すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女108日目:サリー・レイヴン

 

 本日のまいにち魔法少女です。ナンバーは13。サリー・レイヴンでした。

 ここに来ての「サリー」という名前の魔法少女登場には緊張してしまう。以下感想。

 

 

 サリー・レイヴン。3班所属の広報部門職員な魔法少女です。広報部門!!!

 広報部門、だいぶ昔から名前が出ていたものの全然スポットライトが当たらない部門だったんですよね。謎多いといえば多い。

 広報部門の職場は、「監査部門の妖精」においてフィルルゥに「外交部門の重々しい雰囲気とは違って華やかで、フロアを行きかう人々もまるでモデルか芸能人かという光景 *1 」とか評されています。ただでさえ魔法少女って華やかなのにそれに輪をかけて華やかっぽい。

 そんなキラキラ部門からやってきたサリーは、普段どういうお仕事してるんでしょうか。キューティーヒーラー20周年に出席してたのは一職員としてのことだったのか、それともその時点で既にオファーが来ていたのか。

 

 そう……キューティーヒーラー! 嘘予告このライトノベルがすごい!文庫 スペシャルブログ : 『魔法少女育成計画「黒」』16人+αの魔法少女たちから匂わされてはいましたが、サリー・レイヴンはキューティーヒーラー関係者です!

 でも嘘予告時点で想像していたよりはずっと遠い関係者だった。次期アニメ内定者くらいだろうかと思ってたんですが、「来々期かその次かその次くらい *2 」……。この物言いの実現しなさそう感がすごい。

 ここを読むと、サリーはキューティーヒーラー参入を餌にうまいことおだてて釣られていいように扱われてないか心配になります。キューティーレイヴンは格好いいので実現してほしい。本当にアニメ化することになったらサリー・レイヴンからキューティーレイヴンに改名するんでしょうか。(もし他のキューティーヒーラーもアニメ化に際して改名しているのなら、あのダークキューティーにもダークキューティー以前の名前があったりするんでしょうか。あと双子星キューティーアルタイルは恐らく二回改名してることになって笑う)

 

 彼女の魔法は「カラスの使い魔を作り出せるよ」。アニメ向き……かどうかはちょっとわかりませんが、マスコットキャラクターを自産できる点では有用かもしれない。

 この「カラスの使い魔」は戦闘でも活かされていました。模擬戦では他魔法少女の妨害を入れたり、裏山戦では強烈に発光して光に弱いホムンクルスにダメージを与えてたり。強烈に発光……?

 自分は当初この魔法はそんなに自由度高くないのかな? とぼんやり思っていましたが、カラスを光らせたりできるのなら、結構自由な改変をカラスに加えられるのかもしれません。パステルメリーも羊と嘯きながら鮫羊を生産したりしてたことを思うと、サリーも我の強さ次第ではカラスにあれこれ追加属性を付与したりできる可能性が……ある。

 あと「カラスの使い魔」という魔法を考えた時気になるのは、複数体作り出せるのか、「カラス」の縛りがどれくらい強いか(これは比較対象にしてはいけない例ですが、魔王パムにとっての「黒くて大きな羽」部分の縛りは無きに等しいです)かなあ。これは一応魔法について虚偽申告してないと仮定した時の話です。サリーは過少申告しやすい魔法持ちだとは思う。

 

 

 本人がカラスをお供にアニメ化されるかどうかはさておき、サリー・レイヴンはキューティーヒーラー強火オタクです。これまで登場したキューティーヒーラー強火筆頭といえばやはりダークキューティーでしたが、サリーはサリーで一見寛容そうに見えてしまうだけたちが悪いというか……。

「プシュケ。世界には二種類の魔法少女がいるの。一つはキューティーヒーラーが大好きな魔法少女。もう一つはキューティーヒーラーの素晴らしさをまだ知らない魔法少女*3 

 これは……恐らく、多くの人にとって魔法少女育成計画「黒」での印象的なセリフの一つだったのではないでしょうか。かく言う自分も大好きです。この現実世界も魔法少女育成計画が大好きな人間と魔法少女育成計画の素晴らしさをまだ知らない人間に二分されることですし。汎用性が高い。

 

 

 さて、そんなこんなで一通り読む上では、サリー・レイヴンは3班の唯我独尊なライトニングに唯一ちゃんと対話で意思を汲み取ろうとしたり、卒業できるかを心配してプシュケに根回ししたり、要領よくも可愛らしいキューティーヒーラーオタクなんですが……。

 ただ一点において、サリーはちょっと……不思議なんですよね。

 

「本当、なにがなんだか……プシュケは吹っ飛ばされてどこかにいっちゃうし、ライトニングはやめろって言うのも聞かずに燃費無視して全力で戦ったもんだから気を失っちゃうし……ランユウィと出ィ子とは分断されて、……そっちはどうなってんの?」 *4 

 

 裏山戦での、気絶したライトニングを背負ったサリーのセリフ。これ、これは……。

 サリー・レイヴンの言う通り、確かにプリンセス・ライトニングの燃費は悪いです。それはQUEENSにおいての、

 

「デリュージ。君は燃費が悪いからそこまでにしておきなさい。薬を接種すれば済むと考えているのなら大きな間違いだ」 *5

 

 というプフレの言葉からも明らかになっているように、人造魔法少女自体の燃費が天然魔法少女と比べてよくないのです。パワーアップすると魔力≒薬の消費も加速するし、力を使い尽くすと変身の維持自体が難しい。

 対して、現代の天然魔法少女では、基本的に魔力不足による魔法の打ち止め描写はほぼありません。燃費という単語がほとんど全く話題に上がらないほどに、天然魔法少女達は「燃費が良い」のです。その点において人造魔法少女と天然魔法少女は大きく違います。

 

 そう考えると、ライトニングの燃費は実際悪く、サリーは何も間違ったことを言っていない。いないんですが……プリンセス・ライトニングが人造魔法少女という推定事実は、読者にとっては常識であっても、2年F組においては全く常識ではないんです。

 

 身体能力任せではない訓練された戦闘技術だった。宝石を額に当ててから急に動きが良くなったのは強化の魔法かなにかだったのか。 *6 

「ああ、なるほど。誰かに借りた魔法のアイテムによる電撃で、自分自身の魔法は別にあるんだとすれば矛盾は無いと」 *7 

 

 このあたり。2班ではプリンセスジュエルを冠する人造魔法少女の特徴、特性を知っていれば出てこないような独白、仮説がぽんぽん飛び出しており、誰もそれに異を唱えません。外交部門職員のアーデルハイトも、人造魔法少女の特性についてはよく知らない様子。

 2班と比較するとより一般人性(?)が高い1班では、ライトニングの正体や不思議さについて特に言及もされていません。アーリィはライトニングについてデリュージから何かしら伝えられている……かもしれませんが、少なくともその情報が共有されている様子はありません。

 

 そんな情報レベルの2年F組において、なぜサリー・レイヴンだけが明確にプリンセス・ライトニングの、人造魔法少女の特性を知っているのか。

 広報部門の内情が一切明かされていない(三賢人のうち何派寄りなのかもわからない)ので、そこに根拠ある予想を立てることはできません。少なくとも言えることとしては、彼女がプリンセス・ライトニングの燃費が悪いことを知っているのは決して当たり前のことではないというだけです。

 この辺と絡めて、広報部門およびサリー・レイヴンについてもっと知れたら嬉しいです。人造魔法少女がアニメ化予定だったりしたら微笑ましいな。天然魔法少女と比較するとかなりビジュアルが揃うのでとてもアニメ映えしそう。

 


 さて好きなセリフ。「プシュケ。世界には二種類の魔法少女がいるの。[……]」がそりゃもう一番好きなんですが、上に書いたので別のものにするとして。

 模擬戦でミス・リールをうっかり攻撃して失格になったサリー・レイヴンの、「いやいや姫さんのご所望でねえ。なんでか柄にもなく張り切っちゃっていてねえ *8 が好きです。「柄にもなく」いいな。普段のレクリエーションではそんなバリバリやる人じゃなかったんだろうか。

 

 好きなちょっとした描写。

 なにせ相手は目立つ。プリンセス・ライトニングという人外の美形がいるためクラスではまずまず埋没しているが、変身前のサリー・レイヴンは読者モデルをやっていたといわれても「ああそうだろうね」と思う程度には見目が派手だ。瞳は大きく形の良い鼻はつんと高い。ライトニングと話している日常の一枚絵は、同性の目から見ても保養になる。 *9 

 これ。この顔の良さについて書きそびれましたが、人外的に顔が良い人と人間的に顔がいい人良すぎる。目の保養図見てみたい。

 

 以上。自分にとって次巻以降の情報公開が一番気になるのはサリーかもしれません。また明日。

 

 

*1:遠藤浅蜊;マルイノ.魔法少女育成計画episodesΦ【電子版あとがき付】(このライトノベルがすごい!文庫)(Kindleの位置No.2160-2161).宝島社.Kindle版. 

*2:遠藤浅蜊;マルイノ.魔法少女育成計画「黒(ブラック)」(このライトノベルがすごい!文庫)(Kindleの位置No.2921).宝島社.Kindle版.

*3:同(Kindleの位置No.2935-2936).

*4:同(Kindleの位置No.3369-3371).

*5:遠藤浅蜊;マルイノ.魔法少女育成計画QUEENS【電子版あとがき付】(このライトノベルがすごい!文庫)(Kindleの位置No.2915-2916).宝島社.Kindle版.

*6:遠藤浅蜊;マルイノ.魔法少女育成計画「黒(ブラック)」(このライトノベルがすごい!文庫)(Kindleの位置No.2285-2286).宝島社.Kindle版.

*7:同(Kindleの位置No.2403-2404).

*8:同(Kindleの位置No.1578-1579).

*9:同(Kindleの位置No.2892-2895).