すふぉるつぁんど

主に遠藤浅蜊著「魔法少女育成計画」シリーズについて書き残していくブログです。

まいにち魔法少女128日目:0・ルールー(白)

 

 本日のまいにち魔法少女です。

 今日は0・ルールーです。「白」の立ち絵付き魔法少女の中で、完全新規の初登場人物はなんと彼女だけです。 以下感想。

 

 

 0・ ルールー。 ラズリーヌ候補である青い魔法少女の一人です。ラブ・ルールーとやや搦め手的な形で青を帯びた名前をしています。 インディゴの出ィ子にちょっと近い。

 ところどころに豚のモチーフをあしらった魔術師といった感じの格好は、あまり戦闘に秀でているわけではないような印象を感じますが。 それでもラズリーヌ候補生としては恥ずかしくない程度の体術を持っていると自称したり、殺しが発生する場に身を置いていたこともあるということで、しっかり戦う魔法少女ではありそうです。

 ルールーのコスチュームについてる青かったり白かったりするぼんぼんは、奇しくも リップルしろいぼんぼん *1と似てて可愛い。 ブラック&ブルーだ。

 

 そんな(?)ルールーの魔法は 「石に秘められた力を解き放つよ」。 字面だけでは何のことやらという感じですが、 主にパワーストーンの力をすごく強化するという魔法の使われ方をしていました。

「石の持つ力を魔法で増幅」するということで、 基本的には石言葉として謂れの残るような石の力を強化して他者に精神的な作用を与えたり、 傷の治りを良くしたりできるみたいです。そういう石の持つ力をどうこうする児童書があったなあということを思い出しました。

 

 小さなクズ石でも遜色なく魔法を発動できるというのは経済的でいいですね。お土産屋街とかにあるようなカジュアルなストーンショップとか、珍しい石を取り扱っている専門店とかで自分の魔法が必要とする石をちまちま集めてたりするのかなあ。

 ルールーの魔法は、二代目ラピス・ラズリーヌや袋井魔梨華、ミス・リールなどと同様、魔法を発動する際に他所からアイテムを必要とする魔法のようです。 個人的な分類としては、固有魔法の中でも多様性を武器とするタイプっぽいなという印象です。上に書いた魔梨華とか多様性の権化ですけど、「石」の種類は流石にそこまで多様ではなさそうですが。

 魔法の宝石も対象となるのは地味に可能性を感じます。 ルールーは基本的に宝石を魔法の対象としていたけど、やろうと思ったら普通の石とかにも魔法を使えるんだろうか。 そういう時に解き放たれる力って何なんだろうとかも気になります。 こういうのは ルールー側の認識次第なのかな。

 

 

 そんな魔法を持つ0・ルールーが、遊撃隊としてリップルを見張りつつ補佐するというごみを拾うような仕事につくのは、 まあすごく意外……というわけではないですが、 魔法としてはそれほど適材適所という印象でもありません。

 やっぱりこれは、オールド・ブルーに対して心酔しているわけではないとか、 やけくそでリップルに正直にぶつかることができるとか、その辺りのルールー本人の気質をオールド・ブルーが見抜いて起用したということになるんでしょうか。なんてカップリングの才能がある魔法少女なんだオールド・ブルー……。

 こう振り返ってみても、本質を見抜く魔法ってやっぱりちょっと不気味ですね。 当人らリップルとルールーはあれだけ本心でぶつかり合ってるのに、 それがなんとなく手のひらで踊らされてる感が拭えず釈然としない。0・ルールーはオールド・ブルーのそういうところもあんまり好きじゃないのかもしれませんね。

 

 そう、0・ルールーといえばリップルとの関係です。スノーホワイトリップルの関係がルールーに伝わっていなかったという異常事態をきっかけに、0・ルールはリップルに自分の身の上を「殴り合い」のような形で 打ち明けます 。

 

宝石を使って詐欺のようなことをしていた父親が恐ろしげな大人達に連れていかれ、残った母親は金とルールーを交換、ルールーは初代ラズリーヌの元で修行の日々を送ることになり、自分の師匠も含めて誰一人信用することはなく、そして誰にも信用されることはなく、当然ラズリーヌにもなれず、ごみを拾うような仕事を押し付けられている。*2

 

 このあたりを読むに、ルールーの石の力を解放する固有魔法は父親の職業が影響してそうですね。 もともと宝石とかに詳しかったのかな。

 宝石描写で思い出すのは、ルールーがリップルとぶつかり合った時に、「燃え上がる炎を思わせる右目──いや、これはルビーの方が近いか──」*3とか独白してるところかなり好きです。そりゃルールーの胸の鼓動も高鳴る。固有の専門分野を持つ魔法少女が、自分の感覚で世界を捉えている様子が読めると楽しくなります。

 

 

 リップルとの関係の話に戻って。どちらもろくでもない家庭環境を持ち、魔法少女になり、その果てにこんなところに流れ着いている。メインストリームには立っていない2人の魔法少女は、ぶつかり合いの中でささやかながら確かな信頼関係を築いていました。

 

だが、どんな形であれ、あれだけ嫌い抜いていたのに、それでも信じてくれた。ならルールーもリップルを信じなければならない。この一時的な協力体制はどちらが欠けても沈没する。ルールーはまだ終わりにするつもりはない。*4

 

 うおお……。少し前の描写では、自分の師匠すら一切信用せず、なんなら「自分の師匠も含めて誰一人として信用することはなく、そして誰にも信用されることはなく」*5とまで言っていたルールーが……リップルに信用され、そしてリップルを信じて動いている!

  リップルの無骨なコミュニケーションについていく ルールーってなかなかにすごいんですが、リップルリップルで誰も信用していないような警戒心の強いルールーの心を開いてしまう不思議な魅力がある。スノーホワイト曰く:リップルは可愛くて格好いい*6

 しかし短期間でここまで打ち解けて(?)しまうというのは、オールド・ブルーの采配的にやっぱり馬があってたんですかね。 リップル側でも悩みの種があるルールーの様子を見て取って心配したりしていたし。

 そういえばリップルとの赤裸々なぶつかり合いを見るに、ルールーはあんまり口八丁でやっていくタイプじゃないのかな……と思っていましたが。ショックシンガーとサイレント・ウェーヴェ相手には舌戦を仕掛けたりもしてましたね。そのシーンでズタボロのリップル見て泣きそうになってるルールーもまたかわいい。

 

 

 さて、フレデリカの戦力を削ぐという目的のもと共闘していたルールーは、最終的にリップルに信用されたことで彼女からスノーホワイトを託されるような形で梅ヶ崎中学校に赴きます。 来ちゃうんだ……!

 しかしルールーは知るよしもないことですが、 今その中学校には彼女があまり信用をしていない初代ラピス・ラズリーヌことオールド・ブルーが学校を埋め尽くすほどのプリンセス・ライトニングとともに降り立っています。

 そして同じラズリーヌ候補生のランユウィはもういないし出ィ子はホムンクルスになっています。こんなわけのわからない状況でルールーはどう動くのか。 彼女がリップルから託された「大事なスノーホワイトは、まあおそらくランユウィの命をコストとして中学校に乗り込んできたオールド・ブルーの所業を許しはしないだろうし、 陣営単位としては敵対することに なりそうですが。

 

 ただ、結果的に敵対したり、うまく連携が取れないようなことがあったとしても。一瞬でも、ほんの一時でもスノーホワイトとルールーが接触さえすれば。まず間違いなく、スノーホワイトはルールーの心の声伝いにリップルの消息を知ることになるでしょう。

 現状では リップルの生死さえ把握できていないスノーホワイトにとって、それはものすごくものすごく重要な情報です。彼女が今とりあえず健康で生きていることも、 ACESの後ラズリーヌに「管理」されていたことも、今ピティ・フレデリカを殺すために死地に赴いていることも、リップル本人がスノーホワイトのもとへ向かう代わりに差し向けられたのがこの0・ルールーであることも、全部が全部スノーホワイトにとってはとんでもない衝撃情報ではないかと思われます。 なので「赤」ではここの2人の出会いがあるかなども気になりますね。 

 


 さて好きなセリフです。 リップルの身の上話を聞いて、 義父に手を出されかけたというくだりのあたりで「いるんだよそういうやつが!」 *7とベッドを叩いていたルールー好き。 身の上話めちゃくちゃ盛り上がってる。 話し込みすぎてだいぶくだらない雑談までしててほしい。

 

 好きなちょっとした描写。

 要するに人間関係というやつはどこまでも面倒で難しい。そんなものに関わらず、美しく綺麗なものを愛でて生きていければどれだけ幸せなことだろう、と掌中のアパタイトを転がして溜息を吐いた。*8

 ここ好きです。 おそらく ルールは魔法少女になる以前から元々宝石に興味がある人だったのではないかと思うんですが、その上で「美しく綺麗なもの」への愛着があるようなのいいですね。 そういう人がリップルの隻眼を宝石の女王たるルビーと例えたの改めていいな~。

 

 以上。戦闘中にルールーがどう自分の魔法を活かすのかだいぶ気になっています。ではまた明日。 

*1:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画 16人の日常 No.442 宝島社,2019.8.23(ebook

*2:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.156 宝島社,2022.2.10(ebook

*3:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.129 宝島社,2022.2.10(ebook

*4:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.192 宝島社,2022.2.10(ebook

*5:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.156 宝島社,2022.2.10(ebook

*6:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画 P.261 宝島社,2019.8.23(ebook

*7:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.193 宝島社,2022.2.10(ebook

*8:遠藤浅蜊 魔法少女育成計画「白」P.126 宝島社,2022.2.10(ebook