すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女112日目:雷将アーデルハイト(白)

 

 本日のまいにち魔法少女です。

 今日は雷将アーデルハイトです。 2年F組の生徒(と教師)は、魔法少女育成計画「白」の発売直前に旧TwitterことXにてカナによる恒例の魔法少女パラメータや好きなもの・嫌いなもの、そして人間態名(?)の紹介がありました。

 昨日の概要のところにも書きましたが、いい機会なのでそちらの情報も振り返りつつ書いていこうと思います。では以下感想。

 

 

  雷将アーデルハイト。言わずと知れた魔王塾卒業生です。彼女は分類としてはカスパ派、つまりピティ・フレデリカ陣営に属しています。

 フレデリカ陣営にはアスモナをはじめとした魔王塾卒業生が結構紛れてますね。その中のエイミーともな子は魔梨華によって無理やり足抜けさせられてましたけど。あれがなかったら梅見崎中学校にあの二人が乗り込んでたと思うと、エイもなと中学生側どちらにとっても魔梨華はファインプレーをしたと思います。

 

 それはさておきアーデルハイトについて。彼女の魔法は吸収したエネルギーの再利用。今考えるとなかなかサステイナブル魔法少女ですね。

 パラメーターとしては「破壊力♡3、耐久力♡4、敏捷性♡4、知性♡3、自己主張♡2、野望/欲望♡2、魔法のポテンシャル♡4」とのこと。 思っていたより魔法のポテンシャルが高い。ただ魔王塾生の戦闘力としては突出してるわけではない数値にはなりそうなのかな。 人間態ことアーデルハイト・ミュラーさんは身長170cm以上ある美形です。地味に関西には住んだことすらないという情報が開示されててちょっと笑った。

 先輩後輩の関係が厳しい魔王塾の中で嫌いなものが「上下関係」とは、やっていくの色々大変だったんじゃないだろうか。でも「白」で見せた魔王塾の先輩とのやり取りは結構スムーズな感じではありました。 魔王塾内の上下関係はまた別なのかもしれない。

 

 

 そんなアーデルハイトはもともと前作の「黒」の時点からパトロールと称して中学校の校舎を観察し、そこでライトニングとかち合うなど、どちらかというと暗躍気味に動いていた魔法少女ではありました。「白」でも同様に、あくまで仕事として雇われたプロの一人として、学生生活を楽しみつつも任務第一に、ピティ・フレデリカから下された指示を遂行しようとします。

 魔王塾における大大大先輩こと 大姦婦アスモナ(なんと現役で生きて活動している最古の魔王塾生、七大悪魔の一角。 二つ名からし色欲の悪魔を担ってそう。あんな真面目そうな振る舞いなのに大姦婦とかいう二つ名なギャップがいいですよね。もっと尖ってた時代とかあったんだろうか)曰く、

 

「根が真面目です。任務を確実に果たそうとするのは当然として、非常識な振る舞い、非常識な魔法少女、非常識な出来事を嫌い……いや、あまり好みません」 *1

「アーデルハイトは、非常識全般を嫌っていますが、根底の部分に『自分も非常識であるがゆえの自虐』が見え隠れするような気がします。そして彼女の非常識部分は非常識への憧れ、とでもいうべきものではないでしょうか」*2

 

 とのこと。あくまで私見ではあると前置きされてはいますが、つまりは根が真面目であることを前提とした上で、非常識的に非常識へ憧れを抱いている魔法少女であると推察されています。すごい。

 何がすごいってあらゆる意味で非常識的な魔法少女であるプリンセス・ライトニングとの相性が良すぎる。うおおどうなってしまうんだアデライ……。

 

 アデライについてはもう少し後で書くとして。パナースからブランドラーメンを下ろしてもらっていたり(さらっと双龍パナースの召喚できる龍の数がさらに一体増えて現在は超龍パナースを自称しているという何とも言い難い小話が差し挟まれていました。刺青も増えているのだろうか)、袋井魔梨華の失敗エピソードで爆笑していたり(魔王塾関係者の7割は 魔王塾生の中で最も嫌いな魔法少女は袋井魔梨華だと言うみたいですが、本当の嫌われ者だったらアーデルハイトもこんなテンションで魔梨華のエピソードを聞かないと思うし、やっぱり憎まれつつ愛されているという感じなのかな?)、梅見崎中学校に急襲してきた魔王塾の先輩との魔王イズムに関するちょっとしたやり取りだったり、 アーデルハイトのパーソナリティに関しては魔王塾生と関連する形で読めるものが多かったように思います。小学校行かずに魔王塾で育った人だからそれはそうなんですけど。改めてなんでそんな境遇でこんな真面目に育ったんだ……。

 

 魔王塾関係者の数がとにかく多く、メインサブを問わず魅力的なキャラクターに事欠かないがために、アーデルハイト周辺の人間関係やどう育ってきたのかとかは色々と気になることが多い。

 ただ、短編「魔王の在り方」では鬼か悪魔かみたいな扱いをされていた 七大悪魔の一人ことアスモナから割と高評価をもらっているあたり、改めてこれまでの魔王塾生の中でも有能で誠実な存在なのだろうと思います。

 

 

 そんな常識的な魔法少女が持つ、非常識への憧れ。それがより深く描写されるのは次巻「赤」でのことになるでしょうか。「白」クライマックスでの彼女は、魔法少女育成計画における魔法少女としての最新モデルと言っても過言ではない、「新たなる」魔法少女、プリンセス・ライトニングと相対します。

 フレデリカ陣営の襲撃という己の意思によらない形でプリンセス・ライトニングと戦いとなりますが、お互いの手の内が割れてきているリベンジマッチでも勝利をおさめるのは流石魔王塾生という感じ。従来のプリンセスシリーズ(というかデリュージ)とは違い、大ぶりな宝石を4つ掴んでの「羅倶珠有耗度・爆棲吐(ラグジュアリーモード・バースト)」としっかり激突することはありませんでしたが、それでもバースト状態での「涛流樊魔(トールハンマー)」をいなしてみせたのも見事でした。宝石を媒介としてのモードバーストはデリュージのOD式より見た目健全でいいですね。デリュージとライトニング双方特殊な立ち位置の人造魔法少女のため現在どちらが主流かは謎。

 

 ともあれ彼女は勝利し、よくわからないままにライトニングに記憶の飴玉を食べさせ、そして――「プリンセス・ライトニング達」に囲まれる形で一旦幕引きとなります。

「なんでやねん」という呟きがあまりにもその状況に即していてすごく良かった。ゾンビ映画のラストシーンみたいだ。 自我の希薄なシャッフリンでさえ大量に詰めていたら恐ろしい気迫があったのに、それぞれが自我を持っているライトニングがどやどや詰めてきたらいろんな意味で怖すぎる。食費的な意味での維持費どうなってるんだろう。

 

 刃を交えてなお、アーデルハイトと「このライトニング」はなんとなくまだ気安い関係の空気が漂ってはいるのですが。群体としてのライトニングたちの動向次第では、アーデルハイトからすれば絶望的な状況ともなりかねないシーンで次回に持ち越しとなってしまいました。どうなるんだこれ!

 ただ、 アーデルハイトが魔王塾イズムを通じ合わせ、(ライトニングに影響されたようではありましたが)上下関係の嫌いな彼女が先輩に頭を下げてまで一対一を所望した「ライトニング」は、地に伏し重傷を負った「♡9のライトニング」ただ一人です。その特異なライトニングと共に、彼女はあの状況を切り抜けることができるのか。気まぐれなライトニングたちらしいから、案外平和的に解決したり……しないかなぁ……。

 

 

 さて「白」での彼女の好きなセリフについてです。なんでやねんは大好きなんですけど上に書いたので省くとして。セリフというか独白ですが、 

――安心せえや。あんたの見切り通りや。この距離で居合が届くわけあるかい。*3

 は本当にかっこよくて大好き。今更ながら母国語関西弁じゃないのに独白関西弁なんだな。このシーンはほぼ好きなちょっとした描写と同一でもあるんですけど、その後に披露される天衣無砲(ヴィルヘルム・ゲシュッツ)は、

 

 鞘を砲に見立て、敵の攻撃から得たエネルギーにより軍刀を飛ばす一発芸のような技だ。技の性質上アーデルハイトは武器を失い、避けられるか受けられるかすれば詰みまで見える。だが構えを見て居合を想定していた敵は意表を突かれることになり、最大の必殺技を放った直後では特に大きな隙が生まれ、狙い済ました一撃を胸に受けて倒れる。*4

 

 魔法少女育成計画の魔法の使い方でよく感じる、「あーそう来るのか!」と驚く喜びを感じてワクワクしました! このシーンで思い出すのは、「魔法少女育成計画breakdown」におけるミス・マーガリートの

 

 マーガリートは先程と同じように細剣で弾道をずらし、あるいはかわし、いくつかを相手に向けて弾き飛ばした。その陰で細剣を口に咥えて限界までしならせ、曲げた金属串を剣先に引っ掛け、弾いて飛ばす。古めかしい投石器に似た使い方だ。飛び道具を持たない魔法少女の苦しみから生まれた技であり、強力な飛び道具を持つ者にとっては宴会芸と大差ない。しかし宴会芸のような技でも磨きあげれば使い物になる。*5

 

というシーンですね。お互いに一発芸、宴会芸と自分の魔法の活用方法を揶揄というか卑下してはいますが、本来そういうものではない固有魔法を飛び道具に変えて見せることで逆に初見殺し的に作用する見事な活用だと思います。初見殺しって魔法少女世界においてだいぶシャレにならない強さあるし。実際戦闘経験が少なそうとはいえライトニングにも通用してますしね。

 

 

 こんな感じで今日は以上。書きそびれましたが、今となってはホムンクルス化してない初期2班メンバーはアーデルハイトだけという状況が末恐ろしい。ではまた明日。

 

*1:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.115 宝島社,2022.2.10(ebook

*2:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.116 宝島社,2022.2.10(ebook

*3:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.282 宝島社,2022.2.10(ebook

*4:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.282 宝島社,2022.2.10(ebook

*5:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画breakdown(前)P.418 宝島社,2021.3.11(ebook