羊に乗って駆けてたメリーは、事態が事態でなければほのぼのかわいいんですがね……。

 ラストシーンで発動した強制魔法解除が館の外にまで及んでいるのかはわかりませんが、もしそうなら次回以降で彼女の変身前が拝めたりするでしょうか。結構楽しみです色々。

 

ドリーミィ☆チェルシー

 

 シェパーズパイを寝込ませてしまった要因の一人であるところのドリーミィ☆チェルシー。前回ほどの大暴れはなかった彼女ですが……いや果たして本当にそうだろうか……今回も見せ場一杯ですさまじかったですね。

 視点を持った瞬間に地の文一つ一つでドリーミィ☆チェルシー感を積み上げてくるのすごい。なんかチェルシーさんは仕事ちゃんとやってる雰囲気出してますがお客様側の評価酷かったんですけど……。

 しれっとパステルメリーを舐め腐ってるっぽい描写が挟まれたのもいい。なんかもう地の文台詞一つ一つが輝くクズで素晴らしい。34歳まで働かずに生きてきたことへの説得力がどんどん深まっていく。そして何かアクションを起こせば大体悪い方向にことが運ぶのもすごいですねチェルシー

 

 一回床をぶっ壊しておいて、もう一度学習せずに魔法少女のパワーで壁を破壊するという最高に最悪な言動は素敵です。やらかす直前に「心配ご無用! ここはドリーミィ☆チェルシーにお任せよ!」とかキメ台詞打ってるのがすさまじすぎる。

 そして壁は壊れ、チェルシーは落下し、メイは逃げ、メリーは呻きました。ここで逃走するメリーを乗せた羊にあっという間に追いつき追い越せるチェルシーはやっぱり身体能力高い人っぽいなあ。お母さんの教育の賜物なんだろうか。この何もかもにやる気ない感じの人に運動の訓練付けるの至難の技な気がしますが。

 

 もしかしたら彼女による館大破壊がきっかけで強制魔法解除システムが作動したのかもしれません。多分今寝込んでるシェパーズパイさんも彼が魔法使いである限り他魔法使いと同様に苦しんだでしょうから、つくづく酷い目に遭い通しだなー! これで実際にチェルシーが事件の原因だったらもう泣きっ面に蜂どころの問題ではない。

 そんなこんなのあれこれを全部クッキー泥棒(クッキー泥棒ではない)に押し付ける気満々のチェルシーほんとこのもう! 無理があるでしょ! この人場合によっては屋外でバスローブ状態になるんですかね……? そうだと七谷さんより大変なことに。

 

らぶみー恋々

 

 2話で散々怖い思いをしたので相対的にすごく安心して読めた恋々パートでした。いや恋々の怖い描写が無かったことは安心だったんですけど、起きた出来事的にはすごく緊張しました! ゆるーく全員集合感が漂ってたところに突然異常事態が発生するの怖い。ラギおじいちゃんが倒れた時はいよいよ第一犠牲者かと思ってすごく慌てました。おじいちゃん生きててよかった。

 何かしらことが起きた時、すっとアグリを庇うように動く恋ネフィの二人素敵だなぁ。倒れ込むアグリを抱きとめる恋々でしたが、彼女もすぐに魔法を解除されてしまいます。「違和感があった。誰の声だ、と思い、しかし自分の声でしかない」という描写が地味にツボ。魔法少女の変身前変身後で声色が顕著に変わるの、かなり好きなまほいく魔法少女の設定なんですよ! 読めてとてもとても嬉しいです。

 

 さて産毛の残った腕という限りでは恋々もとい怜ちゃんの細かい年齢はわかりませんが。でもとりあえず年若そうではあります。恋々が小学生魔法少女だった場合、クラリッサちゃんも地味に小学生魔法少女だったようなのでお友達ですね。がんばってほしい。

 

ネフィーリア

 

 今回のネフィーリアはかなり大人しめでしたね。相変わらず視点が無い。マーガリートさん視点の描写を見る限りまた恋々に窘められたりなんなりしているようです。

 マーガリートさんがアグリさんにデレデレする統太くんに(こっそり)鼻を鳴らしたのを見抜きすかさず笑う描写が好きです。わりと人をよく見ている……。なんだかんだでネフィーリアは笑顔シーンの多い魔法少女ですね。立ち絵が困り顔なので笑顔な彼女の想像がし辛いんですがきっといい奇怪さで笑うんだろうな。

 

 さてそんな彼女の人間体は……なんとなんとなんと女子高生!「高校生くらいでブレザータイプの制服を着た女の子」……びっくりでした。ネフィーリア人間体、あまり想像したことなかったけどネフィーリアに雰囲気の似た暗めの子かとぼんやり思っていた。「太めの眉、薄く染まった茶色の髪を背中にかかるくらいで切り揃え、唇が光っている」という描写を読む限り、どちらかというと明るそうな印象を受けます。

 今回明らかになった人間体ラッシュの中では一番ネフィーリアの正体が驚きだったかな。魔法少女化が解けてしまった怜ちゃんを見て笑ったのは恋々の正体を面白がっていたんだろうか、それともこの状況そのものを楽しんでたんだろうか。こんな緊急事態でもなおわりと楽しそうにしてる彼女は享楽主義感が漂ってていい。

 何はともあれネフィーリア状態よりは会話が可能なのかな、だったらいいな……なネフィーリア人間体と怜ちゃんがどんな会話をするのか今から楽しみです。あとふたりの年齢差とか知りたい。

 

再登場魔法少女たち

 

クランテイル&ラギ・ヅェ・ネント

 ついに……ついにクランテイルの登場です! ああ描写の一つ一つが心躍る。「今」のクランテイルを見られることがこんなに嬉しいとは思わなかった。この無人島が危険な場所でなければもっとほのぼのと嬉しかっただろうな……。

 同じ魔法少女から「異形」と呼ばれてるクランテイルさん普通にぞくぞくする。非人間度の高いビジュアルの魔法少女が大好きです。

 

子供達であるという背景を抜きにぱっと見で踏んだだけでも魔法少女としての強さが滲む。佇まいに隙がない。統太から受け取ったお土産のお菓子を捧げ持ち。ただ立っているだけなのに周囲の警戒を怠っていない。

という描写はクランテイルの成長を感じさせる……ような。ただ内心が緊張と不安でいっぱいでも冷静にリーダーをやっていると評価されていたクランテイルさんなので、今回も周りを警戒しつつこっそりお菓子のことを考えていたりもするかもしれません。

 クランテイルはただただいい子なんですが、子供達に弟子を殺されたマーガリートさんには子供達レッテルでわりと警戒されてるのが悲しい。そういえばクランテイルの試験はどんなものだったんだろうなあ。クランテイル視点がとても読みたい。

 

 ラギおじいちゃんがラストシーン以前からぐったりしてるのはどうしたんだろうか……。恐らく一番魔力が高いだけにいち早くぶっ倒れたおじいちゃんに肩を貸しつつも変身が解けて倒れ込む寧々ちゃんかわいい。そういえば変身前はわりと貧弱っぽい子なんですよね。

 

 7753&テプセケメイ&マナ

 そしてマナさん7753メイの三人について。ここのチームについては初読時パジャマ姿の七谷小鳥さんが全部持って行ったところがあります。緊迫した空気の中にどうしようもない笑いを混ぜ込む遠藤先生の文章が大好き。

 にしても7753はなんというか……7753! でも泊まりになるならパジャマを着こんで行けば荷物が少なくて便利ですねって馬鹿!

 まあ人前で変身解除するなんて想像もしてなかったでしょうし不意打ちでかわいそうかわいいなぁとは思うんですが、他の人達が一応外に出られる格好をしてるだけに一際目立ってしまうこの不憫さ。れっきとした人事部門所属歴7年強のベテラン魔法少女なんですよねこの人……でも7年サラリー魔法少女として生きてて魔王パム知らなかったんだよなこの人……。

 

 一方でマナさんの方は羽菜さんの師匠であるマーガリートと遭遇して色々やりとりしてました。多少大人びた、と言われていたのはやはりlimitedによる精神的な成長によるものかな。それにしても「意地っ張りで怒りっぽい少女」「根はいい子なんだ」とか言われてるあたりはまだまだ子供という感じ。羽菜さんにマナのかわいいところをのろけられてたりしたことも過去にはあったのかな。

 羽菜はマーガリートの弟子の中でもピカイチで優秀な魔法少女だったが、優秀だからといって魔王パムが死ぬような戦場で生き残ることができるわけではない。むしろそんな場所で生き残ったマナの方が余程異常なのだが、それはきっと羽菜が成し遂げたことなのだろう。羽菜の師匠という言葉を口にした時のマナの表情、それを聞いた時の7753の反応が物語っていた。

 ちょっと話は逸れますが、個人的にこの描写が3話で一番好き。魔法少女の死が生存した魔法少女の心に確かに残っているということを読める描写には毎度胸を打たれます。羽菜さんの脱落シーンは今思い出してもぐうっと来る。

 

 そしてメイ……は今回においてはわりと通常運転。多分彼女が持ってたのはマナ宛のクッキーなのに、厨房に置いておいたシェパーズパイさん宛のクッキーを盗んだと勘違いされて追っかけられてました。

 クッキー持って逃亡する彼女はかわいいんですけど、変身解除魔法が島全体に行使された場合一番ヤバいのはまず間違いなくメイです。エジプトリクガメは結構小さいので見つけるのも至難の業な気がする。そもそもメイでの飛行状態から変身解除して無事で済むのかどうかとか……怖い。元気にしててほしいですね。

 

 

 こんなあたりで感想は以上。次回はもうちょっと……簡潔に端的にこう……やっていきます。