本日のまいにち魔法少女です。
今日はアーク・アーリィ、ブレイド・ブレンダ、キャノン・キャサリン、ドリル・ドリィについてです。
あまりにもひとまとめすぎないだろうかと自分でもちょっと思いましたが、 しかしこの人造魔法少女たちについては、授業中のドリィを除いて視点描写があるということもなく、登場シーンもとりわけ多いというわけでもないので、今回は4人を1エントリにまとめることにしました。
まあ前回の「黒」でも4人まとめてたので……。(後記‥今回その結果愚かにも異様に長いエントリになりました)以下感想。
アーク・アーリィ、ブレイド・ブレンダ、キャノン・キャサリン、ドリル・ドリィ。トランプ兵達はシャッフリンシリーズ、ティアラ持ちはプリンセスシリーズと呼称されていますが、このタイプの人造魔法少女はどう呼べば良いんだろう、アルファベットシリーズとかかなあ……でもそれだとフランチェスカが入ってくるんだよな……というのを前も悩んでいたような気がしますが、この度ピティ・フレデリカ視点で「ABCDシリーズ」と呼ばれているのが判明しました。ABCDなんだ。E以降は居ないのかそういう呼び方ってだけなのか。
というわけで実験場をルーツとするABCDシリーズの4人なんですが、とはいえ活動してる場所がだいぶ違うので、アーリィとドリィの2年F組側、ブレンダとキャサリンのデリュージ側にパートを分けて書いていこうと思います。
アーク・アーリィ、ドリル・ドリィ
まずは2年F組側について。この2人はクラスメイトなのでカナの魔法少女評があります。
アーク・アーリィは「破壊力♡4、耐久力♡5、敏捷性♡3、知性♡1、自己主張♡2、野望/欲望♡1、魔法のポテンシャル♡3」。顔を晒しているのでやはりと言うべきか、魔法少女育成計画オフィシャルファンブックでの「アーマー・アーリィ」のプロフィールでは書かれていた嫌いなもの「鎧の下を見られること」が「理不尽な暴力」に変更になっていたのが印象的です。嫌いなものを克服してる!
アーリィはABCDの中でただ一人武器や固有魔法要素+人名という記号的な命名則から外れようとしているところを見ても、ABCの中では抜きん出て個性や人格が育っているような気がします。当時は鎧の下を見られることが苦手だったけど、精神が発達するにつれて平気になってきたのかな。
理不尽な暴力が嫌いなのは大体みんなそうではと思わなくもないんですが、それだとクラス生活で始終ドリィにずっと小突かれたりしてるのはだいぶ嫌なんじゃないだろうかこれ。
ドリル・ドリィの方のパラメーターは「破壊力♡5、耐久力♡2、敏捷性♡4、知性♡2、自己主張♡3、野望/欲望♡2、魔法のポテンシャル♡2」です。実験場が好きで研究部門が嫌いというのはシンプルでいい。実験場のことを「魔法の国が誇る最強無敵の研究機関」*1 と呼んでる辺りに誇りと敬意がにじみ出ている。こうして見ると攻撃極振りみたいなパラメータですね。微妙にひねてるようでいて学校のレクリエーションは普通に好きなのも可愛い。
短編「夜に翔ぶ少女達」では、テティから「走ることが得意とはいえず」と評価されていますが、しかしドリィの敏捷性は♡4です。その時のドリィが爪を隠すような立ち回りをしていたのか、ドリィの敏捷性は走る速さなどとは違う形で発揮されているのか。
ちなみに同じシーンのテティによるとアーリィはクラス内の走る速さは最遅かブービーという様子らしい。敏捷性♡3あってそれというのは、改めて2年F組の基本的な戦闘能力の高さを感じます。ポスタリィみたいな本格的に身体能力が低いタイプの人が存在しないと言っていい。
さてこの2人は同じクラスメイトとして学校に通っており、同じシリーズの人造魔法少女ではありながら、内部的には若干異なる魔法少女であることが今回明らかになっています。それでもまだ謎は多い存在なんですけど……。
ABCDシリーズと呼称される人造魔法少女群は一体どういう存在なのか。それを読むにあたって特に興味深かったのがドリィ視点でのカルコロの授業です。
人造魔法少女について紐解く前段階として、そもそもホムンクルスとはなんぞやというところがカルコロにより教示されます。
「現在、主にホムンクルスと呼ばれている個体は黒く流動的な構造の個体」*2 という説明は概ねこれまでの印象通りですが、「白」で別に黒っぽく流動的にもなってない中学生たちが続々とホムンクルス化している現状を思うと、それ自体ももう古い定義でしかないのでしょうね。
ゴーレム術式から発生し、近代に生み出されたというホムンクルス技術。ドリィ曰く、人造魔法少女はそれとルーツを同じにしているようです。
人造魔法少女とホムンクルスは、いずれも「三賢人の現身」システムの模倣を目指して生み出された技術だ。魂を現身に移し替えて事実上限りない寿命を得る、という技術は「始まりの魔法使い」が創り出したものだが、現在でも全てがブラックボックスの中で、未だに三賢人以外では再現することができていない。*3
おお、面白い。ここで触れられていた内容が最終的なフレデリカのやったことに繋がるんですけど、それは一旦さて置いて。つまりは三賢人は魂を移し替えることで不滅の体を得ているということで、その現身システムを再現するために人造魔法少女が研究として作られている状況……みたいです。
有り体に言って仕舞えば実験体です。意に反して現身の材料にされた魔法使いや魔法少女が数知れないように(ナヴィの妹やウェンの姉のエルジーナなど作中での犠牲者報告もあり)、ドリィも人造魔法少女となるまでに色々碌でもない目にあっていそうなんだけど、自分の境遇を憐れむどころか誇りに思ってそうなのが意外ではあります。志願して実験に協力したような人なのかな。
カルコロが説明する人造魔法少女は、ホムンクルスと似ている、「疑似人格を素体と切り離して高度化させることで可能となった革命的な技術」*4 というものみたいですが、これはおそらく(ドリィからすれば時代遅れの旧世代らしい)シャフリンシリーズを指した説明。
純正実験場育ちのドリィやそこから研究部門に移ったアーリィ、ブレンダやキャサリンは、相対的にシャッフリン以上に豊かな個性や趣味嗜好、自分の意思を持っているように感じます。
ただそれでもやっぱり黒いコスチュームや固有装備、変身前・変身後を問わずシャッフリンを思い出すような「同じ顔」が連続しているところなど、それまででちらほらホムンクルスめいた描写がされていることから、ドリィ含むABCDシリーズからもホムンクルス的な系譜を感じる部分はなくもないんですけど……。
ホムンクルスやシャッフリンとの関連からは外れて、こちらはかなり意外なところだったのが、プリンセスシリーズとドリィたちとの共通点です。
ドリィ曰く、プリンセスシリーズは開発自体は研究部門でされたもの。一部実験場で共同開発されていたため、術式の一部がABCDシリーズと共通している……とのことです。具体的にどういう術式が共通しているのか考えたいような考えたくないような。あんまり人権を損なわないような術式だといいですね。(怯えている)
魔法少女の才能がない人間を素体としているプリンセスシリーズと比較した時の相違点として、ドリィは「魔法少女を素体としたこちらに勝てるわけがない」*5 と独白しています。そうなんだ!?
つまり少なくともドリィについては魔法少女を素体とした魔法少女であると考えられます。一時期はライトニングが「そういう」魔法少女なのかと思ってたけど(あまりにも美しいため)ドリィがそうなんだ。それって魔法少女を素体としたホムンクルスである中学生魔法少女たちと重なるところがあるな。なんかもう色々ややこしいですね。
ドリィ自身も「人造魔法少女と一括りで説明したが、ジャンル毎になにからなにまで別物といっていい。それを人造魔法少女だけで終わらせるのは乱暴過ぎる」*6 と言ってはいますが、実際本当にややこしい。魔法少女自体がそういうとこあるのに人造魔法少女もそうなのか……。人造魔法少女と言ったらどの魔法少女群を指しているのか、今となってはだいぶよくわからないようになってしまいました。昔はプリンセスシリーズだけだったのに。
ドリィ視点はドリィがかつてないタイプの魔法少女であるため尚のこと興味深いんですが、ただ面白いと言うには少しばかり不穏すぎるような情報もさらっと混じっているのが怖い。
人造魔法少女がホムンクルスに似ているという物言いも気に入らない。あまりに失礼だ。ホムンクルスは耐用年数が短くもって数年、しかも知性や自我はないに等しい。夜の山で襲い掛かってきた新型は多少魔法少女に近付いているとはいえ、やはり知性と自我に乏しく、固有の魔法を使わせれば恐ろしい勢いで耐用年数が短くなっていくという欠陥がある。[…]魔法少女の頂点といっても過言ではない人造魔法少女と比べるのは論外だ。*7
ホムンクルスと魔法少女を融合させる実験は過去に幾度も行われたそうだが、肉体的な性質がホムンクルスに寄ってしまうためいずれの被験者も長くはもたなかったと聞いている。水と油、というより、逆にホムンクルスと魔法少女の相性が良過ぎるせいで望むような結果が得られない。*8
これ、これは……。ここの情報はホムンクルス魔法少女たちのことを考える時に非常に、非常に恐ろしいものです。肉体的な性質がホムンクルスに寄ってしまう、いずれの被験者も長くは持たない、固有の魔法を使わせれば恐ろしい勢いで耐用年数が短くなっていく……。テティ達ガンガン使ってますけど大丈夫なんですかね。絶対大丈夫じゃないな……。
気になりすぎててなんだかアーリィとドリィについてというよりABCDシリーズとホムンクルスの謎を振り返るというようなエントリになってしまいましたが、ともかく好きなセリフ……セリフ?についてです。ゼリー争奪戦でのアーリィの「ジャンケン!」とドリィの「バトル!」*9が好き。ドリィの好戦的具合を感じる。
好きなちょっとした描写。ランユウィの退院が決まった時にダンスを踊ってたらしいアーリィとドリィ好き。この時ばかりは仲悪そうな二人も手を取り合って踊ってたのかな。
ブレイド・ブレンダ、キャノン・キャサリン
こちらはデリュージ側の2名。初登場はACESでしたが、そこから 2巻挟んで初めてビジュアルや固有魔法説明の開示となりました。やっぱり顔だち雰囲気はアーリィやドリィと似てはいますが、イラストの上ではアーリィとドリィほど瓜二つというわけではないですね。少なくとも色が違う。パーツはほぼ同一人物だしだいぶ少なくともではあるな……。
黒をコスチュームの基本としつつ、ブレンダは黄色、キャサリンはピンクを固有色としています。また額にはそれぞれ別の色のハートマークがついており、それと対応した色味のハートマークが固有武器に紋章のように光っています。
つまりイラスト上は隠れて見えないブレンダの額のマークはハートは紫っぽいピンク色なんじゃないかな。ガーリィさと重たげな鎧の融合っぷりはかなり好きなキャラクターデザインです。
ACESでデリュージに誘拐された時にはアーリィと合わせて3人一緒に居ましたが、今はアーリィと2人は別行動中。ブレンダ、キャサリンは主にデリュージの補佐として、プフレの遺した魔法の演算装置をいじったりしています。最初はそちらの方面での活躍はデリュージに全然期待されていなかったのに、実際には巧みに演算装置を操れてしまっている。
ブレンダ、キャサリンのパラメータはまだ不明なものの、ADの傾向的に知性のパラメータは低そうな様子ですが……。意外にもと書くと悪いですけど、そういうの得意なんだなあ。戦闘系の魔法持ちでありながら情報系の作業もできるというのは優秀ですね。
しかしやはり、彼女らの物騒な固有魔法が示す通りブレンダとキャサリンの本来のポジションは戦場なのではないかと思います。
立ち絵SDページで魔法の説明文が紹介されるのは今回が初めてですが、剣を扱うブレイド・ブレンダは「切れば切るほど切れ味が上がるよ」、大砲持ちのキャノン・キャサリンは「好きなだけ弾を撃ち出せるよ」。
切れ味が増すブレンダはともかく、キャサリンの説明文は弾数無限系魔法少女がデフォでチラホラ居るのでちょっとしょっぱいなと思わなくもなかったりしますが、そこはパッシブ無限勢を凌駕するような好きなだけっぷりを見せてくれたりするのかな。大砲からマシンガンまで弾の種類を変えられるのは確実な強みですね。
さてこのブレンダとキャサリンの2名は、「白」のクライマックスにて、マジカルティータイムまで尾行して出会った 3代目ラピス・ラズリーヌのお願いを聞いたデリュージに随伴する形で、ピティ・フレデリカとカスパ派現身素体 3体を相手に戦闘を繰り広げます。
ここで見られた戦闘シーンが楽しかったですね。小柄な身体のブレンダ、キャサリンが飛び交うように戦っているの格好いいだろうな。フレデリカがコンビネーションの良さを感じていたのも頷ける。これがいっぱいいたらすごいことになりそうです。
ちょこちょこ描写されてはいますが、ABCDシリーズは魔法少女としてもだいぶ小柄みたいですね。マスコットのような扱いをされてたピーキーエンジェルズみたいなサイズ感なんだろうか。そういうサイズ感の魔法少女がモチーフ統一して並んでるのは視界に楽しそう。
ACESの頃からは自我だけでなく魔法の応用や戦闘能力なども向上している風の二人でしたが、ただデリュージと同じようにフレデリカのトラップハウスの餌食となってしまいます。ブレンダはバターナイフで、キャサリンは落ちてきたシャンデリアにノックアウトされてしまう。バターナイフはともかくフレデリカの愛する魔法少女走馬灯マジカルシャンデリアで潰されるのめちゃくちゃ嫌だな……。
breakdownでのバターナイフ剣はフランチェスカを切り裂き、ついでに陽動の罠としてマーガリートさんの足を貫いたりしてました。なので(「白」でのバターナイフがbreakdownのものと完全に同一物体かは不明ですが)別にあのバターナイフはホムンクルス相手じゃなくても良い切れ味であることが想定されます。
ともすれば生死が危ぶまれ、今後の戦闘継続は厳しいんじゃないかと思う程度にはなかなかに重傷っぽいですが、ここからこの2人はどうするんだろう。2人の仲間であるアーリィが中学校で危機的状況にあるわけですが、そっちに救援に行く体力は残っているのかどうか……。
変形した兜の下からは血が流れ、顔を汚し目は赤くなっているが力強い光が宿っている。以前、プク・プックが占拠していた遺跡で戦っていた時とは違う。あの時は、心を操られていたことを抜きにしても流されるように戦っていた。今は自分の意志が見える。魔法少女として成長している。*10
フレデリカ戦でのブレンダの瞳には意志の光がありました。ブレンダが重傷を負ったのを見たキャサリンは姉妹を傷つけられた怒りに吠えていました。アーリィが鎧から顔を見せたように、デリュージの側に控えているブレンダとキャサリンもまた変わりつつあるように思います。
前巻こと「黒」での視点では「自分自身を魔法少女だと思ったことはない」*11 と独白していたブレンダですが、スノーホワイトやデリュージは彼女らを道具や実験生物のようには扱わず、1人の魔法少女として接してきました。それらの付き合いを経て今後その思考が変わっていく、なんなら既に変わっているようなこともありうるのかな。
好きなセリフ。セリフとはちょっと違うかもしれないけど、マジカルティータイムまでデリュージを尾行していった時の「心配だった、あとカフェに行くと聞いて美味しいものを食べるのかと思った」*12 という趣旨の自供の言葉が好き。ラズリーヌに謝らせてるデリュージはだいぶ保護者してる。
デリュージのもとにいた時のABCのコンソメスープのエピソードといい(ライトニングほどではありませんが)これまでちょっと食事にこだわりがあるような描写がありましたし、この後美味しいもの食べれてたらいいですね。
好きなちょっとした描写。ブルーベル・キャンディだった魔法少女から連絡を受け取った時のデリュージを心配そうに見ている2人が印象的でした。上では美味しいものに釣られた感が強くはありますが、まずやっぱりデリュージのことが心配でついて来てしまったのでしょうね。しっかり感情がある……。
以上。そういえば「黒」での実例があったことだし、デリュージとブレンダとキャサリンでUPEしたらフレデリカも現身もサクッと消し飛ばせたのではないかと思わなくもありません。隙が大きくて難しいとかかな……。ではまた明日。
*1:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.27 宝島社,2022.2.10(ebook)
*2:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.26 宝島社,2022.2.10(ebook)
*3:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.28 宝島社,2022.2.10(ebook)
*4:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.28 宝島社,2022.2.10(ebook)
*5:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.29 宝島社,2022.2.10(ebook)
*6:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.27 宝島社,2022.2.10(ebook)
*7:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.28 宝島社,2022.2.10(ebook)
*8:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.28 宝島社,2022.2.10(ebook)
*9:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P70 宝島社,2022.2.10(ebook)
*10:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.300 宝島社,2022.2.10(ebook)